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経営コラム SOLID AS FAITH 第637号
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ご愛読ありがとうございます。第637話をお届けします。
今年も早いもので夏休みの到来となりました。台風が迫ったり、危険な暑さ
の日々が続いたりしていますので、諸々ご留意ください。
食料品だけが対象で、ゼロになる訳ではないとはいえ、消費税減税が実現し
そうです。タバコ税や酒税などの税を見ると、税制には懲罰的な意義があるこ
とが分かります。その見方を消費税に当てはめると、「消費する行為について
の罰」ということになります。この考え方を早くから主張している人物の一人
がビル・トッテンで、その著書『課税による略奪が日本経済を殺した 「20年
デフレ」の真犯人がついにわかった!』では経済失調の原因が消費税であると
綿々と書き連ねられています。この主張が妥当なものであるのなら、消費税を
下げれば経済活動は相応に回復するでしょうから、代替財源の議論の必要性は
下がります。
政府の見解には「レジの設定が…」などの話がありますが、増やす際にほと
んど議論されなかったこの話がなぜ減らす際には俎上に上がるのか不明です。
簡単にするのなら移行期間の煩雑さだけではなく、税制維持の煩雑さも議論さ
れるべきでしょう。いっそ二年間時限にもせず、恒久的にすべての消費に対し
て8%や5%に下げる方がよほどシンプルでしょう。ついでに益税の制度もなくせ
ば、煩雑で徒に納税者に負担を増やすだけのインボイス制度も不要になります。
益税は弱者保護のために必要だとする意見もありますが、現行でも「消費税の
歪みは給付金で…」と言われているのですから同じことです。抜本的な改革が
できないのは、不都合が生じるのがレジ所有者だけではないからでしょう。
食料品のみの消費税減税によって、飲食店の業況が厳しくなるという見通し
も聞かれ、その尤度は高いと考えられます。個別の打開策は多様に存在するで
しょうが、結果的には行く価値がお客に認められた店だけが生き残ることでし
ょう。それは競合が激しい多くの市場において既成の原理構造と何も変わりま
せん。中小零細企業にとっての経営環境の変化はまたもや大きく広がることで
しょう。
今回は『内なる脅迫』と題して、指差呼称を最初に取り上げ、無意識レベル
の望ましい習慣の形成について少々考えてみたものです。教えることと、対象
者ができるようになるのは別次元の話ですが、一応できるようになったことが、
習慣的にいつでも確実にできるようになることもまた別次元の話です。そうし
た「教え」から「習慣化」までの別次元を貫通する一つの事例として指差呼称
を考えてみました。ご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想な
どへのお返事の目標納期は5営業日!!
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■『課税による略奪が日本経済を殺した …』 ビル・トッテン 著
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その637:内なる強迫
自分の部屋の訪問者と打ち合わせの後に一緒に出掛ける時がある。身支度を
終えて携行品も持った状態でさえ、早々に部屋を出た相手はマンションの廊下
で私が出てくるのを待つことになる。私は指差呼称をしている。エアコンや照
明、パソコン、果ては水道の蛇口。冬期間なら、電気ストーブや加湿器など季
節故のチェック対象も加わる。相手が「やっと出て来たか」と呆れ顔で私を観
ていても、私はドアに施錠をしてドアノブを捻り施錠を確認して「よしっ!」
と言って指を指す。指差呼称なしでは廊下を歩き始めて10秒後には、「あれ、
ちゃんとやったかな」と疑念が湧いてたまらなくなる。私はかなり抜けが多い。
指差呼称をする人を日常生活の中で見掛けることはとても少ない。駅員や電
車の運転士、後は工事現場の高所作業などの作業員がしている場面にたまに遭
遇することがある。チェックすることはたくさんあるはずなのに、医師や看護
師が指差呼称をしているのを見たこともないし、まして事務員や店員が指差呼
称をしているのを見たこともない。
高卒で入社した巨大電話会社で私は電話局内の設備の保守点検工事などを行
なう要員になった。高校は普通科を卒業したのに、「入社試験の理数系の点数
が良かったから」という単純すぎる配属理由は後年説明された。その職場に入
社してずっと指差呼称をするように指導された。機械の間の移動梯子にストッ
パーをかける時も、機器類のメーターの数字を点検で記録する時も、何をする
にも指を指して「よしっ!」と言った。それでは不十分と考えられたのか「電
圧。よしっ!」などとチェック対象の名称も言うことに後で変わった。
電話会社を退職してから、私の知人友人やクライアント企業の社員でさえも、
指差呼称を行なう人物はいない。彼らはそんなことをしなくても、自分の不注
意に苛まれることはないのか。そして私は七面倒な指差呼称をしなくては他人
と同程度に注意を払うことができないのか。ならば、この習慣をつけてくれた
電話会社には心底感謝せねばなるまい。
若手の離職に悩む建築施工管理会社からの依頼で、スキル・マップを半年が
かりで作ったことがある。安全知識の分野の知識やスキルの中には、素人の私
には目から鱗の細かな項目があったが、「適切に指差呼称ができる」は見当た
らなかった。試しに意見を求めたら、「必ずやらなきゃいけないというもので
もないので…」との曖昧な答えが返ってきた。
必ずやるべきことは誰が決めるのか。何も分からない初心者にこそ一生に亘
って利得を齎す「資産」を刷り込み堅持させてはどうかと思う。娘の参観日に
訪れた小学校の壁の至る所に手洗いを促すポスターを見た。社会人で手洗い習
慣がない人間は多い。しかし、学校の現場で「必ずやらなきゃいけないという
ものでもない」という教諭はいないだろう。
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次号予告:
第638話 『隠れた主事業』 (8月25日発行)
社会の構造上、中小零細企業が避けることができない或る業務について考え
てみました。
(完)