12周年記念特別号

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経営コラム SOLID AS FAITH 12周年記念特別号
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目次
1 ご挨拶
2 中小零細企業での新卒社員採用の事情
3 ソリアズ的人材観による新卒社員育成の論点
4 新卒社員教育 ソリアズ関連号 PART1
5 新卒社員教育の実際
6 性悪説で見通す“症状” 
 【症例?「洗脳」】
 【症例?「便所飯」】
 【症例?「知覚異常」】
7 新卒社員教育 ソリアズ関連号 PART2
8 あとがき

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1 ご挨拶
 
 今回、ソリアズ12周年記念号を執筆させて頂いたNACの根本康宏と申します。
以前7周年記念特別号に寄稿しましたが、今回は本文全部の作成を担当致しま
す。私は、中小零細企業向けの採用・人材育成をメインとした業務に取り組ん
でいる個人事業主ですが、MSIグループの市川氏とは6年程前から提携関係を
結ばせて頂いています。とは言いましても、仕事のイロハを、実践を通じてゼ
ロから教えて頂いており、実質的には師弟関係の方が近いと感じています。

 6年前と言えば、私自身大企業での営業の経験しかなく、中小零細企業の経
営については右も左も分からない状態でした。仕事も無く、食べていくことも
儘ならず、ただ「人材育成」というキーワードを追いかけて、コーチングやア
クション・ラーニングなどの様々な手法を学んでいた時期に市川氏と出会いま
した。
 
 市川氏の独特の早口と迫力のある言葉遣いは、それだけで相手を引き込む力
を持っています。そして、その言葉のほとんど全てにおいて、考え抜かれた理
論と実践の積み重ねがあります。もちろん、出会った当時の私はその内容の半
分も理解していませんでしたが、何か凄いことを得られるに違いないと確信し
ました。
 
「中小零細企業は人材育成最後の砦である」
 市川氏から最初に聞いた心にささる言葉でした。ビル・トッテン氏の話を例
に出し、若者をきちんと育て上げることを当たり前にこなす企業が、日本の経
済や治安を支えていること。そして、中小零細企業は、その役割を果たせる最
後の機関であり、その営みが衰退すれば社会全体のレベルを押し下げることに
なると教えて頂きました。毒舌もしばしばの市川氏に、後光が差したように見
えた瞬間でした。

 その後様々な経緯を経て、勉強会の運営を任せてもらえるようになりました。
勉強会を運営する際は、運営方針やテーマ設定、進行スケジュールなどの報告
を市川氏にまとめて提出します。その際よく言われるのが、「詰めが甘いん
じゃないか。もっと危機感を持たせなきゃ、課題なんて絶対やらないよ」「一
回に盛り込むテーマが多すぎる。もっと絞りこまなきゃ分かったフリの人ばっ
かりになる」「相手が手を抜くことを常に想定しておけ、それをさせないため
にあらゆる策を練ること」といった内容です。徹底的に参加者を信用しないス
タンスに、特に最初の頃は度肝を抜かれ続けました。しかし、実際に勉強会を
進行するうちに、体験的にその真意が分かるようになってきました。

 中小零細企業は、とにかく忙しいのが一般的です。常に仕事に追われる中で、
社員を集めて勉強会を行なうことは生半可なことではありません。勉強会やそ
こでの課題が、低い優先順位になることは想像にかたくないことです。このよ
うな状況下で、参加者の「やる気」「自主性」を第一に尊重して勉強会を行な
えば簡単に破綻してしまいます。私も身を持ってそれを経験して来ました。確
実に成果を上げなければならないとすれば、性悪説的な発想で企画することが、
最も現実的かつ効果的ということになります。

 今回は、勉強会の中でも私が最も多く取り組んでいる、新卒社員育成をテー
マにまとめてみました。「どのような人材であっても、一人前に育て上げるこ
とのできる人材育成」を目指し、ソリアズ的発想の基本である性悪説を切り口
にしています。ヒトの強みが中小零細企業での最大の武器とすれば、新卒社員
育成の環境整備は正にその強みを強化する手段になります。新卒採用や育成を
考える上で、読者の皆様の参考になれば幸いです。

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☆1?12周年記念特別号:
 バックナンバーはこちらでお読みになれます。
 http://tales.msi-group.org/?cat=12
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2 中小零細企業で新卒社員採用の事情

 本章では、中小零細企業の経営者がどのような経緯で新卒採用に踏み切るか
を、ストーリーにまとめました。架空の会社ではありますが、私が実際に観て
きたよくある新卒採用決断の背景を統合した内容です。それでは、ご笑覧くだ
さい。

「このままでは、俺の体力が持たない・・・」。社長の岡田は、一人呟いた。
岡田が経営する会社は、オフィス移転を専門とする30名ほどの運送会社。7年
前から大口顧客からの発注が急に減り、売上が激減した。これを機に岡田は一
人奮起して、得意先や知り合いを通じての新規顧客開拓を開始。その後6年で、
当初の売上の7割まで回復。このままの業務量をこなし続ければ、今年度もな
んとか売上を維持できそうな予測である。しかし、ここに来て岡田は体力的に
限界を感じていた。

 元々、大手メーカーとその関連会社のオフィス移転専属の下請け企業。内部
に営業部など存在しない。社員も見渡す限り、ガテン系トラック運転手。中に
は暴走族上がりの者もいて、茶髪・ロン毛で威勢よく見えても平均年齢は40
歳。やったことの無い業務にはかなり消極的で、自分の業務に固執する。営業
をやらせてみても、名刺交換すらまともにできない。企画などもってのほか。
岡田は、目の前の膨大な業務と、この先のことを考えると暗澹たる気持ちにな
り思わずため息を漏らした。と同時に、「会社の中核を担える人材を新しく雇
うしかない」そう心に決めた。

 一度決めてからの行動力はある。岡田は、いつも通りハローワークに申請を
出した。営業・企画・運送・事務、全てをオールマイティーにこなせる人材を
求めた。しかし、そんな人材がすぐに現れるはずも無く、3カ月経っても自分
の理想の半分さえ満たせる人材に出会えなかった。
 
 次なる手段として、人材紹介会社に当たった。以前に、優秀な人材は人材紹
介会社に登録していると聞いたことがある。早速、担当者に会社に来てもらい、
求める人材像を率直に伝えた。「厳しいかも知れませんが、年収最低600万円
以上であればご紹介できるかもしれません」。紹介料150万円、仮に二人雇え
ばそれだけで300万円の手数料と年間1200万円の給料。渋々了承したものの、
その後紹介された人材は一人だけだった。その一人も理想には及ばず、面接後
向こうから辞退してきた。岡田は途方に暮れていた。
 
 そんな時、知人にMSIグループの市川氏を紹介された。中小零細企業の人材
のことなら、要望に応じていろいろ手を打ってくれるらしい。早速、会って話
を聞くことにした。早口でまくし立てるような口調。たまにギクリとするよう
な核心めいたことを平然と言ってのける。「それなら、新卒採用しかないです
ね」。こちらの状況を伝え、出された答えがこれである。一瞬耳を疑った。新
卒採用など考えたことも無かった。「未経験者を雇っても使えないだろう?」
「教育はどうする?」「そもそもうちに大学を卒業したような人材がきてくれ
るのか?」。次から次に浮かんでくる疑問を、こちらも負けじと市川氏にぶつ
けた。
 
 侃々諤々やり取りをした後、この会社を存続させるには新卒採用以外の選択
肢が、ほとんど残されていないことに気付かされた。求人誌や求人サイトへの
掲載も考えていることを伝えたが、うちのような無名の中小零細企業に優秀な
人材が応募する公算はゼロに等しいことが分かった。苦渋の選択ではあるが、
市川氏の企画の下、社内での受け入れ準備を開始し、新卒採用に踏み切った。
 
 それから2年が経過した。入社した二人の新卒社員は、決して優秀では無い
が、社内業務の基本的な内容は一通りこなせるようになった。当初予想してい
たよりもずっと早く成長したことは、嬉しい誤算だった。また、自らの新規開
拓営業も少しずつ彼らに引き継いでいける目処がたった。何より大きいのは、
社長である自分の考えに共感し、幅広い業務を積極的にこなしてくれている点
である。既存社員も彼らの影響を受けてか、心なしか意欲的になった気がする。
ある朝の朝礼で、5年後の展望について話していると、岡田は自然と自分の胸
が高鳴っていることに気付いた。
 
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3 ソリアズ的人材観による新卒社員育成の論点

「何をしたいのか、はっきりと仰ってください。それが決まらない限り企画の
立てようがありません。目的が決まれば、何だってやりますよ」
 私は市川氏と同行する傍ら、顧客である経営者に対するこのようなセリフを
何度も聞いてきました。企画は目的ありきで立てるものですが、市川氏につい
ては如何なる場合もそのスタンスが終始一貫しており、妥協がありません。
 
 人材育成においても同様です。社長が「人材育成は経営上重要である」と判
断すれば、それに準じた施策を徹底して行ないます。逆に「重要ではない」と
判断すれば、社員の退職も辞さない企画を立案し遂行していきます。このポリ
シーは「私はクライアント企業経営者各々の価値観に従って、コトを進めるだ
けである」(第189話『財の効用』)というソリアズの記載が如実に物語って
います。つまり、人材育成の価値は、経営者の目的次第でいかようにも変化す
るということになります。

 多くの中小零細企業は厳しい環境下で、生き残りを賭けて日々の業務に邁進
しています。会社の存続は、提供する商品・サービスが他社のそれよりも顧客
に選ばれているということの証明です。「中小零細企業の経営者にとって、商
品・サービスは片時も頭から離れることのない、想い入れの塊」と市川氏は言
います。言い換えれば、顧客は経営者の想い入れを購入していると表現できま
す。つまり、それを扱う社員は経営者の価値観を少なからず理解・共感し、そ
れに従って成果を上げる必要があります。

 経営者の価値観を指針に行動できる社員が放っておいても育つのであれば、
社員教育の課題の多くは存在しません。通常、意識的であれ無意識的であれ、
様々な取り組みが積み重ねられた結果として、経営者の価値観が隅々まで行き
届いた機動力のある組織が成立します。
 
 小さな組織であれば、経営者が一人ひとりの社員に関心を持ち、自身の考え
をことあるごとに伝え、間違いがあればその都度叱り正す。経営者一人ではそ
れが困難な規模でも、数人の幹部に対しそれを徹底し、末端にまで影響を及ぼ
す仕組みをきちんと整備する。このような取り組みが、価値観の浸透を可能に
することをソリアズでは伝えています。

 それでは、新卒社員育成の観点とはどのようなものなのでしょうか。新卒社
員は一般的に職業経験が少なく未熟な半面、どのような色にも染まり易いとい
う特徴があります。つまり経営者の価値観を吸収する可能性を十分に持ってお
り、中小零細企業に非常に適していることを意味します。
 
 ただし、社員教育への取り組み次第で、その可能性は組織にとってプラスに
もマイナスにもなり得ます。ソリアズの中でも、「経営資源のうちで、最もリ
スクが高いのが人である」(第157話『理不尽な要求』)と語られていますが、
経験の少ない新卒社員は、その中でもひときわリスクの高い人材であることは
否定できません。

「仮に、太鼓判で採用した新卒社員が、実はやる気が微塵も無く、仕事が覚え
られず、その癖理屈だけは一人前といった人材であった場合、どのような人材
育成が最も適切か?」
 これがソリアズの中核に置くべき価値観であり、第92話『不信のニーズ』で
も同様の内容が語られています。つまり、マイナス方向に行かせないことを徹
底した結果、組織にプラスの影響を及ぼす人材に仕立てることが、ソリアズ的
新卒社員育成と言えます。

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4 新卒社員教育 ソリアズ関連号 PART1

本章では、過去のソリアズの中から、「性悪説」「人材育成」をキーワードに、
私が新卒社員育成において参考になると感じた記事を、所見を交えてご紹介し
ます。

第8話 『虹を追う者』
「目的が決まらないのに、手段を選ぶことはできない」。この言葉は、新卒社
員教育においても、非常に重要な意味を持っています。中小零細企業において
数少ない強みを活かすことは、生き残る上で必須条件です。「強みを活かすた
めに、必要な人材とは」。この問いに具体的な回答が無いなら、新卒社員教育
はメリットが少ないかもしれません。一般的な研修等で補える教育は、広く使
える内容ではあります。しかし、差別化を信条とする中小零細企業であれば、
その企業独自の教育の仕組みを持つことが重要であると考えます。
http://tales.msi-group.org/?p=45

第48話 『おまけの行方』
 巷では「新型うつ病」と言う名で、仕事の時にだけ鬱になる若者が急増して
いるという記事をよく見ます。これは、極端な例かもしれませんが「情熱」・
「覇気」、これらが若手に足りないという話を聞く時、何がそれらを発揮する
ことを妨げているのかが気になります。仮に、会社で最低限の業務だけを行な
い賃金を得ることが目標になっているなら、如何に会社でエネルギーロスをし
ないようにするかを考えるのが必然です。目の前の業務は、全エネルギーを注
ぐに値するということに気付かせられれば、これらの問題の解決の糸口になる
と思います。
http://tales.msi-group.org/?p=89

第56話 『憑依なき言霊』
 人は、外部からの刺激に対して、どのように反応するかを選択する自由を持
っていると言われています。性悪説的人材像が、重要事項であっても無意識に
「無視」という選択肢を選ぶのであれば、それをさせないためにあらゆる手段
を講じることが必要です。重要であっても緊急では無いことは、後回しにされ
て意識の外に押しやられます。その重要事項に対して危機感を付与すれば、
「無視」を選ばせないアラームの役割を果たします。その危機感は、当人の身
に降りかかってくる内容で、具体的にイメージができるものであるほど、効果
が高いように思います。
http://tales.msi-group.org/?p=98

第92話 『不信のニーズ』
「企画はネガティブ発想」。市川氏から度々聞く箴言です。新卒社員育成にお
いても、あらゆる最悪を想定しておかなければ、いざという時には手遅れにな
りかねません。「人を信じることができない資質」が乏しいのであれば、敢え
て時間を作ってでも新卒社員や既存社員のマイナス面に焦点を当て、その一つ
一つに対策を準備していくことが必要です。結果に対する責任こそが、この行
為を可能にすると思います。資質の乏しい私にとっては、人材育成に関わる上
で肝に銘じておきたい内容です。
http://tales.msi-group.org/?p=143

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5 新卒社員教育の実際
 
 多くの中小零細企業では、担当者任せの現場教育(OJT)のみで済ませるの
が主流です。多忙を極める中小零細企業で、環境整備無しで新卒社員教育を行
なったケースを想定し、ストーリーにまとめました。教育担当者に全てを任せ
ることで生じるリスクを、読み取っていただければ幸いです。
 
 笹山は、法人向け顧客管理システムの開発・販売を行なっている株式会社
INGシステムに4月に入社した。創業15年、社員数50名の中小零細企業である。
数十社の不採用の後、卒業目前の3月に何とか手にした貴重な内定である。そ
れ故、喜びも一塩だった。配属先は、希望通り法人営業部に決まった。
 
 社長は厳つい風貌で、何やら底知れぬオーラが漂っていた。最終面接で「一
緒に頑張っていこう!」と握手された時には、緊張と恐怖で思わず震えてしま
ったほどである。「顧客第一」と掲げた標語と、売上実績グラフが社員毎に掲
示されたオフィスは緊張感で張り詰めていた。「うちは、創業以来一貫して顧
客第一主義を貫き、信頼と実績を積み上げてきた。新入社員の諸君も先輩達に
一日でも早く追いつけるよう日々研鑚してほしい」。笹山に対して、社長の野
太い声が響き渡る。

 入社式の終わった翌日から、早速新入社員研修が始まった。3日間で、挨拶
の基礎・電話対応・名刺交換・営業員として心構え・会社紹介・業界情報・商
品知識・ロープレ等てんこ盛りの内容であった。その後、先輩営業員との同行
が始まった。約2週間、得意先への挨拶回りと新規営業の同行を行なう所謂OJT
である。担当は入社3年目の野上に決まった。野上は、売上グラフ上位の営業
員である。言葉数が少なく硬い表情が印象的であったが、笹山にとっては営業
の師匠となる存在である。その言動の全てが見本のように思えた。

「今月は、売上がヤバイな」。野上は内心焦っていた。見込客が、軒並み競合
他社との相見積もりで敗れ苦戦していた。その上、2週間の新卒社員の同行で
ある。正直なところ笹山は足手まといでしかなく、教育に時間を割く気にはな
れなかった。「笹山。研修で一通りのことは学んだろう。究極、営業は体で覚
えるものだ。俺はいちいち口で説明しないから見て覚えろ。それが一番いい勉
強になる」。野上は最初の訪問先への移動中に伝えた。

 ここのところ他社の値下げ攻勢が厳しく、会社全体として販売数は変わらな
いものの、原価割れもしばしばで利益は明らかに落ちていた。そんな中、今朝
の朝礼で社長が開口一番「値下げに頼る営業は顧客の心を掴めていない。安易
に値下げに応じず、付加価値を付けて提案することを徹底しろ」と息巻いた。

 その日の訪問先で、担当者が他社の見積書を机の上に出し「これより10%下
げてくれれば、即契約できそうだ」と提示してきた。大口顧客ということもあ
り、ここで数字が取れれば精神的に余裕ができる。野上は二つ返事で応じた。
これで今月のノルマは何とかなりそうだ。

 商談終了後の帰社途中、今まで黙ってついて来ていた笹山が「社長は、値下
げに直ぐに応じてはダメと言ってましたが、今回の場合はどうなんでしょう
か?」と珍しく質問してきた。すかさず野上は「今回は、直ぐに返事をしなけ
れば契約に結び付かなかった。まずは数字をあげなければ話にならない。社長
は値下げするなと言っていたが、現場のことを分かっていないんだ。だから今
回は値下げして正解だ」と、イラっとしながら答えた。

 このやり取りがあった後、野上は重要な見込み客との商談には笹山を同行さ
せず、近くの喫茶店で商品の勉強をするよう指示した。「笹山、次の顧客はパ
ンフレットを届けるだけだから同行しても時間の無駄だ。ここで勉強してい
ろ」。笹山はそれに従った。

「この2週間で、営業のやり方は野上先輩の姿を見て何となく理解できた。ま
ずは挨拶をしてお客さんと簡単な世間話をする。それから商品説明をして値段
交渉をする。とにかく数字を作ることが先決だ、社長の話を鵜呑みにするのは
まずいな」。淡々と仕事をこなす野上から、笹山は営業の本質を学んだような
つもりになった…。

 その後、NAC根本が若手社員を集めての勉強会運営を任されることになった。
目的は、営業力強化である。以前から問題になっていた利益率の悪化に歯止め
がかからず、社長の一喝では効果が上がらなくなってきていた。特に、入社3
年以内の若手社員は原価割れギリギリの値段で販売することも多く、社長の意
向を全く理解できていないようである。
 
「結局、数字をあげなければ意味がないですから」。現状把握のため笹山に
色々とヒアリングを行なった結果、契約数ねらいの値下げが、最も効果的な営
業手法であると考えられていることが判明した。会社の強みである顧客に合わ
せた肌理細やかな商品カスタマイズが、ヒアリングの不十分さ故に全く活かさ
れていなかった。営業員であれば当たり前に知っておくべき「売上と利益の関
係」、「顧客ニーズのヒアリング方法」をゼロから教えることが、勉強会の
テーマに決まった。

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6 性悪説で見通す“症状”

「とにかく自分を雇ってくれる企業があれば、どこでもがんばります!」
 私自身、大学・専門学校で就職支援を行なう機会があり、真剣な眼差しで、
上記の言葉を伝えてくる何人もの学生に会いました。雇用状況が年々悪化して
いく中、それに伴い就職活動をする前から後ろ向きになり、正社員での就職を
諦める学生が徐々に増えてきています。それでも、結果が出るまで活動を続け
る学生は、しっかりとした危機感と強いメンタリティーを持っている可能性が
十分にあります。

 ソリアズ的新卒社員育成においては、敢えて新卒社員・教育者共に性悪説的
な人材像を想定します。それが現実的に最も中小零細企業に適した視点である
と判断するからです。また、悪い方向へ向かわせない対策は、やり方次第で自
ずと良い方向に向かわせる施策につながります。人材育成の基盤確立は、経営
資源の限られる中小零細企業にとって最も効果的な長期投資のひとつと考えら
れます。
 
 そこで、ここでは、性悪説的傾向を疾患に見立て、昨今の新卒社員であれば
誰もが持っている可能性のある症状を3つご紹介します。また、その症状に対
して、どのような処方箋(対策)を用いればよいのかを明示していくと共に、
その「処方箋」運用時の留意点も併せてご紹介します。

【症例?「洗脳」】 

 企業に対してポジティブな印象を持っている学生が減って来ています。各メ
ディアでは、不景気・不祥事・倒産・リストラなど、何かとネガティブな情報
が毎日取り沙汰されます。就職活動中であれば、友人や家族との会話に、「○
○業界は今後将来性が低い」「お前の内定先もヤバいんじゃないか?」といっ
た内容が頻繁に出てきます。

 企業に対するネガティブな情報にさらされ続けた新卒社員には、その心中深
くに不信感が潜んでいます。特に、第一希望でも無い中小零細企業であれば尚
更です。「最近の若者はストレスに弱い」と言われますが、原因のひとつにこ
の不信感が作用しています。

 人は、繰り返し見たこと・聞いたことは、無意識に信頼します。仮に、「企
業は危険な存在」と信じていれば、上司や先輩の何気ない言動が引き金になり、
警戒心が一気に高まります。その結果、ストレスを溜め込み、転職サイトや求
人誌に触発されて退職します。

 実際に、私が勉強会を行なっていた企業で同様のことがありました。飲み込
みが早くやる気のある新卒社員が、ある日を境に残業や社内教育に対し不平不
満を言うようになりました。そのうち、労働基準法を持ち出して不満を訴える
ようなり、間もなく退職しました。トップダウンの指示が強い社風で、引き金
になる言動は多数あったように思います。

 中小零細企業は、大企業と比較して弱みはいくらでもあります。そのような
環境下で、新卒社員が知らぬ間にストレスを溜め込み、仕事の醍醐味を経験す
ることなく去っていくことは本当に不幸です。企業不信につながる情報が、会
社や当人を含め不幸にするのであれば「洗脳」と言っても過言ではありません。

<処方箋>
■仕事のやりがいを日々のコミュニケーションに織り込む
 まずは、新卒社員は潜在的に不信感を持っていると、想定しておくことが大
切です。その上で、入社式・OJT・各種研修・面談・普段のちょっとした会話
に至るまで、日々の業務に意義が感じられるエピソードを繰り返し伝えていき
ます。「如何にお客様に必要とされているか」、「仕事でどのように成長でき
るか」などです。
 
 特に、OJTでこれを実践することは効果的です。OJTでは業務内容を教えると
同時に、毎回「目的」「効果」「影響」を付けくわえて伝えます。具体的には、
「これをやれば、お客様の手間が省けて喜んでくれる」「少しきついが、これ
をやり遂げれば確実にスキルが身に付く」などです。これは、うまくいけば短
期間で新卒社員の仕事姿勢に変化を発生させます。
 
 更に、新卒社員自身に、仕事の意義ややりがいを語らせる場面を作れば効果
的です。人は、他人から言われるより、自分で言ったことの方を信頼します。
実際に、勉強会で仕事のやりがいをブレストしてもらったことがありますが、
「思ったより自分たちの仕事は面白い内容なんですね」と発言する新卒社員が
散見されました。

<留意点>
 上記の処方箋は、既存社員との連携があってはじめて功を奏する内容です。
仮に、性悪説的既存社員が多数を占める会社であれば、可能な限り新卒社員と
話をさせないのが最も効果的です。
 
 しかし、それが現実的でない場合は、性悪説的社員に対しても仕事の意義や
遣り甲斐を語らせる場面を繰り返し作ることです。ソリアズでは、新卒社員が
辞めたいと言い出した場面を想定し、絶対に辞めさせないように説得するロー
プレが紹介されています。(第198話『数寄の理屈』)意識の焦点をどこに向
けるかで、仕事へのモチベーションは大きく変化します。

【症例?「便所飯」】

 便所飯とは、学校や職場で昼休みに一人で食事することに抵抗を感じ、人目
の触れないお手洗いで昼食を取る行為です。TV・新聞・雑誌等で一時期頻繁に
報じられました。私も、ある専門学校で食堂利用に関するアンケートを実施し
た際、お手洗いで食事を取る人は居ませんでしたが、「一人であれば昼食は取
らない」と返答した学生は散見されました。
 
 これらの症状の心理的な要因として、一人で食事をする自分には価値や魅力
がないのではないかという不安があります。ここで特に驚くべきことは、生理
的な不快感や生存に関わる欲求を凌ぐまでに、居場所が無いことへの不安感・
恐怖感が高いことです。

 これが新卒社員の実態であれば、誰からも必要とされていないと「感じる」
職場や、周りから孤立していると「感じる」職場は、耐え難いストレス要因で
あり、パフォーマンス低下や早期退職つながることは容易に想像できます。苦
労して手に入れた内定でも、このストレスに晒されれば、新卒社員の心は直ぐ
に折れてしまいます。

 以前、女性社員がすぐに辞める職場で、原因究明のためにヒアリング調査を
実施したことがあります。その際、会社に対する様々な不満が出てくるものの、
共通していたコメントは「自分の価値を認めてもらえない」という内容でした。
これは、経営陣から期待される程の社員であっても同様でした。いかに居場所
があることを「感じて」もらえる職場を作ることが重要かを実感した次第です。

「日々努力し、居場所は自ら作るのが当たり前である」。経営者であれば、こ
のように考えるのが一般的です。しかし、折角教育した能力のある新卒社員が、
居場所が感じられないという理由で辞めていくのはもったいないことです。

<処方箋>
■兄さんお姉さん制度
 お兄さんお姉さん制度とは、新卒社員に対して先輩社員の担当を決め、定期
的な面談や食事を行なう仕組みです。新卒社員は入社してしばらくは、緊張状
態が続き無意識にストレスを溜め込んでいます。そこで、社内で初期の人間関
係がきちんと形成されるまで(期間は3カ月?半年程が目安)、先輩社員が意
図的に居場所を作ります。
 
 定期面談の場では、プライベートな会話も行ないますが、意外に新卒社員か
らは業務に関する質問が多いようです。単にそういう機会があるというだけで、
居場所感を与え、やる気を高める効果があるようです。

■交換日記制度
 先輩社員と新卒社員の間で行なう交換日記です。その内容には、不満なこと
を書いてもらうことを意図しており、敢えて「業務内容で理解できなかったこ
と」「今日不満を感じたこと」などのネガティブな項目を設けます。これは、
無意識に溜まるストレスを顕在化させ、解消するためです。

 ポイントは、先輩社員は新卒社員の不満を受け入れるというスタンスで日記
に返事をすることです。もし、相手を否定するコメントを返せば、本音のやり
取りが不可能になります。未熟な部分を諭す際は、相手を一旦受け容れた上で
改善を加えるよう仕向ければ、やる気が高まることもしばしばです。

<留意点>
 お兄さんお姉さん制度や交換日記は、新卒社員の内面に触れるデリケートな
施策です。そのため、対応する社員が性悪説的社員であった場合は、全く逆の
効果を及ぼす可能性さえあります。心無い一言が、施策全体を台無しにしてし
まいます。そのため、事前に徹底した準備を行なうことは必須です。
 
 実施の事前準備の内容は、大きく分けて二つです。一つ目は、「新卒社員教
育は最重要課題」と「早期退職者を出さない」といった断固たる決意を経営者
が伝えることです。ここで、しっかりと決意を伝えることで、危機感を持って
対応する下地が作られます。
 
 二つ目は、既存社員の手で面談・交換日記対応のFAQを作成してもらうこと
です。準備に巻き込むことで当事者意識を高めると同時に、メッセージを統一
することができます。実際に、勉強会でFAQを作成してもらうこともあります
が、どの企業でも複数の返答内容において経営者の意向に合わなかったり、社
員間で意見が割れたりということが起きました。矛盾したメッセージや教育担
当者の独自の判断で、新卒社員を混乱さないためにも重要な取り組みです。

【症例?「知覚異常」】
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「下流志向」の人々には、自分が理解できないことや自分が知らないことをな
かったことにできる能力があるという。彼らから見た世界には、彼らが分から
ないことが全く存在しない。彼らは全能で新しい発見は一切発生しない。学ぶ
喜びもなければ、何かの道に励むこともない。
==============<第263話『解せない記号』より抜粋>=

 ソリアズでも再三取り上げられている書籍『下流志向』ですが、上記はその
特徴が端的に表現されている一文です。私も購読しましたが、若者の内発的動
機による成長の喪失が繰り返し述べられており、新卒社員教育にも直結する極
めて深刻な内容です。

 実際に現場でよくある例として、次のようなものがあります。新卒社員に業
務を教えた後に「わかないことがあるか?」と聞くと「ありません!」と答え
ます。そこで実際にやらせてみると全くできず、同様のことを何度も繰り返す
という内容です。当人に悪気は無いのですが、その時点では理解した気持ちに
なっているため質問が出てきません。つまり、何が理解できていないのか分か
らないのです。

 スキルを身につけるプロセスに「成長の4段階」というモデルがあります。
具体的に4段階は、以下のようなものです。
(1)無自覚・無能⇒    (2)自覚あり・無能⇒ 
 (3)自覚あり・能力発揮⇒ (4)無自覚・能力発揮

「何が理解できていないのか、分からない」というのは、このモデルでは第一
段階のことを指しています。因みに第四段階は俗に言う、体で憶えた状態です。
 
 この症状は、できていないことを強制的に自覚させない限り、第二段階(自
分に何ができないかを分かっている状態)にいつまで経っても到達できない質
の悪さがあります。つまり、教えて放っておけば、その教育時間が無駄になる
可能性があるということです。そのため、「強制力」と「確認」が伴う教育の
徹底が必要です。

<処方箋>
■スキル・マップ
 スキル・マップの特長は、習得すべき各スキルの達成基準・期限が明確に
なっており、準備されたテストをクリアしない限り、何度でも再教育が行なわ
れる点です。そのため、分からないことを無視する習性に抗して一定の育成効
果が期待される施策です。
 
 また、分からないことを強制的に自覚させることを繰り返せば、この症状の
根本的な治療につながる可能性があります。ただし、新卒社員には高いストレ
スが伴うため、お兄さん・お姉さん制度や交換日記を並行して行なうことが好
ましいです。
 
<留意点>
 性悪説的社員であれば、間違いなく他責型です。新卒社員が成長しなければ、
原因を自分の教え方などではなく、新卒社員の能力の低さに求めます。そこで、
「教育の効果が出なければ教える側の責任であること」と、「教育は業務の一
環であること」を経営者から事前にしっかりと伝えておく必要があります。

 上記の地ならしを行なった上で、スキル・マップ作成と環境整備に教育担当
者を巻き込みます。スキル・マップには、日常業務に密着したテクニカル・ス
キルが中心に盛り込まれます。そのため、現場に近い社員の方が、より実践的
な育成に仕上げることができます。
 
 また、教育ツールを担当者自身で作成すれば、自ずと責任感が高まります。
ただし、注意点としては、その組織の各スキルの質がスキル・マップの達成基
準で決まってしまうことです。仮に、達成基準に問題があれば、業務の質が一
向に上がらない無駄なツールになるため、作成過程での定期的なチェックは必
須です。
 
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7 新卒社員教育 ソリアズ関連号 PART2

PART1に続き、過去のソリアズの中から、「性悪説」「人材育成」を
キーワードに、私が新卒社員育成において参考になると感じた記事をご紹介し
ます。

第131話 『効率的電話』
 新卒社員に対するOJTを行なう際に、常に念頭に置いておきたい内容です。
業務の手順だけを単に教えていくことの弊害は、その目的・効果・影響が視野
に入らず、考えることが身に付かない点にあります。手順のみを教えることは
手軽で負担の少ない方法ですが、長期的には思わぬコストになることを、この
内容は示唆してくれています。拙速さが求められる環境にある中小零細企業に
おいて、自発的に考え行動できる社員の多い組織は圧倒的に優位な立場にある
と言えます。
http://tales.msi-group.org/?p=183

第249話 『贅沢な時間』
 ホテル専門学校の決して優秀ではない学生が、如何に有名ホテルで評価を得
られる人材に育つかが分かり易く説明されています。ホスピタリティーは、マ
ニュアル化できない自発的な行為である以上、当人の意識面での成長が重要な
キーになります。顧客を観察することだけを強いられ続けることは、退屈とい
う苦痛でしかありません。この苦痛の時間を埋めるために、自発的に頭の中で
「おもてなし」のシミュレーションをするようになるのだと推測します。この
教育手法には、性悪説的人材に対する対策が練り込まれていると同時に、教育
によって意識面での変化を促すためのヒントに溢れています。
http://tales.msi-group.org/?p=389

第271話 『組織の取組み』
 昨今、社内におけるインフォーマル組織では、コミュニケーション・ツール
の発達と共に、その情報伝達スピードが非常に早くなっています。特に、新卒
社員であれば各種ツールを使いこなしている者も少なくなく、記事の内容のよ
うな退職連鎖を招く可能性があります。一人ひとりに興味と関心を持って接す
る当たり前の人間関係構築が、組織において今ほど有効に機能する時も無いよ
うに感じます。わざわざ大げさな企業理念を掲げなくても、経営者の言わんと
することがわかる組織。その実現へのハードルは意外と低いのかも知れません。
http://tales.msi-group.org/?p=436

第278話 『漲る意欲』
「熱意・やる気のある社員は有能な社員である」。経営者の判断を誤らせ得る
価値観について描いた内容です。この内容は、新卒社員にも共通します。新卒
採用では、意欲・行動力・コミュニケーション能力が一定以上あると判断され
れば、高い確率で内定を得られます。ただし、その時点での意欲が入社後も思
わく通り続くとは限りません。自信を無くし青白い顔になっていく新卒社員は
非常に多く存在します。やる気の源泉は、仕事に関する具体的なスキルや情報
を、それを活用する場面をイメージさせながら詰め込むことにあります。環境
整備なしでは、やる気の維持はコントロール不可能に思えます。
http://tales.msi-group.org/?p=451

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8 あとがき

 とうとう12年となりました。早いものです。数年前の記念特別号でも書いた
通り、淡々と、日常生活の一部としてネタを書き溜め、日々のパソコン仕事の
一部として原稿作成し、移動中の暇潰しも兼ねて推敲を重ね、発行日前の週末
には十年近く嵌っているゲームの中休みなどの頭の体操として発行タイマーセ
ットをしています。
 
 弊社ブログなどでずらりと並んだタイトルを、画面をスクロールしながら眺
めてみて、内容がどのようなものだったか思い出せない号がかなりあります。
それでも、ネタがダブることは今でもありません。記憶の中で色々な事象に
「ソリアズ既決」・「ソリアズ未決」・「その他」と言った分類ができている
のではと、ふと思っては呆れています。

 昨年の記念特別号では店舗経営をテーマとした、新機軸を打ち出してみまし
た。特に実用性に秀でる内容とは思っておりませんでしたが、その後、有難い
ことに、店主の方々などの集まりにおける講演のようなお仕事を幾つか頂戴し
ております。

 今回の記念特別号では、提携事業者の根本氏にお願いして、新卒者の育成に
関してまとめてみて貰いました。昨年同様の路線で特定の経営分野に関しての
知見を掘り下げてみる程度のつもりでしたが、根本氏のノウハウ全開の内容は、
事実上の新卒社員育成マニュアルのレベルに達したものとなりました。

 ブログで古い号を読み返してみると、経営から多少離れた論点から「経営に
も通じる考え方」を扱っている号が今よりも多いことに気付きます。そのよう
な論点から、12年を経て、具体的な経営の局面に言及する号が殆どになってき
ました。そう振り返る時、記念特別号の内容も、極端に具体的に傾いて、新卒
育成の泥臭く手間のかかる現場の苦労を描いても面白いかと、根本氏には殆ど
企画段階の手直しなく、原稿を用意して戴きました。ご協力に心より感謝申し
上げます。

 性悪説的新卒者育成と言う言葉は、人によってはおどろおどろしく響くこと
と思います。しかし、中小零細企業の潤沢とは程遠い資金や労力を投じて採用
する新卒者を、自社の価値観を理解し、自ら動き出す社員に育て上げるのは並
大抵の「事業」ではありません。リスクの高い事業としての新卒者育成を成功
させるカギが「性悪説的対応」であるものと、ご理解戴けましたら幸いです。
ご一読の上、皆様に参考として戴ける部分があれば、長年の読者の皆様への多
少の恩返しとなるかと考えております。今後ともご愛読を賜れますようお願い
申し上げます。

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発行:
「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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