326 厚い蹴上

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経営コラム SOLID AS FAITH 第326号
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 ご愛読ありがとうございます。第326話をお届けします。

 東京ではちょっとだけ風が険しい暑さを失ってきました。シーズンに一度は
かならず行こうと思っている新宿三丁目の追分だんご本舗のカキ氷を今年は既
に二回食べてきました。かなり長い期間、案件が減っていましたが、ここ一ヶ
月ぐらいは幾つも案件のお声掛けを戴くようになってきました。アスファルト
も蕩けるような大好きな暑い日々の中に出かける機会を多々戴いております。
お引き合いに感謝申し上げます。

 PR欄には方向性が固まってきた、当コラムの14周年記念号の企画を紹介し
てみました。その文章の最後に「徐々に全貌を現す14周年記念特別号の企画」
と書きましたが、まさにその言葉どおり、ほんの僅かだけ前回より企画の内容
を明らかにしてみました。ご一読賜れましたら幸いです。
 
 今号は、『厚い蹴上』と題して、幾つかの代表的な欲求段階説をもとに、今
の日本の労働市場や消費市場に見られるニーズについて考えてみた内容です。
いつにもまして、脈絡なく見える展開ですが、かなり意識して話の軸をつない
でみました。是非、読み解き、楽しんで戴ければと存じます。本文に対するご
意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納
期は5営業日!!
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その326:厚い蹴上

「マズローの方は五段階説で内容は資料の通りです。あまり知られて居ません
が、マズローは哲学者で、人間の欲求はこのように進化して行かなければ駄目
だと言うことでこの五段階説を作ったという話です。なので、一旦上の段階に
行くと、下の欲求が満たされなくても、それに絆されることはないと言うこと
になっています。つまり、なんかこう、まるで即身仏みたいなイメージですね。
仏になるために腹が減っても鈴鳴らしながら座禅していられるんですから。こ
れだと現実的じゃないと思うので、下には戻れるし、三段階しかないシンプル
さが良いので、私はアルダファのERG説の方が好きですね」。

 私はホワイトボードに横縞模様付の大きな三角を二つ描いて勉強会の面々に
説明した。社員育成のための基礎を学ぶ勉強会。欲求を満たすことと組織が社
員にさせたいことを重ね合わせて見せるのが「動機付け」。欲求のカテゴリー
分類はそのまま動機付け手法のカテゴリー分類。生きていくためには金を稼が
なくてはと勤めるのも、皆に当てにされているからと仕事に励むのも、やれる
ことが増えてどんどん面白く仕事ができるようになるのも、タイムカード上で
は全部ただの刻印された時間幅の話。仕事の時間の意味付けについて勉強会の
メンバーに考えて貰うことにすると、皆が一様に、「承認欲求を満たすのが一
番ぴんと来ますね」と口を揃える。

 次の会社の勉強会でAISASモデルを考える。
「結局、他人の承認がないとモノが買えなくなったと言うことですよね。だっ
て、一々他人の評価を探して買って、それをまた他人にばら撒く行動を指して
いる訳ですから。AIDMAとかなら、全く個人の欲望と判断で決着がつくの
に」と私が言うと、皆強く頷く。

 原理上人間のニーズは大カテゴリーでまとめても五種類だの三種類だのあっ
て、その各々にシーン別やオケイジョン別の種類も有り得たりするので、本来
かなり幅広い議論ができる筈。しかし、現実には、どこに行っても他人に認め
られるための行動ばかりが浮き上がって見える。

 人材紹介の商売に嵌ったのが独立のきっかけ。それ以来、人間の値踏みには
つい関心が湧く。今日も本屋で手にしたのは、その類の直球ネタ。衝動に抗し
切れず『デフレ化するセックス』を買った。冷静なランク評価には好感が持て
る。どんどん引き込まれて読み進めた。地方の中流層家庭に育った女子が東京
の私大に入学すると、仕送りでは全く出費が賄えず、多くは当り前にセックス
・ビジネスに就いて行くとの記述があった。事の真偽の度合いは兎も角、やっ
と見つけた承認欲求以外の就労動機に「良し」と呟いた。

 読み進めると、その子女達は高額な学費を賄うや否や、周囲の裕福な家庭の
子女と差がつかないように装身具や衣服に金を投じるようになるらしいと分か
る。またもや、承認欲求の登場にうんざりして、一旦本を閉じた。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

テキスト・マイニングで決まった!
『経営コラムSOLID AS FAITH』 14周年記念特別号のテーマ。

テキスト・マイニングをご存知ですか。

弊社では、10年ほど前、
人材会社のビジネス企画を請け負う仕事が多かった頃に
スーパー・マーケットでのデモンストレーション販売担当者からの
手書き報告書の内容を分析するために、
当時の技術を調べてみたことがあります。
その方法論をまとめて、ビジネスモデル特許も一つ申請しました。
http://www.msi-group.org/MSI-Manbiz-Planning.htm

ウィキで見ると…
「テキストマイニング(text mining)は、文字列を対象としたデータマイニ
ングのことである。通常の文章からなるデータを単語や文節で区切り、それら
の出現の頻度や共出現の相関、出現傾向、時系列などを解析することで有用な
情報を取り出す、テキストデータの分析方法である」となっています。

さらに、その効果として…
「テキストマイニングは、言葉的にはデータマイニングと似ているが、その効
果は異なる。データマイニングが顧客個人の購買傾向を分析するなどの目的で
行われるのに対し、テキストマイニングは顧客個人の特性よりも提供側の状態
を把握する面において威力を発揮する。例えば商品の評価や顧客サービスの問
題点などを把握することができる」とあります。

さて、当コラムの「提供側の状態」の分析の結果が、
14周年記念特別号のテーマです。
ズバリ、それは「本」です。

徐々に全貌を現す14周年記念特別号の企画。
続きはまた後日。

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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
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 ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ。
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次号予告:
 第327話 『続・ネガティブ・フィードバック』 (9月10日発行) 
 ソリアズ第107話『ネガティブ・フィードバック』に早くも登場していた相
互扶助組織の考察。9年の時を隔てて、続編の登場です。

(完)