265 溜まる時間

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経営コラム SOLID AS FAITH 第265号
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ご愛読ありがとうございます。第265話をお届けします。

 前回の発行号を読み返したところ、冒頭の挨拶で発行号の号数が間違ってお
りました。大変失礼致しました。弊社のサイトでは既に該当部分を修正致しま
した。体調が絶不調で、出すことが精一杯の状態であったが故ではありますが、
このようなことのないよう留意致します。

 長引き、且つ深刻化する不景気のせいか、新規事業立ち上げのご相談を、そ
れなりに頻繁に戴くようになって数年がたちます。お話を伺うと、既存事業に
比して、全く強みが感じられないのみならず、お客様像が見えてこない、非常
に安易な、「ここにこれがあるから、売ったら儲かる」的な発想だけの新規事
業企画であることが多々あります。大抵の既存商品(・サービス)市場は飽和
しているこの国で、未だに場当たり的で新規性もない自分都合の新規事業案を、
真顔で語る経営者が多いことには驚きを禁じ得ません。
 
 このような話をすると、では新規事業はどう立ち上げるのかと言う疑問も戴
きます。その答えの一部を、純粋な新規事業立ち上げではありませんが、新手
法確立の過程を用いて説明してみることとしました。お客様は自社の商品・サ
ービスを選んでくださる理由は、お客様のニーズの充足に他なりません。その
構造を十分に検討することの重要性を一緒にお考えいただければ幸いです。本
文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお
返事の目標納期は5営業日!!
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その265:溜まる時間

 机の上にはホットペッパーと幾つかのファッション誌が数号分。ホワイトボ
ード上に、でかでかとキャッチコピーが鉛筆で書き殴られた紙。大の男二人し
て、意を決して鋏を掴み、ホットペッパーとファッション誌を切り刻む作業に
没頭する。紙面から切り抜いた紙片が三桁になった頃、今度は散らからないよ
うに、カテゴリー別にビニール袋に丁寧に収める。それじゃあと、キャッチコ
ピーの言葉に似ている言葉が見つかる紙片を袋から慎重に摘み出し、白紙の上
に順に並べていく。作業はゆうに三時間長。昔サスペンスドラマに出てきた脅
迫状のような完成文章を見つめて二人はにんまり笑う。三時間の前の企画段階
には、数十時間にも及ぶ元来のPDCA作業サイクルが2周程存在しているの
で、投下時間総量は計り知れない。
 
 一ヶ月前、知り合いが専務を務める零細人材派遣会社で専務のボヤキを耳に
した。派遣先での働き方や礼儀を肌理細かく指導するこの会社の派遣OLは大
手企業に評判が良い。需要はあるのに、登録者は限られている。大手人材派遣
会社の広告が居並ぶ中に、雑誌でもサイトでもこの会社の募集広告は埋没して
しまう。東京駅近くの小奇麗な事務所はビルの二階で、ベランダから通りを行
き交う人々が見下ろせる。
 
「市川さんさぁ。ああ言う女性とかバンバン登録に来ないかなぁ」。
 通行人を見下ろす専務の独り言に、前例を全く知らない手配りチラシによる
登録促進を提案した。早速PCで作成して、事務所前の通りで配ることとした。
実施二週間、登録どころか、チラシを受け取る者自体が殆どいない。諦めかけ
た専務を叱咤し、欲しい人材のモデル像を具体的に想像し、彼の大好きな女優
の名をつけた。架空人材の竹内結子のよく読む雑誌のよく見る広告と同じ言葉
遣いで、手配りチラシの言葉を紡いだ。ローテクの切り貼り作業の末、完成し
た手配りチラシは、目覚しい結果を叩き出した。

 エコグッズ販売店の会議に参加していると、ままならない集客が議題となっ
て、十人十色の想定原因が述べられていた。想定されるという原因の確たる根
拠を誰も述べることができず、解決案の妥当性を説明できる者もいない。立ち
止まっていては無駄だと役員が発言して、諦めず行動することだと会議を解散
した。

 諦めずに行動するだけなら、大手企業も結構得意であると私は知っている。
多くの場合、行動する人々の数も、マニュアルで決められた行動の統一性も、
反復継続期間も、零細企業の営業販促活動のそれらを大きく上回っている。零
細組織の切り札の一つは「機動性」と言う。立ち止まらず、次々と手を打ち続
けねばならない。その手が悉く成果を生まなければ、組織が持たない。仕事は
段取り八部であり、溜めねば質は上げられない。もう一つの切り札、「差別化」
の方針に忠実な改善策の実現には、時々立ち止まることが必要と、独立10年を
経てあちこちで気付かされる。
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第266話 『アンドロイドの夢』 (2月25日発行) 
 ハヤリのOSの話ではありません。本来の意味でのアンドロイドを扱った映
画を幾つか見て、経営方針のあり方について考えたことをまとめてみました。
ご期待下さい。

(完)