508 仕事の辻褄

==================================
経営コラム SOLID AS FAITH 第508号
==================================

 ご愛読ありがとうございます。第508話をお届けします。

「マッサージの誘惑を消し去りたかった」。
 今月16日に米国アトランタ市のマッサージ店など3軒に対する連続銃撃事
件犯の白人男性ロングが、自分の犯行動機を語った言葉です。死亡した8人
のうち女性が7人で、そのうち6人がアジア系、さらにその中で4人が韓国系
女性だったと言われています。米国ではいつぞやのBLMに続き、今度はアジ
ア系の人々に対するヘイト・クライムだと大騒ぎになりかけているようです。

 ただ現地の店舗の外観を見ると、マッサージと言っても、かなり性的な要
素の強い店舗のように見えます。白人男性の間では、アジア人女性はいつま
でも若く見え、従順で知的で魅惑的という印象が強く持たれていますし、こ
うした性的(/準性的)サービスではアジア系の様式は欧米のそれと質的に
異なる優位性があります。某海外有名バンドの男性ボーカリストや某有名ハ
リウッド男優が来日すると必ず吉原に行くなどの話もあったぐらいです。

 仮に「マッサージの誘惑を消し去りたかった」犯人が、それらの店舗のそ
う言った「強み」に対して強いロイヤルティを抱いた人物であるということ
なら、ヘイトとも女性差別とも構造的に無縁の「店舗単位のストーキング犯
の破滅的行動」のように解釈できなくもありません。実際に現地警察もアジ
ア系人種に向けたヘイト・クライムかどうかは未だ判断できないとしている
ようです。そのような検証抜きにすぐに「ヘイトだ」・「差別だ」との主張
を生む社会的なバイアスに辟易させられます。

 今回の『仕事の辻褄』は、フェスティンガーによる仕事の評価に対する認
知的不協和の話題を取り上げてみたものです。実はこのフェスティンガーに
よる発見について、当コラムでは既に一度ネタにしています。第474話『労
働の熱意』です。

『労働の熱意』も良くまとまっていると思えたので、内容の二つの段落をほ
ぼそのまま今回の『仕事の辻褄』に転用しています。『労働の熱意』を発行
して以降、現実にクライアント企業のスタッフにその話をしてみて、生々し
い反応が得られたので、敢えてそれを今一度コラムにまとめてみることにし
たものです。二話合わせてお読みいただけると幸いです。ご意見・ご感想を
お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

==================================
■第474話『労働の熱意』 http://tales.msi-group.org/?p=1676
==================================

その508:仕事の辻褄

 認知的不協和は、人が自分の中で矛盾する認知を同時に抱えた時に感じる
不快を指す。この不快感は非常に強く、人は無意識のうちに、事実とは異な
る言い訳を言ったり、辻褄合わせの行動をしたりして、この矛盾を解消しよ
うとする。辻褄を合わせるためには、自分が持つ事実の認識でさえ、簡単に
歪めてしまう。どれほど理性的で合理的な人物であっても、その歪みを生じ
させないようにしたり正したりすることは難しい。
 
 認知的不協和の研究で知られるアメリカの心理学者レオン・フェスティン
ガーは、最初のグループの実験台の学生達に単調で面白くない仕事をさせて
20ドルを支払った。そして、次に同じ作業をする学生にその作業の楽しさを
伝えさせた。次のグループにも同じことをさせたが支払った報酬は1ドルだ
った。20ドルを貰ったグループの学生達は、次の学生達に単調な仕事内容を
そのまま伝えた。ところが1ドルしか渡されなかった学生達は、同じ仕事を
非常に良いものだと考えていて、次の学生にも高評価を伝えていた。
 
 1ドルしか貰えなかった学生達も面白くない仕事だとは認識している。し
かし、面白くない仕事をさせられて、安いカネしか貰えないのでは割に合わ
ない。だから、無意識的に学生達は「あの仕事は面白かった。だから安いカ
ネでもやる価値がある」と自分自身を偽った認識に従わせようとした。すべ
ては無意識の中でほぼ自動的に決定されていて、本人達は負け惜しみとさえ
思っていない。認知的不協和を解消しようとする力はそれほど強い。
 
『キツネとぶどう』はよく知られている認知的不協和の事例。高い場所にあ
る葡萄の房を採ることを諦めた狐は、「あれはまだ熟していないから取らな
くて良いんだ」と自分を偽った。低賃金がやりがいをもたらす仕掛けは多く
の経営者にとって朗報かもしれない。
 
「働き方改革で最低賃金も上がり調子らしいですし、有給休暇取得義務も休
んでいてお金を貰える機会が増えたんで、実質的に賃金を引き上げたのと同
じってテレビで言っていました。やっぱり、それって働く人にとって良い環
境になるってことなんですよね」。
 或るクライアント先で20代の女性アルバイト・スタッフが私に話しかけて
きた。「仕事なんだからきちんとやればお金が貰える。ただそれだけのこと
じゃないですか」と彼女は比較的頻度高く勉強会などの場で語る。だからと
言っていやいや仕事をしている訳でもない。彼女は当たり前に淡々と精緻に
仕事をこなす。私と仕事観が近く話が合う。

「どうかなぁ。条件が良くなると仕事のやりがいが減るらしいよ。高い報酬
だけど退屈な仕事と安い商売だけど面白い仕事とどっちがいい?」と私がぼ
そぼそ応えると、「え~。やりがい優先でしょ。けどバイトだから両方掛け
持ちしてやる」と彼女は妙案を披露した。

==================================
☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
==================================

『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR

「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
業務効率化を目的としたITシステム導入のためには、
まず自社の業務全体をきちんと把握することが大切です。

提携事業者である合同会社アイソリューション・山口氏と共に、
金属卸売業の会社さんにてITシステム導入支援を行ないました。
以下のページの「事例紹介」をぜひご覧ください。

https://kaisha-yorozuya.support/works/solutionsaboutproductivity-exp/

==================================

『萬屋のもっと深く愛してい』第5回「アクセス解析」

ウェブサイトを作ったはいいものの、アクセス数も伸びず、売上向上にも結
びつかずの状態が続き、結局ほとんど更新しないままの状態になっている企
業もあるかと思います。苦労して作成したウェブサイトの適切なアクセス解
析を行なうことで、ターゲットにアプローチし、認知度向上や売上向上も期
待できるようになります。

アクセス解析とは、ウェブサイトでユーザーの方に達成してもらいたい行動
(=コンバージョン)を増やすために、ユーザーの特性や行動を分析するこ
とを指します。ウェブサイトは他社に右習えで何となく作るのではなく、ユ
ーザーの方に達成してもらいたい行動(=コンバージョン)を適切に想定し
て作ることが大前提です。たとえば、自社の商品・サービスの「資料請求」
または「問い合わせ」。そして「商品の購入」などが考えられます。

アクセス解析ツールとして、Googleが無料で提供しているGoogleアナリティ
クスが有名です。Googleアナリティクスで自社のウェブサイトを何人の人が
訪れているのか、数字をチェックしている方はいるかもしれません。

ただ、その数字を見るだけではなく、ユーザーの方に達成してもらいたい行
動(=コンバージョン)を増やすために、以下のような情報を意識的に把握
することが大切です。

・ユーザーがどのようにしてサイトを訪れているのか
(検索、広告からのクリック、外部リンクのクリックなど)
・スマホまたはPCのどちらで見ているのか
・よく見ているページはどこか
・離脱したページはどこか

など、これらの情報を分析することで、ウェブサイトをより見やすくより使
いやすく修正していくことで、ウェブサイトはユーザーにとって魅力的なも
のに変わっていきます。

アクセス解析を適切に行なうことで、ウェブサイトを用いた認知度向上や売
上向上が期待できます。ただそのためには、さきほど書いたようにウェブサ
イトを制作する上で「ユーザーの方に達成してもらいたい行動(=コンバー
ジョン)」をきちんと決めておくことが非常に重要です。

このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support

==================================
【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『営業はいらない』 三戸政和 著
■『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論2』 小林よしのり 著
■『…アメリカ人がクスリと笑う日本人の洋服と仕草』 安積陽子 著
==================================
発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/ ) 

毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け22年。

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
★弊社代表のコラムが色々満載。
 ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ。
 http://tales.msi-group.org/?cat=2
★講読の登録・解除はこちらのURLでお願いします。
 http://msi-group.org/msi-profile/saf-index/
==================================
※ ご注意!!
 サーバのエラーなどで読者登録が解除されてしまった方がいらっしゃる様
子です。当メルマガは毎月10日・25日に休まず発行しております。発行状況
のご確認は上述の弊社ブログにて行なってください。
 また、まぐまぐからの連絡によると、一部フリーメール運営企業でサーバ
の受信量規制を行なっているケースがあり、その場合は大幅にメールマガジ
ンの到着が遅れるとのことです。
「届かない」、「再送希望」などの連絡は、まぐまぐの窓口である
「magpost@mag2.com」に、メルマガID(#0000019921)、タイトル(『経営
コラム SOLID AS FAITH』)、購読アドレス、再送希望の旨を記載の上、
メールにてご連絡下さい。
==================================
次号予告:
 第509話 『人材フリーライダー』 (4月10日発行) 
 集団の中でコストを支払うことなく利益だけを得る人のことを「フリーラ
イダー」と呼ぶようです。人材を社会のリソースと捉えて、フリーライダー
について考えてみました。

(完)