271 組織の取組み

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経営コラム SOLID AS FAITH 第271号
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ご愛読ありがとうございます。第271話をお届けします。

 失業や収入格差がこれほど問題になっていても、人が採れずに困っている業
界の知人が、「自分にも何かできることが…」と被災地に向かおうとする人々
の話を聞いては、「ウチの会社にはいつでも誰でもできることが溢れているの
に」と嘆息しています。一方で、そのような業界では、被災地で職を失った方
々に向けての求人を東北地区のハローワークに出すことが、助成金制度の効果
もあって、ブームの如き盛り上がりです。労働市場を読み、労働市場の泳ぎ方
を商材の一環にするにはまだまだ修行が必要と痛感します。
 
 花粉が収束しつつあっても、放射性物質の日々のデータを見ながら、マスク
はし続けようかと思っています。皆様は如何お過ごしでしょうか。
 
 今回の271話は、普段意識することがあまりない、人材育成の或る意義につ
いてまとめたものです。多くの企業で、人材育成は現業とは別枠で捉えられ、
現業に影響少ない範囲でやる事柄として認識されています。人材育成に取り組
む方々もまた、余計な仕事に時間を割いていると評されることがあります。そ
んな中で、人材育成活動がその育成者にもたらすメリットについて考えてみま
した。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想な
どへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その271:組織の取組み

「新卒って言うのは、どこでつながっているんでしょうね」。
 新卒社員育成のプロジェクトの休憩時間に、専務は私に向かって真顔で言っ
た。この会社では毎年新卒社員を一貫して二十名程度を採用している。育成プ
ロジェクト発足の数年後、タスクの中で重要と指摘されたのは、離職対策。新
卒社員のうち一人が退職を言い出すと、その新卒社員の上司や先輩が対応する。
その対応内容があっと言う間に他の新卒社員に広がる。対応内容には尾鰭がつ
いて、バイアスが掛かり、そのようなことならと、さらに数人の新卒社員が退
職願を持ち出してくる。

「さあ。部署に分けたところで、集合研修の期間も長い訳ですから、当然、携
帯のアドレス交換とか、ミクシーでつながるとか、するのが当然と思っていた
ほうが良いでしょうね。ホーソン工場の実験じゃないですが、インフォーマル
組織のノームに対抗するのは厄介ですからねぇ」と私は、取り敢えず思いつき
の答えを言ってみた。

「ああ、市川さんのレポートにあったあれですね。けれども、あの文章による
と、インフォーマル組織を育成に活用するような展開でしたよね。うちの場合
は、完全にマイナスに働いてますよ」と専務は肩を落とす。

 この会社では、私が参加するプロジェクトが二本あり、その日のように、同
日に開催されることもある。もう一本の営業改善プロジェクト。休憩時間にな
ると、今度は常務が手持ち無沙汰そうに座っている私に気を使って声を掛けて
きた。
「市川さん、新卒のプロジェクトの方はどうですか。向こうには営業叩き上げ
で、重複しても良いなら本来こちらの会にも出るべきだった専務がいますよね。
営業を一人でガンガンやってきた私と違って、専務は組織で売上を上げるのが
得意でしたからね。結局、部下育成が好きなんですよ。彼に育てられた人間は
社内にたくさんいますから、プロジェクトでも話が進み易いことでしょう。一
種の派閥ですかね。ああ、勿論、悪い意味ではありませんよ。専務は会社のこ
とをいつも考えている人間なんで、たとえ考えなしに専務に同調している人間
ですら、結果的に会社に大きな貢献をすることになりますからね」。

 私は笑いを堪えるのが大変だった。如何にも社交的な笑顔を装いつつ応えた。
「派閥ですか。私のレポートにあるインフォーマル組織ってことですね」。
 常務は、そうそうそれですと、深々と頷いた。

 インフォーマル組織のノームを壊すのは容易ではない。ノームを経営方針や
営業方針に重ね合わせておくことは、なんとかできる。既存のインフォーマル
組織の活用が上手く、組織に貢献してきた専務には、新卒社員をプロジェクト
の机上の数字ではなく、顔の見える部下として対策を考えてみるよう勧めてみ
ようかと思い立った。自分の派閥を増やして仕事をし易くすることが、部下育
成の最大の動機と専務が公言する日が来たら面白い。
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次号予告:
 第272話 『高ルクス耐性』 (5月25日発行) 
 組織が体感で理解されにくくなったためか、「見える化」と言う言葉をよく耳
にするようになり、震災報道の影響か、「情報開示」と言う言葉もよく耳にする
ようになりました。中小零細企業組織におけるそれらについて考えてみました。

(完)