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経営コラム SOLID AS FAITH 第295号
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ご愛読ありがとうございます。第295話をお届けします。
とうとう号数の一の桁を四捨五入しても300号になるようになりました。300
話記念特別号は現在鋭意準備中で、当コラムや弊社ブログの愛読者の方々のイ
ンタビューも徐々に進んでおります。7月下旬の開始にご期待下さい。
300話記念特別号は200話記念特別号のシリーズより一話短い5話シリーズで
304号まで続く予定ですが、その前哨戦としまして、3話シリーズを297話から
展開致します。もともと、300話記念特別号の企画に使うことも検討されてい
たシリーズで、当コラムでは珍しく、中小零細事業体の情報発信やソーシャル
・マーケティングのあり方などを題材とした内容です。題して『お友達未満
(仮題)』です。こちらも併せて、ご期待下さい。
今回の号は、年に一回行かねばならない中小企業診断士の登録更新研修で知
った、海外の非効率な製造現場の実態について考えたことをまとめたものです。
製造業の空洞化が国内でも課題として認識されるようになって、長い時間が経
ちました。では海外の製造現場は十分に雇用と技術の両者を維持し、更なる質
の向上が望める場所になっているのか否か、一緒にお考え戴ければ幸いです。
PR欄には最近見たトヨタの四次下請工場の廃業を描いたドキュメンタリー
映画『劇場版 笑ってさよなら 四畳半下請け工場の日々』の情報を入れてみま
した。ご一読賜りたく存じます。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしてお
ります。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その295:幸福の保温箱
「ここで学んだことを元に、私は零細下請工場の脱下請の専門業者になること
にしました。市川さんからは、茨の道と簡単に言われてしまいましたが、ソリ
アズの『未明の野菜』を読んで全くその通りと思います。経営者の相談に誰も
乗ってくれていない様々な課題を解決する立場になって行こうと思います。勿
論、一般の製造業向けコンサルタントが手掛ける現場のカイゼン指導もします
が、営業開拓も原価計算や価格決定も自社でできるようになること。さらに採
用や育成も自社でできるようになること。普通の会社が普通に社員を雇って普
通にできることをできるようになるには、膨大な育成の仕組みが積み上がらな
ければならないものと思っています」。
私の業態のあり方を学ぶための塾の最終回。製造業の経営支援をして独立し
ようと考えている参加者が、他の参加者に続き、所信表明の短いスピーチをし
た。
零細下請工場に限らず、多くの零細企業組織には、当り前の経営機能の多く
が備わっていない。それらの機能は、元請会社やフランチャイズ本部や親会社
に依存して済ませている。参加者には、予てより、他のどこかの組織に生殺与
奪を完全に握られている状態から脱するためには、学びが決定的に欠けている
ことが組織の最大の課題と伝えていた。
行かねば資格の更新ができなくなるので仕方なく参加する、年一回の中小企
業診断士の研修。今回の講師は海外で製造業の現場カイゼン指導の実績豊富な
人物。先進国も含めた海外の製造現場の映像が紹介される。講演内容には、日
本人なら誰でも直感的に分かる作業改善の余地が呆れる位に溢れている、グロ
ーバル化と共に、このような現場での日本人による指導へのニーズは高まって
いると説明される。
立ち作業の時間のうちの八割以上が手待ち時間である作業員。加工後の金属
片を一個々々数メートル先の籠に投げ入れる工員。ベルトコンベヤで流れて来
る缶詰の開口部に調味料をスプーンで“撒布”して適量を入れたとする作業者。
ハンディカメラの映像の中の驚くべき作業に、講師が「何が問題ですか」と尋
ねる前から、会場で失笑が漏れ、意気揚々と回答者が、予想通りの答えを述べ
る。ビフォアとアフターの画像を並べて比較して、講師が「そうですね。この
人は全く要りませんね」などと解説すると、爆笑が湧く。
質疑応答の時間。「先生のご経験の中では、要らなくなった人々は、どのよ
うに処遇されるのですか」と、雰囲気を引きずって笑いながら質問した参加者
がいた。時間の関係か「何か他の仕事をして貰うことになりますね」との講師
の答えを深く追求した者は居ない。先進国の事例も多い中で、簡単にその工員
にもその工場自体にも「他の仕事」が見つかるのか否か、私は知らない。経済
や社会の課題を見る時、日本は先進文明国であるという説明を聞くことがある。
ならば、「要らない」と断じられ物笑いのタネにされた画像中の人々は、いつ
か「何か他の仕事」が簡単に見つからなくなることだろう。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】
零細事業の終わり方を考えてみました。
現在公開されている映画(明日終映予定)
『劇場版 笑ってさよなら 四畳半下請け工場の日々』
をみて考えた感想を、
いつもの映画感想ブログ『脱兎見!東京キネマ』にまとめました。
是非一度ご覧下さい。
http://tales.msi-group.org/?p=490
関連するソリアズ二話『未明の野菜』・『余命の堆積』にも、
リンクで飛べて併せ読みも便利です。
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
第296話 『教訓の源泉』 (5月25日発行)
仕事術や仕事に対する価値観を人はどこから学ぶのかと考えることがありま
す。特に個人事業主になると、指導・鞭撻をしてくれる存在が身近に居なくて
も不思議ではありません。そのようなことについて考えてみました。
(完)