213 線香花火

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経営コラム SOLID AS FAITH 第213号
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ご愛読ありがとうございます。第213話をお届けします。

 とうとう、今年も今号も含めて残すところ二回の発行となりました。寒さも
厳しくなって参りましたが、皆様は如何お過ごしでしょうか。

 今回の号では、地方・地域の中小零細企業の再生に真剣に取り組む中小企業
診断士の先生のお話から、中小零細企業の存在価値を考えてみました。「中小
零細企業の経営は大手のものとは全く異なり、書店にある殆どのビジネス書は
大手の経営を扱うもの」などと最近説明することが増えました。その実感は企
業再生の現場でも変わりません。

 本コラムに登場する中小企業診断士登録研修は昨年のものですが、今年の研
修の際に、本文に登場する先生と長くお話する機会を得て、共感できることが
多々ありました。また、いつかその内容も当コラムの文章に反映させてみたい
と思っております。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴
したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その213:線香花火

 年に一度の中小企業診断士の登録更新研修。今年は中小企業再生のデューデ
リジェンスのプロの講演が聞けるとあって、内職仕事も持たずに参加した。
 
「皆さんは、デューデリが必要な企業再生と言うと、どんな手法を思い起こし
ますか。DESとかDDSとかでしょうか。正解です。ただし、これらは中堅
企業以上じゃなくては、事実上機能しません。金融機関の協力がなかなか得ら
れませんし、企業の体力の問題として、その間持ちこたえられる企業もまた少
ないのが現実です。
 2030年問題を知っていますか。この問題が言われ始めたのが2007年ですが、
この年に比べて2030年には北海道の全人口が100万人減少すると言う問題の
ことです。これは、道内の札幌以外の主要都市数市が無くなってしまうのと同
じぐらいのインパクトです。市場はどう転んでも縮小する。だから、十年単位
の再建計画を企業が立てても、収益レベルが再浮上する訳がないと、金融機関
は端っから踏んでます」と講師が一気に説明する。

「このような中で、手掛けさせて頂いた案件の多くに対して、私がやってきた
のは、JKK。これは『時間稼ぎ』。そして、IIN。これは『生きていれば
何か良いことがある』。と言った所ではないかと思うのです」。講師のナマの
言葉はあまりに鮮烈で、そのワクワクする内容を資料に書き込むのに必死で、
名刺交換の機会さえ逸してしまった。

 ほんの短い間在職していた外資系コンサルティング会社のOBが集うメーリ
ングリストに参加している。参加できる時間帯に久々にオフ会があるとの連絡。
行ってみると知らない顔が殆どの中に、十年以上を経て懐かしい顔もある。発
展的解散を繰り返すIT系のベンチャー企業を渡り歩いて来た元秘書が数人、
宴も酣を越えた頃、二次会の参加者を募っている。これから一仕事と断ると、
今はどんな仕事をしているかと尋ね寄る。

「ああ。今日これからの仕事は、零細会社のオジサン社長が内定者に向かって
話す原稿を作ること。結構練が必要でさ」と酔ったせいか、ぐずぐずと言った。
「そんな社長って、ほんとに居るの。自分の会社の話が何で自分でできないの
かな。そんなんじゃ、今市川さんが助けても、いつか直ぐ会社潰しちゃうって。
よくそういう仕事、市川さんも請けるね」などと、口々に彼女達は驚きを表わ
した。

 瞬く間に汚れてしまう靴を磨くために靴磨きは働く。いつか必ず死ぬことに
なる人間を癒そうと医師は努める。刹那の憤懣も忘れて、私はその会話が面白
く感じられて来た。
「そうだね。でも、そういう社長が率いる会社が、世の中の多数派でしょ」。
 私がにやりと笑うと、皆まさかと言い出して、折角の会話は唐突に終わった。

 半年後、内定者向けの社長の講話原稿を作った会社を訪れた。入口でおずお
ずと、しかし、明るい顔で挨拶をして来たのは、その春の新入社員だった。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

年末の弊社サイトの人気ページ紹介 第二弾!
社内勉強会の事例紹介のページ

社内勉強会の事例を教えて欲しいとのご要望が多かったので、
二例ほど、その案件の依頼の背景や具体的な課題
そして社内勉強会に盛られた解決指針まで詳細に説明しました。

●組織が拡大し権限委譲が必要になった幹部育成のための社内勉強会
 題して『社長の言うことを聞かない幹部作り』。
 ミンツバーグの組織論を参照しつつ、
 中小零細企業の組織における権限委譲を考えます。
 幹部の役割にも簡単に触れてみました。
 http://www.msi-group.org/MSI-Decentralization-Case.html

●成果が見えにくい事務部門の改善に一般職女子社員が挑むための勉強会
 そのままの題で『一般職女子社員による事務業務改善』。
 ライン部門である金融業の事務部門を舞台に、
 通常社員による事務業務の改善が進みにくい背景を分析します。
 http://www.msi-group.org/MSI-OfficeWork-Improvement-Case.html
 
そして、
 今まで数々の社内勉強会の企画運営を手掛けてきた弊社独自の
 社内勉強会の4分類を解説したページも新設致しました。
 単なるプロジェクト運営やファシリテーションベースの育成とは異なる、
 中小零細企業における現実的な社内勉強会の運営方法がイメージできます。
 http://www.msi-group.org/MSI-Session-Patterns.html

お問い合わせはメールにて。
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弊社代表のオリジナルブログが完成!!

 ● ソリアズのネタにもなっている留学時代の悪戦苦闘を描いた
 『 My Life In Klamath Falls 』(英文)
 ● 東京で見た映画の感想を備忘目的で書き留めた
 『脱兎見!東京キネマ』
 ● そして、勿論、弊社代表が足掛け10年書き続けて、今尚続く
 『経営コラム SOLID AS FAITH 』

 全部まとめて、ブログになりました。題して…
 MSI?TALES
 http://tales.msi-group.org/

 特に映画の感想を増量して30本分以上となりました。
 お楽しみ下さい。

使い勝手がちょっとイマイチかもしれませんが、
内容・機能性、共に発展途上中です。
カテゴリーの細かい分類が自慢です。
是非、お楽しみ下さい。

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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
 発行しています。
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毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず 足掛け10年目。

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次号予告:
 第214話 『積木遊び』 (12月25日発行)
 最近、新規クライアント企業の経営者から尋ねられることがある「あるべき
経営」について考えてみました。中小零細企業の経営の要諦の一つが差別化で
ある以上、「あるべき経営」は既定のものではない筈です。では、「あるべき
経営」はどのように決まるのか、または決まっているのか。そんな問いの答え
を模索してみた号です。期待下さい。

(完)