351 曇天の霹靂

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経営コラム SOLID AS FAITH 第351号
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 ご愛読ありがとうございます。第351話をお届けします。

 東京でも30度を越える日が少なくなってきました。暑さが大好きな弊社代表
の市川には、これからの季節の変わり目が、最も疲れがたまりやすく、仕事の
ペースも落ちる時期です。書き物や雇われ講師の仕事を頂戴しながら、継続的
な勉強会などによる利益向上を狙った社内風土の改善など、長期の案件の開拓
にじっくり取り組んでおります。幸いにして、既存のお客様からのご紹介など
で、提案をさせていただく機会を得ております。

 とうとう9月に入り、当コラムの15周年記念特別号の発行まで二ヶ月を切り
ました。今回は久々の全編自前制作で、全8章構成の長編です。コンセプトは
『Congenital Auto-cruisers』として、“無意識の塊としての人間”のあり方
を考えてみます。各章のテーマも最終決定いたしましたので、是非、PR欄をご
覧下さい。

 前回までの二回シリーズ『1984年の人々』を終えて、今回からは単体の号に
戻ります。『1984年の人々』は引用を中心としたシンプルな内容だったはずで
すが、そのシンプルさ故か何人かの読者の方から、珍しく直接感想を賜りまし
た。ご関心を賜れたことを嬉しく感じるとともに、感想をお寄せいただいたこ
とに御礼申し上げます

 今回は『曇天の霹靂』と題して、超基礎的な動機付けの話を振り返ってみる
こととしました。あまり、驚きや学びがない号かもしれませんが、お付き合い
いただけたら幸いです。タイトルは『青天の霹靂』をもじったものですが、
「晴天」に対して「曇天」があるものの「青天」には何と言う言葉が対応する
のかかなり悩みました。結局適語が見つからず、このタイトルに落ち着いたの
で、タイトルに関しては“見切り発車”的な気分でいます。本文に対するご意
見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期
は5営業日!!
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その351:曇天の霹靂

 部屋のあちこちの書棚にバラバラに置かれている洋書を一ヶ所にまとめよう
かと思い立ち、まるで、デフラグ作業のイメージのような書籍の出し入れ作業
を始めた。多く出てくるのは、中古で買っては授業が終わる毎に売り払うのが
常の教科書の中で、手元においておきたかった幾つかの大学時代の教科書。
 
 ぱらぱらと捲ると、珍しく動機付け系のネタに目が留まる。could、would、
should。人が何を為す時に必要な三要素とある。実行するための能力、実行す
るための意志、そして実行する必然性、といった所だろうか。なるほどねぇと
呟きつつ、本を置いて、人力3Dデフラグ作業に戻った。

「まるで、皆、催眠にでもかかったみたいだった。その後も行動が本当に変わ
るんだなぁ」。
 先月にお仕事を下さったクライアント企業の応接室で、私の窓口をして下さ
っている社長室室長が、講演中とその後の契約社員の様子を説明して、ニコニ
コしながら言った。

 この会社は、清掃業務を請け負っている。地方の大手病院が一昨年から作業
者の評価システムを持ち出して、評価が低ければ、契約更新を見合わせると通
告してきたと言う。作業者は病院の地元の、普通の「近所のおばさん」のよう
な人ばかり。ホテルマンのような気遣いを彼らが病院職員や患者さんに対して
できるようにしなくては失注してしまう。一流ホテルOBだの、高級レストラ
ン専門コンサルなどが、既に講義を行なっていても、彼らの行動は特段変わら
ず、昨年は受注案件規模が削減された。その道の専門家でもない私が、普通の
おじちゃん、おばちゃんの行動改革に挑むこととなった。
 
 今までの偉い先生の話は、受講者との間にあらゆる面で懸隔がありすぎた。
確実に伝わるべきcould、would、should。地元のおじちゃん、おばちゃんでも
できることをイメージさせ、やれば自分も嬉しいと思える部分があり、それが
会社が望んでいることにも重なっている。そんなピン・ポイントを、参加者の
机の間に分け入って、逃げ場なく迫りながら、繰り返し執拗に話して聞かせる。
時に落ち込ませたり、時に笑わせたり、そして時に考え込ませたり、揺さぶり
ながら同じ論点に舞い戻って、二時間近く話して聞かせた。

「自分達が何をすべきか、雷に打たれたように気づかされた」と書かれた受講
者アンケートを室長が、凄いねと差し出す。霹靂もその轟が心に刻まれねば、
認識と行動に変化を来たすことはないだろうと思う。
 
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

本年10月末日発行!
15周年記念号の企画が決定!
コンセプトは『Congenital Auto-cruisers(先天的自動操縦装置)』。

“無意識の塊としての人間”を、
幾つかの書籍の内容に串を通すようにしながら、考えてみることにしました。
各パーツの原稿を鋭意制作しています。

前号で発表した各章のタイトルに修正を加え、
合計8章の構成でお届けします。

人に意志や判断能力はあるのか。
人にとって学習とは何であるのか。
人は努力によって変わり得るのか。

そんなことを“無意識の塊である人間”の観点から検証し、
中小零細企業経営のあり方にも言及してみます。

章立て一覧をご紹介します。
ご期待下さい。

■第1章:忘れがたい書籍
■第2章:構造主義の悦楽
■第3章:受動意識仮説の衝撃
■第4章:仮説の検証
■第5章:催眠技術との出会い
■第6章:催眠領域の拡張
■第7章:組織運営の可能性
■第8章:応用制御

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14周年記念特別号 http://tales.msi-group.org/?p=635
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『悪の出世学 ヒトラー・スターリン・毛沢東』 中川右介 著
■『その幸運は偶然ではないんです!』 J.D.クランボルツ他 共著

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【メルマガ発行遅延についての報告】

 弊社では当コラムの発行を毎月10日・25日の午前8時に、まぐまぐのシステ
ムを用いて行なっています。前回、8月25日付けのメルマガ発行において、一
部の読者の方々において、深夜になっても到着しないなどの状況が発生しまし
た。

 まぐまぐより連絡があり、読者の方々のフリーメールアドレスのサーバ側で、
受信の制限をかけているためと言う連絡が来ております。不達にはならないよ
うですので、期日になっても当メルマガが到着しない場合は、申し訳ありませ
んが、弊社ブログなどで、発行状況をご確認いただき、翌朝ぐらいまでお待ち
いただければと存じます。

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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
 発行しています。
 (http://www.mag2.com/ ) 
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け15年。

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
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 ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ。
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です。当メルマガは毎月10日・25日に休まず発行しております。届かない場合
には、上述の弊社ブログにて発行状況をご確認の上、再び上述の弊社サイト専
用ページにて再登録をして下さい。
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次号予告:
 第352話 『ライブラリ関数』 (9月25日発行) 
 世代は言わずもがな。性別や職業、最終学歴などの相違によって、日本人同
士でさえ、言葉が伝わっていないように感じる場面が増えています。最近そう
感じた二例をまとめてみました。

(完)