283 為替差益

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経営コラム SOLID AS FAITH 第283号
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ご愛読ありがとうございます。第283話をお届けします。

 当コラムの創刊12周年特別記念号も無事発行が終了しました。中小零細企業
の現場レベルでの新卒社員育成の知恵・工夫についてまとめた内容でしたが、
皆様の組織における人材育成の参考となりましたら幸いです。

 今回の号は、『為替差益』と題して、国内における労働の付加価値について
考えたことをまとめたものです。中途採用一本槍から新卒採用に目を向けた中
小零細企業でも、熱意に溢れ真剣な勤労態度を求めて外国人労働者に着目する
時代になりつつあります。そのような流れを受け、国内労働市場での価値の高
い労働のあり方を追ってみました。参考になるところがありましたら幸いです。
本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへの
お返事の目標納期は5営業日!!
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その283:為替差益

「海外旅行に行って、見慣れたロゴのお店に行くと、接客の悪さにがっくりす
る。この前行ったアメリカでは、マックもケンタッキーも店員が無愛想で失礼
で、行ったことを後悔するぐらいだった」。
 クライアント企業の女性社員の話を聞きながら、私はウンウンと頷いた。こ
こ十年以上、私は海外旅行に全く行く気がしない。国内でさえ、厚顔無恥な対
応する店員が居る店が結構あるのに、海外に行ったら、余程高級なサービスで
ない限り、まともな対応など殆ど期待できないものであろうと思っている。
 
 人事コンサルタントの先生と話をしていたら、ワーキング・プアに話題が移
り、最低賃金引上げが検討されていると教えられる。共感できる彼の意見は、
最低賃金が引上げられれば、多くの人が失業するであろうと言うこと。賃金は
評価と相場に結び付いている。労働の質は向上せず、相場も変わらないのに賃
金を引上げれば、評価に見合わない賃金を貰う人材が大量に発生し、職を失う。
最低賃金の引上げと同時に、労働の質も相応に向上すれば、企業が提供できる
付加価値も増える筈だから、企業も人材も儲かるようになり、経済も上向くと
言う意見もあると先生が嗤う。その非現実的な「意見」に驚愕し、「その意見
の主は、山に籠って霞でも食っているんですか」と私は言った。

 単純労働をマクドナルドの仕事に譬えて、「マックジョブ」と呼ぶと外国の
友人から習ったのは遥か昔。失業率を単純に見ると、国内のマックジョブでも
勤まらない人々は既に溢れている。更に最低賃金を上げると国内のマックジョ
ブでは勤まらない人々はまた増えると見込まれる。海外旅行に行った日本人を
落胆させることばかりの、国外に存在するであろう低質なマックジョブである
なら、これらの人々は勤まるのか。疑問が湧く。

 クライアント企業に行くと、社長が震災の影響について一頻り説明してくれ
た。
「凄いぞ、市川。震災で逃げるように帰国する外国人労働者が多い中、残った
外国人が少しは居るだろ。周囲のそう言う外国人を雇っている社長連中に聞く
と、日本人の若い連中が三日と持たないでやめてばかりいるような仕事で、そ
れほど高い給料でもないのに、やっぱり、物凄い真剣に取り組むらしいぞ。お
前の言う、動機づけの議論とかは分かるが、いっそ、日本人の採用と育成なん
か止めて、震災でも帰らないような外国人を集中的に雇った方がいいかもしれ
ないな」。

 最低賃金を引上げるまでもなく、国内のマックジョブを失う人々は大量に発
生しそうな気配が感じられる。どうも円建ての賃金を得るには、国籍を問わず、
或る資質かスキルが一定量必要であるらしいことが分かって来た。
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次号予告:
 第284話 『汎用と流用』 (11月25日発行) 
 よく「ウチの業界は特殊だから…」と仰る経営者や幹部がいらっしゃいます。
確かにそのような面があることもありますが、それ以前に他の業界と全く同様
の取組みが経営を大きく改善する余地が数多存在するのが一般的です。その共
通性について考えてみました。

(完)