219 時の結晶化

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経営コラム SOLID AS FAITH 第219号
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ご愛読ありがとうございます。第219話をお届けします。

 世の中が不景気と言われ始めると、有難いことに引き合いが増えてきます。
ヒアリングを重ねたり、提案書を書いたり、忙しくなってきました。東京では、
飛散する花粉の中を、アレルギー症状を薬で押さえ込みつつ、それなりに忙し
く走り回っております。

 不況だからこそ、手に入れやすくなった優秀な人材の獲得に乗り出す企業。
不況だからこそ、業界の慣習に捕らわれない新規事業に乗り出す企業。案件の
各々の背景理解を念入りに行なううちに、時間が経って、3月に入ってしまい
ました。皆様は如何お過ごしでしょうか。

 今回の号は、最近、幾つかの著作を読み重ねた、曽野綾子氏の作品の文章を
ベースに、キャリア形成の重要な核となる濃密な時間について考えたものです。
曽野綾子氏の著作は、第198話『数寄の理屈』にも登場しましたし、今後も登
場する予定です。ご期待下さい。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしてお
ります。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その219:時の結晶化

「人材紹介をしている時に感じたことですが、30歳ぐらいで、人生における
仕事の割合が決まるのではないかと思います。毎日残業、徹夜も週に一回はあ
るし、というような経験を続けられた人は、溢れんばかりの仕事を目前に積ま
れても、それを受け容れられるようになり易い。逆に、9時5時でタイムカー
ドを捺して帰る生活をしてきた人は、仕事の都合で自分の時間が奪われること
に抵抗感が強く出易くなると思うのです。この価値観ができあがって、そう簡
単に変わらなくなるのが30歳ぐらいと言うことですね。その二種類の社員が
いた時に、一般論としてどちらが組織から高く評価されるかは、ほぼ明らかで
しょう。選択は自由ですが、働き方の認識も財産になり得ることは知っておく
べきです」。
 CDにも就労観としてまとめたエピソードについて、クライアント先の若手
幹部に説明した。CDの中で、30歳と35歳のキャリアの節目の話は、特に
好評だ。

「戦争の最大の不幸は未来がないことだった。しかしそこには退屈だけはなか
った。一瞬一瞬が生に向かってまっしぐらであり、今生きていること自体が、
純粋な結晶のように輝いている幸福があった」
 辛く苦しいと語られることの多い戦時下の勤労動員体験について、曽野綾子
氏が『悪と不純の楽しさ』に書いている。栄養不足故の各種の症状を患いなが
らの毎日十時間以上の労働体験を、「迷いのない一途な献身を実感した輝くよ
うな一時期」と言い、「あの時初めて互角で社会に参加した」と言う。

 若い時期に結核をやっていて、運動する機会が制限されたこともあり、私の
基礎体力は甚だ怪しい。残業が当り前の職場で、周囲に歩調を合わせて働くの
は殆ど無理だった。それでも自分の都合にはお構いなしに迫り来るハードルを、
がむしゃらに越える経験は幾つかある。高校時代、決勝を前に、三ヶ月間で発
音をネイティブ並に矯正した英語弁論大会。二十歳から二年間の大手電話会社
の幹部養成研修。二年半で学位を二つ取得した私費留学。たった二週間ながら、
今の仕事につながる中小企業の経営観を得た診断士実習。日本全国の銀塩写真
用フィルムの全本数の2%のシェアをほぼ独力で作り上げた、前例のないPB
フィルムの製品化。今役に立っている知見を身につけるに至った背景には、終
わりがないが如くに感じられた厳しい体験が必ずあったように思う。
 
 今の正社員の仕事が辛いと言ったら、アルバイトで幾らでも働けるから、辞
めたら良いと親に勧められたと、クライアント先の新卒二年目になる社員が相
談してきた。本来守備範囲外だが、時間を用意した。一頻り話を聞いてから、
人様の人生の選択を左右するような柄でもないだろうと反省し、「結晶のよう
な時」の話をそのまま聞かせて退散した。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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年をとってきたせいか、最近、「先生」と呼ばれて困っております。
弊社代表は、「先生」ではありません。
経営コンサルタントでもありません。
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中小企業診断士の資格を辛うじて維持していますが、
診断経験は(受験時の)診断実習のとき以来、
全くないというペーパー診断士です。

それでは、弊社は何屋かと言うと、
業務系対人コミュニケーション企画請負業の
単なる零細請負事業者です。

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弊社代表のオリジナルブログが完成!!

 ● ソリアズのネタにもなっている留学時代の悪戦苦闘を描いた
 『 My Life In Klamath Falls 』(英文)
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 『脱兎見!東京キネマ』
 ● そして、勿論、弊社代表が足掛け10年書き続けて、今尚続く
 『経営コラム SOLID AS FAITH 』

 全部まとめて、ブログになりました。題して…
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是非、お楽しみ下さい。

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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
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 発行しています。
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毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず 足掛け10年目。

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次号予告:
 第220話 『未収金未満』 (3月25日発行)
「人間はいくら満腹になっても、何時間かたてばかならず腹が減るもの。飲食
業なら年齢に関係なく食いっぱぐれずに済む」。
 或るビジネス書を読んでいて登場した転職に関するアドバイスです。考える
までもなく、その主旨のおかしさに気付きますが、似たような発想の考えや発
言には、かなりに頻度で遭遇します。そこで、この「おかしさ」について考え
てみました。

(完)