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経営コラム SOLID AS FAITH 第251号
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ご愛読ありがとうございます。第251話をお届けします。
前号の冒頭で、「とうとう、今年も後半に入りました」と誤って一足先に書
いてしまいましたが(弊社ブログでは修正致しました)、とうとう、本当に今
年も後半に入りました。札幌でも東京でも、暑い日が続いています。
ふと気付くと、つい先日、200話発行記念特別号を出したつもりなのに、も
う既に300話まで道半ばです。完成原稿の在庫を見ると7話になっていて、通
常の在庫レベルを大きく下回っていたので、平日の空き時間にまで、寸暇を惜
しむ感じで、(幸いネタメモには十数話分の在庫があったので)原稿を作りま
した。現在261話まであります。約二年後の300話まで、徐々ににじり寄って行
きたいと思います。そうこうする内に、11周年記念特別号の発行もそろそろ考
え始めねばなりません。ソリアズの通常号の配信作業が、日常に埋没している
分、原稿作成や特別号発行は、かなり意識的に進めないとできないタチです。
前号の予告にも書いた通り、「人と話し、喜びを伝えて、自分も楽しく仕事
をしたい」と仰って、弊社事業に関心を賜った方々に連続してお会いする機会
がありました。色々な意味で、弊社事業のあり方とは重なるところが少ない発
想を仕事に対してお持ちのように感じてはいましたが、お話を具体的に伺って
みて、その違和感が何であるのか判明致しました。その内容をまとめたものが
今回の号です。
「仕事とは誰のために、若しくは何のためにするものであるのか」の答えは、
人によって異なって当然です。しかし、相手が価値を見出すことをしなくては
対価が得られないのも必定でしょう。仕事のあり方、特にコミュニケーション
を核とした役務提供の仕事のあり方について、ひと時一緒にお考え戴ければ幸
いです。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想
などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その251:高揚の不良在庫
彼女がコーチングの資格を得たのは数年前。子供との会話ができていないと、
思い悩んだ末にコーチングに辿り着いたらしい。子供も高校を卒業した。夫は
大手企業の管理者をしている。生計に困っている訳ではないが、コーチングの
仕事を始めるつもりであるらしい。人伝に私の「お客様と話をする中でお金を
貰う商売のあり方」に関心を持ったということで、面談してみることとなった。
欝になって一度会社を退職した後、再就職の試みが悉く失敗し、その経験を
活かそうと考え、キャリアカウンセラーの資格を得たと言う30代前半の女性に
も、数日後会った。彼女もまた、人伝に私の「相手のキャリアのあり方に向き
合って生計を立てること」に関心を持ったと言う。
「上手くやっていく自信を失くした私も、苦しい時期に貴重な体験をした。そ
の気付きや学びを人と共有して、食べて行きたい」と、二人とも示し合わせた
ように嬉々として話す。
「自己啓発は一種のドラッグだ」
最近繰り返し読んだ速水健朗氏の『自分探しが止まらない』の一節がふと思
い出される。 セカイ系の物語のようでもある。自分が変わり気付き学ぶと、
周囲も変わり気付き学ぶと言うのはどのような原理によるものなのだろう。何
かに気付いたり、何かを学ぶと愉しい。人に話して喜ばれるのは尚更愉しい。
それも一種のドラッグではないか。切れると次の高揚に飢え始める。ドラッグ
で自分が気持ちよくなることに対して、相手が金を払ってくれるメカニズムが
判然としない。
私は人と話すのが好きではない。映画を見ても、本を読んでも、ヘビメタを
聞いても、特にその結果を人に広めて共有することにそれほどの欲求を感じな
い。それでも仕事だから話している。自分は組織を率いる立場でもなければ組
織構成員でもない。指示命令も日常的ホウレンソウも必要としない。話す中身
の多くは気付きや学びだが、自分用ではなく相手用だ。相手が気付くべきこと
や学ぶべきことを先回りして用意して、話したり書いたりして伝えている。だ
からクライアントは金を払ってくれると思っている。
私が効果的なコミュニケーションを習うなら、自分の子供との対話にさえ悩
んだ人から習うより、渋谷などの熟練のナンパ師から習いたい。キャリアにつ
いて相談するなら、再就職で引き受ける会社がなかなか現れなかった人からよ
りも、転職するたびに会社規模も年俸も引上げ続けた人物に相談したい。自分
の気付きや学びを話して、お金が貰えるとしたら、それは偶然の産物。食べて
行く仕事なら、お金をくれる人が知りたいことを意識して用意するものだろう。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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ソリアズにも登場したプロの振付師による
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北村真実先生が登場するソリアズは、シリーズ『夢中夢』の全三話。
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第228話『暫定関心事』
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第229話『力積の積算』
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
第252話 『寛容の科学』 (7月25日発行)
最近、時々「文系」と「理系」の比較論を耳にします。耳にするたびに、そ
の定義がよく分かっていず、さらに、自分がどちらか分かっていないことに気
付かされます。分かっていないままに、手探りで経営の場面での「文系」・
「理系」のプロ・コンを考えてみました。
(完)