185 反復強化

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経営コラム SOLID AS FAITH 第185号
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ご愛読ありがとうございます。第185話をお届けします。

今年も残す所、3ヶ月を割ってしまいました。9月も含めて、頻繁にあるよ
うに感じる3連休。如何お過ごしでしたでしょうか。日曜・祝日関係なしのサ
ービス業のクライアントとのお付き合いが始まってから、背広を着る日数が増
えました。しかし、仕事が増えたと言う認識は特にありません。もともと、
「今日はお仕事ですか」と話しかけられても、毎日が休みのようであり、毎日
が仕事のようでもある零細事業者なので、祝日の朝電車に乗って、その空き様
に、「ああ、今日は祝日か」と気付くような感じであったからです。

今月末に、当コラムは毎周年の特別記念号を発行致します。今年は8周年特
別記念号です。例年とは異なり、第三者のプロデュースで文章構成から作成ま
でを行なう、未曾有のスタイルです。テーマは『女性視点から考える人材育成』。
ソリアズのテーマは必ずしも人材育成ばかりではありませんが、やはり、人材
育成に関する号は一般的に評価が高く、人材の扱いを抉る号は物議を醸します。
そこで、女性の熱烈ソリアズ読者の中で、人材育成の特徴的な実務経験をお持
ちの方々にインタビューした結果を中心に文章をまとめてみました。初稿も完
成し、着々と発行準備を進めております。ご期待下さい。

今回の号は、直球勝負の文章展開ですので、説明不要と思われます。原稿作
成に当たっては、当初作成した原稿の起承転結のうち、「起承」と「転」を入
れ替えてみたところ、何か面白いアンバランス感が生まれたので、そのままに
してみました。長年の読者の方には、元の順番の方が、しっくり来ると思いま
す。違和感がありましたら、反転をお試し下さい。本文に対するご意見・ご感
想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業
日!!
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その185:反復強化

クライアント企業に伺って、事務所脇のテーブル席で座って勉強会の開始時
間を待つ。財務経理を担当する社長婦人がすぐ近くに居て、電卓を叩いている。
私の存在が気になって、「市川さん、北海道との往復は大変でしょう」と話し
かけて下さる。独立してもう7年。聞かれ慣れた問いに、東京圏内での通勤と
の比較などを交えて応える。すると、社長婦人は乗り出して来て、「ああ、な
るほどね。でも旅費が馬鹿にならないでしょう」と尋ねる。北海道と東京の賃
金格差などを基本に、再び慣れた回答を反復する。

社長婦人は私の顔を覗き込んで、「何を聞いても、立て板に水ね。始めっか
らそういう人だったのかしら。それとも、何かの修行や訓練をしてそうなった
のですか」と尋ねて来る。この質問さえも、私の頭の中のFAQの一つに過ぎ
ないので、再び、慣れた回答をした。

独立以降、何度となく尋ねられて、何度となく答えられ、言い換えられ、メ
ールに打ち込まれ、図に描かれ、標準化された結果のFAQ。他でもない自分
自身と自分の商売のこと、立て板に水にならない方が不思議と私は思う。使用
頻度は低いが、三角関数の基礎を用いた、天然パーマの髪を床屋に切って貰う
頻度の図解説明まで、今では定番ネタになった。相手の反応を見て、また改善
を施すので、磨きがかかる。話す・書く・聞く・見るを総動員しての反復練習。
どんどん覚えて、まるで落語のネタのようになった。

或る会社では、女子社員の高離職率が永年の問題となっている。宿痾に挑ん
だ経営幹部・管理者の数知れず。女子社員はどんどん辞めるので、挑戦者は例
外なく男性である。真面目な彼らは、女子社員に何が問題かを聞いては仮説を
立てる。仮説の評価をまた女子社員に尋ね回る。施策を打つ。施策を打つ際に
は社内にアナウンスする。その際に施策の意義を説明するので、自社の女子社
員の高離職率をいちいち説明する。施策が効を奏さないままに過ぎる。すると、
女子社員の意見を求める。その際には、施策が失敗した旨を伝え、女子の離職
が今尚とまらないと告げる。

ヒアリングでは心許ない。アンケートもとる。用紙を配り、女子が離職する
会社であると主旨説明を読ませる。質問に答えさせる。「何が悪いのか」、
「何が足りないのか」。女子社員も真面目なので、真剣に問いに答えようとす
る。一所懸命、自分が会社に感じる不満を思い起こす。施策が失敗するたびに
アンケート記入が求められるので、常日頃から自分の不満を書きとめ反芻する
女子社員までいる。話す・書く・聞く・見るを総動員した反復練習が組織的に
網羅的に執拗に実施される。この会社から女子社員が逃げ出す理由を、女子社
員が流暢に語り始める。自分自身に関わることなので、職場の居心地の悪さを、
社是社訓よりも饒舌に語る。

その内容の善し悪しを問わず、学習の基本、脳への入出力が総動員の反復練
習の効果は測り知れない。コミュニケーション企画請負業者として、使わない
手はないだろう。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

8周年特別記念号 着々と発行準備進行中。
既に、初稿が完成。発行日は例年通り、10月末日。

内容は例年と全く異なり…
●著者市川の登場は、特別原稿の寄稿のみで、
●それ以外の文章作成は、一切市川に寄らず、
●読者の方に全く寄稿をお願いせず、
●さらに、今まで何度かに渡り掲載した「発行の舞台裏の紹介」もなく、

と、詰まるところ、第三者プロデュースによる、
今までの凝り固まった著者の一方的なメッセージのスタイルを破壊し、
ソリアズ本来の枠組みからも逸脱し、
本文の大半で、著者市川は呼び捨ての第三者扱いと言う、
かつてない特別記念号、完成間近。

テーマはズバリ、『女性視点からの人材育成』
ソリアズの熱烈読者の方々の中から、
人材育成の実務経験のある女性を選りすぐり、
インタビューを敢行。

請うご期待。
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
第186号『業際市場の誘惑』 (10月25日発行)
サイトが充実していると、お褒めの言葉を戴きます。事例紹介の資料なども
分かり易いと好評を戴きます。しかし、お引き合いを下さる方々からの案件に
は、かなり広いはずの弊社の事業ドメイン内に納まらないケースも多数存在し
ます。事業ドメインの浸透の難しさを改めて振り返ってみました。従来とは異
なる文章スタイルを試してみた号でもあります。お楽しみに。
(完)