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経営コラム SOLID AS FAITH 第220号
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ご愛読ありがとうございます。第220話をお届けします。
一年の中で、最も憂鬱な花粉症の季節が終わりに近づき、この号が発行され
る頃は、桜が満開になっているものと思います。クライアント各企業では、昨
年の取組みの成果である新卒達の受け入れの最後の詰めで大忙しになっている
ところもあります。
最近買って読んだ『トヨタが消える日』によれば、世の中の所謂「不景気」
はあと数年単位で続くとのことです。詰まるところ、全世界的な消費の成熟と
言う段階が始まってしまったからと言うことのようですが、それは、新たな人
のニーズを見出す必然性が明らかになったと言うことであり、そして、顧客の
ニーズを見つめない者が容赦なく淘汰されることと捉えています。やりがいの
ある時代になりました。
今回の号は、顧客の移ろうニーズを捕捉することの難しさに言及してみまし
た。ニーズを捉えるということは、マーケティングの基礎が確立されて以降、
一貫して言われていることですが、その実践はかなりの困難を伴います。第1
8話『昔日の選択』に多少テイストが似ていることに書いてから気づきました
が、切り口と結論が違いますので、合わせてお読み戴き、お楽しみ戴ければ幸
いです。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想
などへのお返事の目標納期は5営業日!!
第18話『昔日の選択』
http://tales.msi-group.org/?p=55
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その220:未収金未満
世田谷区の商店街のそばに住んでいた頃、一ヵ月半に一度、いつもの床屋に
行った。決まって女性の理容師に任せていたが、たまに店主が交代で一部の工
程を担当する。私に合わせられる話題が乏しいことを知っていて、店主は「お
仕事の景気はどうですか」と尋ねる。気のない返事をしていると、店主は自分
の店の“景気”の惨状に言い及ぶ。そして、「最近は世の中全体の景気がこう
だから、しょうがないですよ。今に客足も戻るでしょう。人間、髪は必ず伸び
るものですから」と笑っていた。客足が戻ることはなかったようで、通勤途上
に商店街を通っていて、閉店の貼り紙を発見した。面倒を避け床屋はいつも同
じところに行く私が、引っ越したのでもないのに、床屋を探すこととなった。
中小企業診断士の二次試験の前後、柄にもなく中小企業白書などの堅い資料
に眼を通すことがあった。何かで見た小売業・サービス業の店舗の業種別廃業
率ランキングが記憶に残っている。書店、家具店、銭湯、写真店、CD店、寝
具店など、子供の頃の商店街の記憶には存在しても、今から10年以上前の商
店街には既に存在がまばらな店舗。当時受けていた三次診断実習の最中、行き
つけの床屋の廃業をきっかけに、恩師の小谷喜八郎先生に、店舗廃業の背景に
ついて尋ねてみた。
「お客様の髪が伸びなくなった訳じゃないんやからなぁ。答えは見えとるや
ろ」。
先生に言われて、当たり前のことに気付く。カラダは汚れるし、本も読む。家
具も使えば写真も撮る。音楽も聴けば、ベッドでも寝具は使う。ニーズは全く
消えていないのに、店は売上が急落する。存在しているニーズはどこか違う新
たな充足先を見つけている。購買者は己のニーズに向き合わない者の前に立ち
止まることはない。この時の認識は、自分の商売にもクライアント商売にも今
尚適用する鉄則となった。
新幹線での移動の際に、ホームの売店で暇潰しの文庫本を買った。論理思考
でビジネスを変えるべきというテーマに、戦略系コンサルタント型の課題解決
手法の紹介を期待した。有触れた課題解決手法の後に、コンサルタントによる
ビジネス指南と言う趣のコラムが登場する。料理が好きだと言う大手運送会社
の中高年退職者が、自分の独立開業について相談する。運送のノウハウも運転
のノウハウも、一切合切忘れて、退職金を注ぎ込んで飲食店の開業を、と本は
薦める。
「人間はいくら満腹になっても、何時間かたてばかならず腹が減るもの」。
飲食業なら年齢に関係なく食いっぱぐれずに済むらしい。どんな人間も、いつ
か髪が伸びるし、いつか空腹になる。ニーズは発生し、誰かに売上をもたらす。
無限に発生するその売上を自分のものにする作業の難易度は、世間であまり語
られていない。
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
第221話 『シビル・エンジニアリング』 (4月10日発行)
経営も数多くの人の営みの結果である以上、そこには王道なるものが見出さ
れていて良いように思います。それは、経営活動のパーツである各種の作業や
業務においても同じ筈です。請け負った社員研修企画のあり方について、クラ
イアントの社長から頂戴した一言について考えたことをまとめてみました。
(完)