7月末日の封切から約1週間を経た金曜日の真夜中午前1時10分の回(ですので正確には土曜日の未明ですが)をバルト9で知己と一緒に観てきました。かなりの人気度合いで、上映回数はかなり多い状況です。当日のバルト9だけでも、ドルビーの字幕が1日3回、字幕が3回、吹替が4回で合計10回の上映になっています。ネットで見ると週末は増量するようで、翌日の土曜日が1日12回、日曜日が13回という力の入れようです。
上映館もそこそこ多く都内では36館、新宿ではマルチプレックス系4館揃い踏み状態です。ピカデリーが1日7、8回。歌舞伎町のゴジラ生首ビルの映画館が1日11回程度。歌舞伎町高額映画館が1日8、9回ぐらいの週末の上映回数となっています。合計すると新宿だけで1日40回ほど上映されていることになります。
全国で見ると、地方都市にはマルチプレックス1館という地域も多いせいかと思いますが、360館で上映されています。東京都が10%という割合はかなり低めと言えるかと思います。この分布は大作にはほぼ共通のようで、先日観た『トイ・ストーリー5』は都内の上映館数38に対して、全国が382ですから、ほぼ同じ構造です。
マイナーな映画だと、全国でも10館に満たない上映館のうち、2、3館が都内に存在するようなケースが多く都内の映画館比率が全国に対して3割前後になっています。さらに、全国で1館しか上映していないような超マイナーな作品では、概ね都内にその上映館があるので、都内上映割合100%となります。このように見ると、大作映画程全国区で上映され、その結果都内の上映館構成比が引き下げられるということが分かります。
私がこの作品を観たいと思った理由はそれほど大きなものではありません。マーベルの映画作品の『アベンジャーズ』シリーズに登場する分を除くと、実写のスパイダーマン映画は3シリーズがあります。私が一番好きなのは第1シリーズのサム・ライミが監督した3作品です。これらは劇場で観たような記憶がありますが、この『脱兎見!東京キネマ』を書き始める前のことですので、記録がありません。そして、第2シリーズは2作とも劇場で観て『脱兎見!…』に感想を挙げています。嫌いではありませんし、かなり原作に忠実ではあるようですが、どうもパッとしない印象でした。
そのような印象を抱いた理由には、多分、日本製の優れたスパイダーマンのコミックシリーズを知ってしまっていることが大きいように思えています。2014年に書いた『アメイジング・スパイダーマン2』の感想には以下のような部分が含まれています。
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今回観ても、やはり私はテイストとしてサム・ライミ監督の『スパイダーマン』シリーズの方が好きだと自覚しました。けれども、『アメイジング・スパイダーマン』の第一作同様に、等身大のちょっとチャラ目の若者青春劇としてこの作品を観たら、それなりに成立していると思います。前作同様に、ふざけたシーンは散見されます。プルトニウム輸送車からこぼれおちるカプセルを、「あらよっと」のような台詞をぶつぶつ言いながら、ジャグラーの芸当のようにあしらいます。覚醒した直後のエレクトロが街を破壊し始めた時に、ウェブ・シューターが電撃で片方破壊されたことから、直接対決を避け、消防隊を呼んで来て、放水によって放電を起こさせ倒すのですが、その際もわざわざ消防隊のヘルメットを被り、消防隊のチームに交じって事を為すようなギャグ的展開になっています。
確かに、アメコミの原作の世界観ではスパイダーマンは、或る面チャラいキャラであったと思いますので、原作に忠実なのだと観ることはできるでしょう。私の知る元々のスパイダーマンのイメージは、ほんの数冊(ネットもない時代に)洋書売り場で買うことができたアメコミの翻訳本と、大好きで全巻何度も読み返した池上遼一原作のコミック『スパイダーマン』と、子供くさくて直ぐ見るのを止めた巨大ロボまで出てくるテレビ番組の『スパイダーマン』でした。
その私にとって、悪役も含め、原作の世界観をきっちりと作り込んだ『スパイダーマン』が登場したのは、やはり、サム・ライミの『スパイダーマン』です。しかし、サム・ライミ版でさえ、今改めて『アメイジング・スパイダーマン』二作を見ると、原作をベースにサム・ライミ流の質の高いエンタテインメントに仕上げた作品だったことが分かります。その意味では第二作で私は“原作に忠実な青春劇”と言う観点で『アメイジング・スパイダーマン』シリーズを相応に高く評価できるようになりました。DVDは入手決定です。
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そして、第3シリーズです。第3シリーズはこの作品を含めて4作もあり、3シリーズの中で最長になりました。私は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』や『アベンジャーズ』に登場する米国のバカ高校生丸出しですぐに慢心し増長するガキとして描かれるスパイダーマンに全く好感が持てなかったので、このシリーズはすべてレンタルのDVDで観ることにしていました。第1作目と第2作目はガキのドタバタ騒ぎ的なテイストが多く今一つ好きになれないままでした。敢えて言うなら、特撮技術が以前に比べて格段に進んでいるため、そういう面で堪能できる部分が多少なりとも増えたと言った感じぐらいでした。
ところが第3作で事態は急変します。第2作の終盤ギリギリでやっつけた敵の置き土産で全世界に正体をばらされてしまったスパイダーマンの生活が俄か芸能人のようになってしまい、おまけに誤解や捏造による糾弾や逮捕・拘束劇まで加わって、自分の周囲の人間さえもまともな生活が送れ無くなっていきます。その結果、彼はドクター・ストレンジに依頼し、世界が「ピーター・パーカーがスパイダーマンであるという事実を忘れる」都合の良い魔法がないため、代わりに世界が「一旦、ピーター・パーカーという人物の存在を忘れ去る」という選択をし、交際相手や仲間とも泣く泣く別れる決断をしてしまうのでした。なかなかな展開です。そして、この魔法をかける際にも本人の七面倒なリクエストによりすったもんだが起き、過去の悪役が多数出現する代わりに、なんと過去2シリーズのスパイダーマンまで登場する大サービスの展開となったのでした。
ここまで来ると、そろそろ第3シリーズも劇場で観るに値するようになったかと思えてきたのです。そこへさらに細かな私が観る動機を高める詳細な作品情報が幾つか加わりました。一つは、トレーラーやその他のネット情報から、どうもブラック・ウィドウが登場するらしいという話です。ブラック・ウィドウは既にアベンジャーズの本編の方で死亡しています。当然、そのアベンジャーズ作品にも登場している第3シリーズのスパイダーマンもその事実を知っています。それを時系列的に後のこの作品でどうやって蘇らせるのか関心が湧いたのでした。
二つ目の要素は今回の敵の不可思議な能力です。どうも憑依ができるようだという話でしたが、憑依だけではなく、自分から半径何100メートルかの円状のエリア内の人々の動きを(時間を止めるのか、意識を乗っ取るのかよく分かりませんが)停止させることができるようなのです。私の知る限り、スパイダーマンにはこうした悪役は存在していないように思えましたので、この悪役がいったい誰なのか気になったのです。非常に似ている能力を持っているのはX-MENシリーズのプロフェッサーXです。しかし、米国ではそこそこ評価が高いという噂も聞く、私には超駄作の『LOGAN/ローガン』で能力が殆どなくなりかけているウルヴァリンに老老介護をされつつ、たまにボケて小用さえ自分で覚束なくなってきていて、癲癇の症状で全三次元方向数十メートルに渡って無差別に人間を麻痺させる超傍迷惑な老人に成り果てているはずです。本作が時系列的に『LOGAN/ローガン』より前のものだとしても、少なくともプロフェッサーXが自発的にそういった行為をするとは思えませんし、謎が深まる感じでした。
また、映画雑誌の情報では、アベンジャーズの次作が『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』であることも一つの要素でした。ドゥームズデイの名を冠する話は、私の若い頃にコミックか何かで観た作品で言うと、ドクター・ドゥームとかいう鉄仮面のようなものを被った天才科学者とファンタスティック・フォーとの戦いの話でした。マーベルの作家によってコロコロ設定が変わる世界観の中で、ドクター・ドゥームは使い回され、いろいろな作品に悪役として登場するという話は聞いていましたが、アベンジャーズの敵になるとは思っていなかったので、意外でした。そして、その勢いで、ネットで検索すると、『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』の映画作品のウィキまで既にできていることを発見し、読み込んでみたのでした。すると、今までダラダラと耐えられないほどに滲み広がり続けたMCUの集大成ともいえるような、アベンジャーズもX-MENもデッドプールもファンタスティック・フォーも何でもかんでもがごった煮のような作品だと知りました。とすると、製作タイミングが近い今回のスパイダーマン作品である本作も、この『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』にかなり直接的につながる作品であることが想定されるように思えました。
そのようなごった煮集大成作品が待っているのなら、第3シリーズで世間から忘れ去られていじけてしまっているスパイダーマンは社会復帰をしておいた方が良いということかと思えましたから、第3シリーズのこのタイミングの新作である本作に関心が多少高まったのでした。
映画.comの作品案内には以下のように書かれていて、先述のX-MENのプロフェッサーXに酷似した能力を持つ悪役については「かつてない脅威」として言及されているだけで、単なる単品の物語のネタバレ防止策ではなさそうな隠しネタを感じさせます。
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マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に属する、トム・ホランド主演の「スパイダーマン」シリーズ第4作。前作「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」の4年後を舞台に、人々の記憶から消えたピーター・パーカー=スパイダーマンの新たな戦いを描く。
愛する人たちを守るため、全世界の人々から自分の存在の記憶を抹消する道を選んだピーター・パーカー。自分のことを誰も知らないニューヨークで孤独に暮らしながら、スパイダーマンとして犯罪と戦い、街の人々を守ることに全力を尽くす日々を過ごしていた。しかし人々のスパイダーマンへの期待が高まるにつれ、そのプレッシャーが彼の存在そのものを脅かし、命に関わる身体的変異を引き起こしてしまう。時を同じくして、街では不可解な犯罪が頻発し、かつてない脅威がスパイダーマンに迫る。
共演にはMJ役のゼンデイヤ、ネッド役のジェイコブ・バタロンら前3作でおなじみのメンバーに加え、MCUドラマ「デアデビル」「パニッシャー」に登場するフランク・キャッスル=パニッシャー役のジョン・バーンサル、「アベンジャーズ」のメンバーであるブルース・バナー=ハルク役のマーク・ラファロも参加。監督は前3作を手がけたジョン・ワッツに代わり、「シャン・チー テン・リングスの伝説」のデスティン・ダニエル・クレットンが担当。
2026年製作/145分/G/アメリカ
原題または英題:Spider-Man: Brand New Day
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
劇場公開日:2026年7月31日
[以上引用↑]
シアターに入って席に着いた際には20人余りだった観客が、暗くなってからも増え続け、最終的に50人近くに膨れ上がったように思います。2人連れはざっと見で13、4組いたように見え、殆どが男女の組み合わせで20代から30代前半ぐらいの若い層です。男性同士の2人連れも1組は確認できました。男2人に女1人の3人連れも1組いて、エンドロールが始まるや否やシアターを後にしていました。
それ以外は単独客ですが、年齢は2人連れより平均的に高く、30代から40代に中心層がありそうでした。基本的に見渡して暗がりでも認識できる範囲では私が最高齢の観客であったようです。単独客は7割近くが男性で女性は限られています。ですので、観客全体で見ると、半分よりも男性が多い結果になっていました。
驚かされたのは、この作品の上映前にトレーラーで『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』が流れたことです。そこには車椅子に乗ったプロフェッサーXがチラリと登場していました。その他にファンタスティック・フォーの面々も登場しており、想像通りのごった煮状態になっていました。余計に本作の悪役の正体が気になり始めました。
作品を観てみると、第3シリーズ全体に通じる点ですが、世界観そのものは少々小粒です。もちろん、悪役はいつにもまして強大ですし、ニューヨークの街の被害も甚大ですが、劇中で入浴ばかりしていて訪ねて来たスパイダーマンまで一緒に入浴させるブラック・ウィドウがいみじくも言うように、ブラック・ウィドウたち(=アベンジャーズということでしょう)が扱う問題が「巨大なジャガイモ」であるのに対して、本作の事件は確かに「ほんの小さなジャガイモ」でしかありません。(大体にして、ニューヨークの人々を半径1kmの円の中で“凝固”させた世界さえ、パニッシャーが遠距離から放った銃弾一発で解消できるような代物ですから、確かに「小さなジャガイモ」です。)
そうした意味では、本作は面白味に欠けます。しかし、MCUのダラダラと膨張して弛緩したような世界観に付き合いきれず、ここ最近多くの作品をパスしている中で、抜けている情報を色々補うには非常に有益な作品で、その面白さがメインにある中で、物語設定も一応楽しめる程度にはまとまっていると認識すると、十分許せる作品です。
抜けている情報の主なものは、3つあります。
一つは主要脇役の近況情報です。準主役と言っていいぐらいの大活躍なのはパニッシャーです。彼はスパイダーマンとも共闘することがあると彼のウィキに書いてあるのを発見しましたが、私の朧気な記憶ではデアデビルに登場するキャラぐらいの存在でした。現実に最近製作されているテレビシリーズのデアデビルにもかなり重要キャラとして登場しているようですし、さらにその後、自身の物語である『パニッシャー』がテレビシリーズになっているとのネット情報でした。私はそのキャラがどんなものかほぼ全く知らなかったので、本作は非常に良い学習材料となりました。元海兵隊員で、戦闘のプロといった存在のようで、本作でもその能力を如何なく発揮し、スパイダーマンを概ねサポートしています。
他には先述の風呂に入ってばかりのブラック・ウィドウとハルクがいます。パンフが売り切れているので、ネットで調べてみると、ブラック・ウィドウはスカヨハが演じたブラック・ウィドウが死んでから、その義妹が襲名した二代目ブラック・ウィドウとのことでした。初登場は『ブラック・ウィドウ(2021)』で、その後『サンダーボルツ』にも登場しているとのことですが、両者共に劇場では観ておらず、後者はトレーラーで観て、今一つ食指が動かないような作品でした。前者の方は、観たい作品が集中する中で尺が長い作品の優先度を下げた結果、劇場鑑賞の機会を逃し、その後、“円盤化”はされたものの長らくBlu-rayだけでした。つい先日DVD化もされたばかりなので近日中にレンタルして観ようと思っていたところでした。
そういえば、『サンダーボルツ』のトレーラーを観た際に、どうも役割的にブラック・ウィドウのような存在の女性を認識していて、トレーラー中でも「ブラック・ウィドウ」と呼ばれていたことに気づいていましたが、顔もきちんと認識できないままに、ぼんやりと「最近の話題のドラマ『VIVANT』の第二期でシレッと役者が交代していたバルカ出身の少女と天才ハッカーの若い女のような感じで、スカヨハが飽きて降板した結果の入替えかな」ぐらいに、無意識的に受け止めていただけでした。しかし、二代目と言われると、是非鑑賞予定の『ブラック・ウィドウ(2021)』で観てみたいと思えました。
初代ブラック・ウィドウとちょっと色恋沙汰もあったはずのハルクは、本当はかなり優秀な科学者なのに、バカ力を持て余す残念キャラの役回りが多いのですが、今回も憑依され大暴れして回る残念キャラで、期待を裏切りません。
そして、もう一人、問題の悪役がいます。なんとそれは10代の少女で、驚くべきことに、X-MENシリーズに登場するジーン・グレイでした。確かにプロフェッサーXと同等の能力(+サイコキネシス)を持ち、それをダーク・フェニックスとして解き放つと、とんでもないことになってしまうほどでしたので、プロフェッサーXと酷似した能力と私がトレーラーを観て感じたのもおかしなことではありませんでした。
彼女の存在が二つ目の補完情報要素につながります。それはX-MENの世界観との連結です。『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』のウィキのページには現時点ではジーンの名前は登場しませんが、トレーラーにも姿を見せている通り、プロフェッサーXは登場します。しかし、X-MENの世界とアベンジャーズの世界は、突如つながった訳ではないことを私はつい最近知りました。それは、これまた、第2作が今一つの出来だったので気が乗らず劇場公開でパスしていた『デッドプール』シリーズの第3作の『デッドプール&ウルヴァリン』においてのことです。この第3作は先述の『ブラック・ウィドウ(2021)』と同様で、劇場公開から日を置かずBlu-rayだけで“円盤化”され、その後、つい先日漸くDVD化さて、早速レンタルして観たばかりでした。その中でデッドプールはアベンジャーズ・シリーズに登場する事務方(元運転手ですが)のハロルド・“ハッピー”・ホーガンの許に行き、アベンジャーズに入りたいと希望して面接を受けているのです。
デッドプールは元々X-MENのスピンオフ作品として一応成立していますし、デッドプールのシリーズの中にもX-MEN(の端役)が一部登場します。ですから、デッドプールを介して既にX-MENの世界とアベンジャーズの世界は連結していたと解釈することができるのでした。
(ただ、デッドプールは第四の壁をも破る能力設定ですので、ありとあらゆる物語作品のエピソードがごっちゃ混ぜの中で話が進みます。『デッドプール&ウルヴァリン』では、2005年の私も結構楽しんだ『エレクトラ』でエレクトラを演じたジェニファー・ガーナ―が、なんと19年ぶりにエレクトラを演じていたりしますし、私はDVDで一部作品しか観ていない『ブレイド』シリーズのブレイドも、エレクトラ同様に、ウェズリー・スナイプスが19年ぶりに演じているとウィキに書かれています。)
面白いのはファンタスティック・フォーのヒューマン・トーチで、演じているのは『ファンタスティック・フォー』シリーズの作品同様、クリス・エヴァンスです。彼はMCUではキャプテン・アメリカを演じているのですが、それがデッドプール作品の中の笑いネタになっています。ウィキには以下のように簡潔にまとめられています。
[以下引用↓]
演者のクリス・エヴァンスはMCUでキャプテン・アメリカを演じている。そのため、「発火(フレイム・オン)」の掛け声とともにヒューマン・トーチであることが顕になるまで、デッドプールはヒューマン・トーチをキャプテン・アメリカだと誤解していた。
[以上引用↑]
笑えます。このような諸々の作品群が話題に上がるだけだったり、プロフェッサーXの双子の妹がいきなり悪役で新登場したりとぐちゃぐちゃの大混戦状態の物語でしたが、そうしたふざけたごった煮ではなく、何らかのまともな理由によって、各種の登場人物が大集結するのが、『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』で、そこに現状はウィキには名前も載っていませんが、少女時代のジーン・グレイが(本作で強烈な能力を見せつけている以上)登場するのかもしれません。その場合、本来のX-MENシリーズにはジーン・グレイが2人分登場していますから、彼女らとの整合性をどのようにするのかはかなり見物かもしれません。
三つ目の情報は、スパイダーマンの身体状況とその能力向上についての情報です。トレーラーでも主人公が体に変調を来たしていることが分かっていましたし、それが(眼球が真っ黒になるような描写から)望ましくないものであることが想像されていました。そして映画.comの先述の説明文には「しかし人々のスパイダーマンへの期待が高まるにつれ、そのプレッシャーが彼の存在そのものを脅かし、命に関わる身体的変異を引き起こしてしまう。」と書かれています。
観てみると、身体的変異は間違いなくその通りですが、原因も違いますし、効果効能も異なります。原因の方は社会からの期待によるプレッシャーも僅かにあったかもしれませんが、それ以上に、自分のことを忘れたMJの様子を見に行ってみたら、べたべたと付き合っているカレシができていることを発見してショックを受けたことが原因です。またここでもガキっぽい物語設定が登場するのには少々辟易させられます。それで起きたことは、蜘蛛由来の遺伝子の活性化による蜘蛛系のホルモンの急上昇と爆発的な蜘蛛人間としての能力向上でした。心臓バクバクにはなっていますから、ED薬の飲み過ぎよりは危険な状態かもしれませんが、少なくとも、終盤では彼を(嘗てトニー・スタークから貰ったハイテク・スーツを身に着けた際の彼の強さが目じゃないほどの)無敵レベルで強くしており、必ずしもマイナスではありません。
おまけに、従来はウェブ・シューターで人工的に限りある糸を発射していたのに対して、覚醒後(というか、失恋追い詰められ後でしょうが)には、サム・ライミ監督作のスパイダーマンのようにオーガニック・ウェブといわれる生体組織から(体が疲労困憊しない限り)幾らでも出せる糸を大量に扱えるようになっています。これで彼にはこの体に負荷のかかる爆発的な能力の発揮と、それを自作の装置によって抑制してウェブ・シューターを用いて従前の能力を発揮するという選択肢ができたことになります。今後この能力をどのように使い分けていくつもりなのか、注目されます。
こうした細部情報の事典として観た時、この作品は先端的CG技術の画像と相俟って鑑賞の価値があるように思えます。少なくとも、私には偶然DVDでほんの数日単位で先行して観ていた『デッドプール&ウルヴァリン』と合わせて、次作『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』の長大で出来栄えの良いトレーラーといった存在の作品でした。DVDは辛うじて買いです。
追記:
第四の壁を破った感じでごちゃごちゃに多くの作品が混じり込んだ『デッドプール&ウルヴァリン』と、正攻法でMCUの一区切りを狙ったように見える『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』の二つの作品で、少なくとも私が認識した限り全く言及されていないマーベル作品があります。それは私が劇場鑑賞した『マダム・ウェブ』です。その欠落の理由は『モービウス』や『ヴェノム』も同様ですが、MCUとはうっすらと弱い関わりしかないSSUの世界であるからということかもしれません。
マダム・ウェブ自身は盲目になり未来予知(+α)の能力を発揮するようになりますが、特に戦闘能力が高い訳ではありません。しかし『マダム・ウェブ』の中には3人の異なるタイプの若きスパイダーウーマンが登場しています。彼女達は本来『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』にも成長して集結してもよさそうに思えますが、どうもそういう展開にはならなさそうに見えます。彼女達の今後はどのようになるのか気になりますが、『マダム・ウェブ』の興行収入は低迷した(おまけに主演女優が作品をディスるという異常事態が発生している)との話も聞きましたので、このまま日の目を見なくなるのかもしれず、そうであれば非常に残念です。