多分、封切初日の夜中の回をバルト9で見てきました。12時過ぎのスタートでも、この時間帯ではみたことがないぐらいに客が入っていました。
驚きもどんでん返しもなく、淡々と話が進みます。旧作ともストーリー的に忠実と言うかほぼ同じと言うか、いろんな意味で真面目に作られた映画です。ジェニファー・コネリーが演じるシングルマザーが博士になっていたり、単に機械等が全部静止するだけではなく、人類が作った構造物すべてを灰燼に帰そうとするなどの設定がそれなりに異なりますが、基本は、非常にオリジナルに忠実です。
SFXも飽きさせませんし、秀作だと思いますが、今となってキアヌ・リーブスが役に合い過ぎていて恐いぐらいで、こちらがこの映画一番の印象です。
映画のストーリーの全体でキリスト教的な展開が多々見受けられるように感じます。宇宙全体が全能の神で、そこの代表者として送り込まれたキアヌ・リーブス演じるクラトゥはキリストの如くです。そういえば、スタイリッシュな映像が好きな『コンスタンティン』でも自己犠牲によって悪魔の手から逃れますし、『マトリックス』などは完全にメシア状態ですし、『ディアボロス』では悪魔の誘惑を拒絶し、『ドラキュラ』では…と、この手のネタに困らない役者さんです。考えてみたら、仏陀までやったことがあるのでした。恐るべし、キアヌ・リーブス。本人は違うのかもしれませんが、ジョーク分からなさそうで、各種の誘惑への耐性の高い、人間味のない役をやらせるとこの人の右に出る人はいないように思います。
※そうではないような役だと、『ナオミ・ワッツ プレイズ エリー・パーカー』のチョイ役が好きです。考えてみたら、自然な演技なのは当り前です。こちらの映画でキアヌ・リーブスは本人の役どころなのでした。
役に嵌りすぎているキアヌ・リーブスに較べて、ジェニファー・コネリーはどっちの方向にいきたいのか分からない女優に感じられてなりません。それはそれで可能性が広がっていいのですが、一番最初にいいなあと思ったのは、香港出張時に現地で見た『ロケッティア』でした。はっきり言って、胸の大きい可愛いオネェちゃん風で、遡ってみた『フェノミナ』、『ラビンリンス』、『ダークシティ』でもあまり印象は変わらず、目だっていい役者さんとも思えませんでした。
『レクイエム・フォー・ドリーム』でいきなり迫力の脱ぎっぷりと言うかやりっぷりのシーンでこの認識が変わりましたが、今回は激痩せ風で頬もこけ、以前のむっちり感も全然なくなっていました。それでも、特に演技がいい役者さんだとは思えない人です。
いずれにせよ、映画自体は結構、真面目に作られていて、真面目にみて、まあまあ楽しめました。安心してみられますが、DVDでは買わないような気がします。贅沢な言い分かもしれませんが、全編を通してSFとして何か当り前すぎるのです。