015 「モータル」シフト

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経営コラム SOLID AS FAITH 第15号
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第15号をお届けします。
 
ご愛読ありがとうございます。ありがたいことに、読者数は1200を突破しま
した。発行を開始してから、早いもので半年以上が過ぎました。そろそろ発行
開始当初に書きためた文章を発表し終わります。今回お届けする話も、昨年11
月に書かれたものです。(タイトルは物流用語の「モーダルシフト」に似せた
ものです。)

発行以来、読者の皆様から暖かい支持・応援のお言葉を頂戴致しました。そ
のお蔭で、当コラムのスタイルがやっと固まってきたように思います。今後も、
文章のテイストはそのままに、一般の人々にも簡単に想像のつくような切り口
で中小企業経営に関わるテーマを色々と扱って行きたいと思っております。

ご期待ください。ご感想を是非お聞かせください。
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その15:「モータル」シフト

また今年もこの日が来た。年に一度の誕生日である。私の誕生日は翌日が祝
日なので、独身の頃は夜通し街を徘徊するのが常だった。結婚してからも、翌
日までのどこかで必ず外出し、街や店を見て回ることにしている。

周囲の人の会話を聞いたり、商品を買うさまを見ていると、その理由が私に
は分からない面白い事柄に必ず行き当たる。昨年の街はどうだったか、昨年の
自分はどうだったか、この各々を考えると、自分と周囲の懸隔が分かる。

四十が近くなっても、今となっては「年甲斐もない」音楽や書籍が好きで、
十代後半から何も変わっていない分野の方が多い。考え方も「三つ子の魂」よ
りは遅く形成されたが、あまり変わっているとは思えない。多少の知恵がつき、
さまざまな人との出会いを重ねた分、年を取った甲斐はあったのではないかと
思っている。

企業の「30年寿命説」と言うものがある。一人の経営者の能力や経営環境の
変化を考えると尤もらしい。診断士の勉強では、中小企業の創業・廃業の「程
よい」バランスがわが国の産業構造を柔軟に変化させ、それが日本経済におけ
る中小企業の重要な役割として教えられる。マクロには確かにそうだろう。

売上を上げることに追い立てられるうちに、経営環境が激変し数年で消滅し
た企業は、まさに枚挙に暇がない。教科書にある産業構造の柔軟な変化の裏に
は、数限りない辛く苦しい倒産・廃業があったことだろう。

百年近い過去の社訓や社是を守って今も顧客に支持されている企業もある。
額の中の社是・社訓は、時代を超えて通用する。経営者は交替し、商品は変化
し、顧客までもが盛衰する。それでも、社是・社訓を忘却し慢心しない限り、
そして時代から遊離しない限り、企業という「法人」の寿命は続くのだろう。

30年程度の期間でその寿命を終えてしまうことが多いのは、そこにいる人々
の自律ではないだろうか。

>モータル(mortal):(形容詞)「死すべき運命の」
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次号予告:現実の蟻穴(6月10日発行)
 「若手社員の教育はどうしたら良いと思うか」と問われた際の、私の答えを
ストーリーにまとめてみました。