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経営コラム SOLID AS FAITH 第312号
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ご愛読ありがとうございます。第312話をお届けします。
1月も終わりに近づきました。この号が皆様に届く頃には、お近付きの方々
には、弊社特製の大判ご挨拶状のお届けは終わっているものと思います。そこ
にまとめたのは昨今考えることが多い「死すべき技術としての経営」です。今
日から一ヵ月後に発行される第314話から四回連続の本シリーズと、技術とし
ての経営が死んだ後を考える番外編が一話続きます。ご期待下さい。
前号のPR欄でこのシリーズの内容を紹介致しましたが、今回のPR欄は一
度連続告知をお休みにして、昨年末弊社ブログに新設したカテゴリーを紹介申
し上げます。名称は『MSI-LEX』。リンクトインのスレッドで埋没していくコメ
ントの幾つかを記録として残すことにしたものです。
さて、今回の号は、『社長の真相』と題して、自称「オタク気質」の若手社
長のお話を伺って、気になっていたおかしな点に後日気付いた経緯をまとめた
ものです。オーナー経営が独善に陥り易く、企業は公器として公開して初めて
まともになるという論調もよく耳にします。しかし、そこに働く人々とその顧
客が満足していて、違法性の見当らない経営をしているなら、独善の短所が私
には今一つピンと来ません。そんなことにもまた気付かせてもらった経緯を描
きました。お楽しみ戴ければ幸いです。本文に対するご意見・ご感想をお待ち
しております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その312:社長の真相
面白い職場と言うものはあるものだとつくづく思う。
社長のあとをついて、ペンシルビルの狭いフロアの幾つかにまたがる事務所
や店舗を見て回った。一階は店舗。その上に倉庫。そしてウェブショップの作
業者のスペースがその上にあって、事務所はその上。社員数は20名弱。各フロ
アの入口から数歩の所で立ち止まっては見渡しては、社長の説明を聞く。どの
フロアもほぼ同じ場所で全体が見渡せる。そこで働く人々全員ともその場所で
目が合う。誰一人として私に挨拶をしない。
「いつもこんな風ですよ。特に市川さんだからこうと言うことではないのです
けどね」。
社員の方々は挨拶をしないのですねと私が平静を装って尋ねると、社長は何
気なく答えた。決まりきった作業を残業するでもなく毎日こなして社員は帰宅
すると言う。経理部長が、「社長。これ」と渡した月末の試算表には、数百万
の赤字が出ていたことがあるらしい。社長が売れ筋商品の在庫を尋ねると、
る「売れから間に合わなくて。今朝欠品に気付いたので、時間があったら、今
日中に注文しておきます」と真顔で在庫担当者も応えたと言う。
「私は基本的にオタク気質なので注意したりするのは嫌なんですよ。オーナー
としてちょっと会社からお金が貰える身分になりたくて、立ち上げたウェブの
商売を信頼できそうな昔の知り合いに任せたんですけど、皆、私に寄り掛かっ
て来るんですよ。良い会社について分かり易く書いた本を全員分買って読んで
貰ったんですけど、リーダーの役割に印が付けられて、ずっと机の上に置きっ
ぱなしになっていましたよ。リーダーとして私がなっていないということを納
得したんでしょうねぇ」。
30代後半の社長は頭を掻く。唖然を通り越して笑いが込み上げて来た。
分厚い著作が多くて躊躇していた話題の著者高橋洋一の薄い本が出たので即
買った。『日本経済の真相』には、オリンパスと大王製紙の不正に関して書か
れた文章がある。どれどれと読んでみると、会社の「私物化だという文句を言
われたくないなら、株式を非公開にすればいい」、「嫌だったら、従業員は辞
めればいいし、消費者はその会社の製品を買わなければいい。国家はそれがし
にくいため、独裁政権下では不幸が大きくなる可能性が高いが、企業経営では
独裁もあり、と言うのが私の考えだ」と執拗に言葉を重ねている。
何が新しく何が面白いのか全く分からない。ギリギリ合法である限り、オー
ナー社長はどんどん自分の会社を私物化すれば良いと私も思っている。それ以
外に何をどうすべきだと言う意見があるのだろう。元々私物であるものを私物
化して誰が異議を唱えて来るのか。
私物を私物化しても何も面白くない。込み上げて来るあの社長への笑いは、
私物を私物化しないで、自ら大金を費やして社員に暇潰しとカネを寄贈してい
る事態の可笑しさ故だったのだろうと、やっと得心した。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】
弊社ブログ『MSI-TALES』に新設されたカテゴリー。
『MSI-LEX』。
LEXは、LinkedIn Excerpts のことで、リンクトインからの抜粋集です。
http://tales.msi-group.org/?cat=15
SME(中小企業)ショクニンとして、
日本の中小零細企業の経営に関して各種のコメントを
英語でリンクトインのスレッドに書き込んでいますが、
その一部はそのまま弊社の案内として流用できることに気がつきました。
リンクトイン使用者以外の方々も読める
コメントのアーカイブとして新設です。
サブカテゴリーは三つ。
● Lex-Mails リンクトイン関係者に送ったメールの文章抜粋
● Lex-Posts リンクトインのスレッドの書き込みの抜粋
● Lex-Profile リンクトインの弊社代表のプロフィール情報の抜粋
現在の弊社サイトの英文訳にいきなり取り組むのではなく、
リンクトイン上で需要があり、
そこでそれなり評価を得たコメントを順次掲載することとしました。
構成方法はアドホック的ではありますが、
結果的に英語での弊社紹介サイトの機能を果たせばと思っています。
是非、ご笑覧下さい。
http://tales.msi-group.org/?cat=15
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弊社の「季節のご挨拶」DMをご希望の方は以下のアドレスに、
「季節のご挨拶希望」を件名にして御一報下さい。
bizcom@msi-group.org
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
発行しています。
(http://www.mag2.com/ )
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け14年。
マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
★全バックナンバーはまぐまぐのサイトで掲示されております。
http://archive.mag2.com/0000019921/index.html
★弊社代表のコラムが色々満載。
ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ。
http://tales.msi-group.org/?cat=2
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次号予告:
第313話 『帰らざる日々』 (2月10日発行)
事前にドラフトを読んだ方々からは「危険過ぎて、社員には読ませられない
内容」との評価を戴きました。皆様の読後感が愉しみです。
(完)