209 官能作家の憂鬱

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経営コラム SOLID AS FAITH 第209号
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ご愛読ありがとうございます。第209話をお届けします。

 10月に入り、今年も残す所、僅か三ヶ月弱となりました。店々にはハロウ
ィーンの装飾が目立ちますが、これが終わると直ぐにクリスマスへと様変わり
することでしょう。9周年記念号は、以前の200話記念特別号同様に企画を
第三者に任せてみたところ、企画立案後の文章構成に苦慮しているようですが、
徐々に形になりつつあります。ご期待下さい。

 同じクライアント企業様から、幾つも案件を戴けることへの慢心を反省し、
頂戴した案件が軌道に乗るのを待って、最近、新規クライアント開拓を目指し、
少々会社訪問などもするようになりました。やはり世の中の舞台裏には刺激的
な話が溢れていることを実感します。それなりの理由はあるつもりでも、知り
学ぶことの怠りは必ず何かの犠牲を将来の自分に求めてくるものであろうと身
に沁みて感じます。

 今回の話は、最近、当コラムにも頻出する、酒があまり飲めない私の「行き
つけの飲み屋」で隣り合った人物の話から考えたことをまとめたものです。本
文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお
返事の目標納期は5営業日!!
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その209:官能作家の憂鬱

 新宿の行きつけの飲み屋には、出版関係や報道関係の仕事をしている常連客
が多い。常連客の一人にポルノ作家がいる。私が行くと、他店から流れて来て
いたらしく、かなり深酔いしてカウンターに向かっていた。若手の編集担当者
とやりあったとかで、色々とママに向かって愚痴を言っている。

 若い編集者はポルノの奥深さを分かっていない。展開を練りに練って、締め
切りには間に合わせたものの作業が遅れた。「そんなに真面目にやってもしょ
うがない。結局、セックスを上手く混ぜ込める話になればいいんですから。上
手くやって下さいよ」と平然と言い放たれたと言う。AVだってセックスシー
ンの描写だけでは構成されていない。顧客はどのような思いをポルノ小説に重
ねるのか。何が良いポルノ小説なのか。私がそれを生業にしているなら、多分
リサーチと書き物に明け暮れる毎日になるだろう。現にその作家も、患者に同
性愛者が多いクリニックを取材したなどと話していた。
 
 遥か以前、アダルトサイトの運用システムの構築を多く請け負うシステム会
社がクライアントだった。若い社員が多く、新卒社員も多く雇う。数十人の単
位で雇い入れる新卒の募集も選考も一般企業と何ら変わらず行なう。問題はI
Tの魅力に酔う候補学生に、どのようにアダルトサイト関連業務について知ら
せ、反応を得るかだった。
「社会に貢献したいとか強く主張する学生は、拒否反応が起こることが多いの
で…」
「しかし、もっと直截的に本人の意向は確かめられないかな」
「ただ、早い段階で聞いて、学生達のネットワークに尾鰭のついた噂が出ても
また…」
 採用プロセス再検討のプロジェクトに参加して、まとまらない議論に難儀し
た。
 
 友人が勤める人材派遣会社に行くと、アダルトビデオ制作会社の直販部門が、
受注が多くて派遣の依頼をして来たと言っている。商品の特殊性以外は、基本
的にはミニサイズのコールセンター業務と発送作業、そして、顧客データベー
スの管理業務。口に出すのが憚られるようなタイトルの注文を電話で復唱する
仕事。泣き叫ぶ女性の顔が大きく載ったパッケージをカートンに詰める作業。
流石に登録者でもそこに行く者が稀少で、友人は頭を抱えていた。勧誘マニュ
アルの作成の難易度に、他人事ながら、つい関心が湧いて来る。
 
 猥褻な商品やサービスがあるから、人間は堕して行くと、そのような仕事の
存在さえ咎める者も私の周囲には居る。法律で禁止しても、ニーズは無くなら
ない以上、それは違法なり、隠れていてより危険な充足方法を自ら探す。膨ら
み押さえつけられなくなる前に、魅力的な充足方法でニーズに形を与える仕事。
個の隠されたニーズに対応するが故に困難な仕事。その存在意義は大きく重い
と私は思っている。
 
 そして、それが仕事である以上、不断の努力と工夫は必ず結実する。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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大好評。愛社精神研修のご案内

御社の社員の皆様は、自社の良いところを認識していますか。
 それをきちんと取引先などの外部の方々に話し伝えることができますか。

当コラム第198話『数寄の理屈』でも紹介された
「愛社精神研修」が効きます。

お客様の中の熱烈なファン作りが直ぐには無理でも、
自社の社員が自社を良いものと語れなくて、
どうやって、外部の人々に自社の良さが伝わるでしょうか。
わざわざコストをかけて、広告するのでしょうか。

居酒屋を満たす会社員の愚痴は聞き苦しいことこの上ありません。
それが会社の良さについての議論だったら、どんなに良いでしょう。
自社の良さを認識すること。口に出して言うこと。
これらは、その良さをさらに強め、伝播させてゆく原動力です。

愛社精神研修を是非ご検討下さい。
 実施イメージは第198話『数寄の理屈』にて
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【続報】

「愛社精神研修」の延長線上で、
「理念浸透プロジェクト」の企画運営も開始致しました。

そもそも弊社では、
理念や経営方針を声高に謳うことへは、あまり賛同しておりません。

当コラムでも、そのように考える根拠を述べてきましたが、
或るクライアント様の
若手社員の育成や定着に、理念の浸透を図りたいとのご要望で、
「理念浸透プロジェクト」なるものを企画運営するに至りました。

 理念は何故大切なのか。
 理念はどのように活用すべきなのか。
根本から考え直すことには、それなりに意義があります。
幹部・管理者の研修テーマなどにご検討下さい。

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弊社代表のオリジナルブログが完成!!

 ● ソリアズのネタにもなっている留学時代の悪戦苦闘を描いた
 『 My Life In Klamath Falls 』(英文)
 ● 東京で見た映画の感想を備忘目的で書き留めた
 『脱兎見!東京キネマ』
 ● そして、勿論、弊社代表が足掛け9年書き続けて、今尚続く
 『経営コラム SOLID AS FAITH 』

 全部まとめて、ブログになりました。題して…
 MSI?TALES
 http://tales.msi-group.org/

 最近、特に映画の感想を増量しております。
 お楽しみ下さい。

使い勝手がちょっとイマイチかもしれませんが、
内容・機能性、共に発展途上中です。
カテゴリーの細かい分類が自慢です。
是非、お楽しみ下さい。
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
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次号予告:
 第210話 『美観の絶壁』 (10月25日発行)
 職人芸などと呼ばれるものも多分そうなのでしょうが、「達人」のもつ美観
に対するこだわりのあり方について考えてみました。少々単刀直入すぎたかも
しれませんが、お楽しみ下さい。

(完)