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経営コラム SOLID AS FAITH 第490号
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ご愛読ありがとうございます。第490話をお届けします。
今年も半分が終わろうとしています。今年の前半のウイルス騒ぎに皆が飽
きてきたのか、街で見る限り、暑くなって来るとともにマスクのブームは去
りつつあるかのように見えます。マスクのブームのみならず、2009年に日本
全体に不安を広げた新型インフルエンザのように、通称「武漢ウイルス」騒
ぎそのものが、早晩忘れ去られていくのかもしれません。そうしなくては、
次の話題も盛り上がらないことでしょう。
人種差別の問題と広く認識されている騒ぎは米国のあちこちで見られるよ
うになる中、今度はアトランタで警官に抵抗した上にテーザー銃を奪って逃
走した黒人が射殺されました。前回の当コラムの前書きにも書いた通り、
「好き」・「嫌い」の無意識レベルの感情論の話に、どれだけデモを重ねて
も、どれだけ高邁なスピーチを聞かせても、効果は非常に限られていること
でしょう。もちろん、法的枠組みをいくら積み重ねても、好悪の物差しをど
うすることもできません。
こうした社会的な本質を見失った騒ぎは、創刊以来あまりこのコラムで取
り上げることがありませんでした。しかし、インターネットが普及し、さら
に、SNSが浸透してから、中小零細企業の経営にもこのような動きの影響が
無視できないものなってしまいました。次号からは通称「武漢ウイルス」と
中小零細企業経営の在り方について点描してみる4回シリーズ『ハイパー・
パイパー』が始まります。
今回の号は2004年の発表時に大きな話題となった『未明の野菜』の続編で
す。『未明の野菜』は、親会社や元請会社、FC本部などの組織に経営の多く
の機能を依存している中小零細企業群の経営を非自律的な姿を描いたもので
した。続編では、その自律性を自ら擲って、アウトソーサーに依存してしま
う中小零細企業の姿を描いてみます。ご意見・ご感想をお待ちしております。
頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その490:続・未明の野菜
商店街を歩きながら、中小零細企業群の経営の自立性について考えてみた。
FC店は大抵、仕入れも品揃えも値決めも、広告宣伝も店内レイアウトも全部
本部任せ。下手をすると、従業員の教育まで本部がやってくれる。下請工場
も経営の機能をほとんど自前で持っていない。元請さんが現場に来てストッ
プ・ウォッチ片手に生産性管理までやってくれる。大手メーカー傘下の「販
社」と呼ばれる多くの子会社も、その経営層は親会社から天下って来て、親
会社の都合が優先される経営が強いられる中、経営の自律性が生まれる訳が
ない。
世の中で「アウトソース」が流行り始めた頃、「アウトソーサー」といわ
れる企業の営業担当者の売り文句は「自社の貴重な経営資源を自社のビジネ
スの核の部分に集中できるようになる」だった。人事、経理、総務などのス
タッフ部門の仕事を外部業者に任せられるのが、当時は画期的に感じられた。
ところが、「核」であるライン部門でも「アウトーサー」達が蔓延り始めた。
ウェブ通販の舞台裏の完全代行会社も、パチンコ店の店舗運営完全代行の会
社も、自分のクライアント企業の中に現れた。彼らのビジネスの企画運営を
すると、それはそのまま彼らのクライアント企業のビジネスを考えることに
なる。
法人は法律によって人とみなされる存在。親会社や元請、FC本部に依存し
て多くの経営機能を失った企業組織は、呼吸も栄養補給も全部他人任せで自
力ではベッドで起き上がることもできない“植物人間”のような存在だ。そ
れはもともと組織ごと上部組織のビジネスの一部に組み込まれているから致
し方ないのかもしれない。しかし、上部組織でもなく持株会社でもない「ア
ウトソーサー」に、自社のビジネス・モデルを体現するライン部門を明け渡
し自らの事業を投げ出す企業には、最早事業経営の意志さえ感じられない。
「MAは中小企業では導入が難しいんですよ。ウェブページを頻繁にメンテす
る能力やアクセス解析の基礎知識も必要だし。それ以前に顧客ニーズが分か
ってないからダメか」。
私が会った意識が高そうな経営者は、彼が拡大しつつあるMA運営代行のサ
ービスを中小企業が求める理由について説明してくれた。クライアント企業
は獲得できた案件に対して、本来の商品販売やサービス提供だけを自社で
行なえば良いのだという。
顧客のモデルとニーズ、そしてそのニーズを抱えた顧客の自社発見プロセ
スさえ全く分からないなら、依頼元企業がその顧客を満足させる価値の提供
も覚束ないだろう。顧客獲得と価値提供の間で分断されるビジネス・プロセ
ス。その持続はかなり困難そうだ。このMA運営代行業者は、買収資金を擁さ
ずに、実質的にクライアント企業の事業を乗っ取っているように見える。自
ら顧客を見出すこともできない零落した企業群は、このMA運営代行業者には、
まるで畑一面に広がって静かに収穫を待つ野菜のように見えることだろう。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】
合資会社MSIグループは2001年の設立からもうすぐ20年です。
このたび、弊社の事業についての知見やノウハウをまるごと複製して、
さらに時代に合ったコンテンツを付け加えた
優秀な人材による新たな事業の立上げを全面支援することとしました。
来月より開業する「会社の萬屋 企画改善請負本舗」です。
当コラムの20周年記念特別号でも一部原稿作成をした
おくだみゆきが開業した屋号です。
当面、スタート段階では、弊社でもメインとしている
以下の三本柱のテーマで事業を安定拡大させていきます。
■「人に関するお悩み」対応
「採用できない」「人が育たない」「すぐに辞めてしまう」など。
■「売上に関するお悩み」対応
「売上が落ちてきた」「新事業を立ち上げたい」など。
■「生産性・利益に関するお悩み」対応
「人件費を見直したい」「作業効率を上げたい」など。
弊社では、彼女の事業を“最恵“事業者”待遇”的に位置づけ
提携・協業して案件に対応して参ります。
今号から当コラムでも『萬屋日和』と題して短い近況報告が始まります。
是非、ご一読ください。
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【萬屋日和】
20周年記念特別号でチラッと登場したおくだみゆきです。
とうとう独立起業までのカウントダウン状態に入りました。
屋号は『会社の萬屋 企画改善請負本舗』。
業務内容は、読んだまんま、そのものです。
7月1日開業予定ですが、ウェブサイトは先行オープンしておりますので、
是非ご覧ください。
https://kaisha-yorozuya.support
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】
■『上級国民/下級国民』 橘玲 著
■『中央銀行がわかれば世界経済がわかる』 増田悦佐 著
■『相手もよろこぶ…オトナ女子の気くばり帳』 気くばり調査委員会 編
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/ )
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け21年。
マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
★弊社代表のコラムが色々満載。
ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ。
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次号予告:
第491話 『ガラパゴスの理解』 シリーズ『ハイパー・パイパー』
(7月10日発行)
通称「武漢ウイルス」の流行とそれに対する社会的空騒ぎについて考えた
ことをまとめてみた4回シリーズ『ハイパー・パイパー』の第一弾です。
(完)