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経営コラム SOLID AS FAITH 第452号
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ご愛読ありがとうございます。第452話をお届けします。
例年通り年末から年始にかけて案件が減って売上も下がってきました。空
き時間が増えて来たので、色々な方々のお話を聞きつつ、提案の機会があれ
ば提案をするような場を作ってみたら、大変有難いことに数々の案件を頂戴
できつつあります。特に東名阪のベルト地帯の周辺に位置する人口減少地域
の企業の採用案件が複数浮上してきました。単に広告の工夫を考えたりする
のみならず、その企業の商圏の中の人口動態などまで計算に入れた採用企画
が必要になるだろうと想像しています。
採用案件は一般に採用そのものの問題の背景に定着の問題も存在すること
が多く、そちらから手を打たねば、笊にコストをかけて水を注ぎ入れるよう
なことになりかねません。採用を強化すればするほど利益が消し飛んでしま
う事態になるのです。定着が良くないと、採用コストが無駄になっていくの
みならず、社内教育の効果が組織内に維持できないので、教育コストも上昇
します。教育効果が蓄積できないと、社内のオペレーションの質や効率も下
落しますし、営業・販売のノウハウも失われて直接的に売上減少を引き起こ
すこともあります。
定着向上を考える際には、社員が職場に対して抱くニーズを意識する必要
がありますが、カネによる動機づけが褪色して久しく、価値観が多様化する
中で、そのニーズの理解や把握は一筋縄ではいかない作業になっています。
最近なら『ここは退屈迎えに来て』、ちょっと前なら『リュウグウノツカイ』
など、地方経済における若者の行き詰まり感を描いた映画作品は多数ありま
す。
少し考えただけでも『ファスト風土化する日本』や『地方にこもる若者た
ち』、古い名作なら『まぼろしの郊外』など、書籍も同様です。そうした郊
外や地方の「心象風景」を理解しつつ、望ましい採用から定着までのプロセ
スを構築することまで必要な状況になって来ていると思っています。
最近、facebookやLinkedinを見ると、何をしてどれぐらい稼いでいるの
か皆目分からない個人事業者が目につきます。「好きを仕事にする」などの
スローガンなどに踊らされる人が増えたせいもあるのかもしれません。しか
し、嘗て弊社のクライアントだったスピリチュアル系占い師やライフスタイ
ル・カウンセラーだのの商売の人々は、景気が後退すると悉く苦境に立たさ
れ、自分の事業を真面目にマーケティングする必要性に迫られていました。
不況でまともな収入が得られなくなった時、一般の人々は前世など気にして
いられなくなり、自分らしい生き方など考える余裕がなくなるのが普通なの
で、そうした商売の人々のビジネスの維持拡大を支援するのは大変でした。
不況が迫る中、そういった人々の選択について考えてみたのが今回の『脳
内フローラ』です。ご意見・ご感想お待ちしております。頂戴したご感想な
どへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その452:脳内フローラ
知り合いのマジシャンのショーを見に行った。終了後、控室で「面白かっ
たです」と伝えたら、40歳になりたての彼の顔は綻んだ。彼はマジシャンで
食べていくと決めて10年ほど前に脱サラした。妻も子供もいる。激減した収
入は3年目にして漸く支出と均衡したが、貯えは底をついたらしい。師匠の
紹介でショーの依頼もくれば、建物単位でマジックを見せるアトラクション
の演出もしている。どれもスポット案件なので常に仕事を探している。
「常連の方も何人かできて、『楽しい時間をありがとう』とか喜んでくださ
るとやりがいを感じますよ。この道に進んで良かったです」と彼に言わせる
ファンの数は、facebookのお友達の数の百分の一に過ぎない。ブランド化が
難しいなら、何か安定したビジネスモデルを設定しなくては辛いだろうと私
が指摘すると、「いやあ、商売の仕方を考えるのって難しそうで、あんまり
自分のスタイルじゃないかなと思うんですよ」と彼は言った。
「SNSでもどうやって稼げているのか分からない人とかよくいるじゃないで
すか。私は顔が“平和な感じ”らしくて、頭がお花畑だと思われやすいんで
すけど、子供の頃、母子家庭で兄妹も多くて、到底裕福とは思えない生活を
していました。だから、滅茶苦茶に勉強やら努力やらをして稼げるようにな
りたいんですよ。お友達と仲良く仕事ができるマルチ系とか、運命がどうた
ら言うスピ系とか全然興味ありません。彼氏は結婚して主婦をしてくれって
言うので別れるかもしれません。今の会社で学べることはまだありますけど、
他のタラタラした人と同じ扱いをされていたら、どんどん時間が無駄になっ
て行ってしまう。市川さんは独立して稼げる方法を教えてくれるんですよ
ね」。
会って二度目。今の勤務先の人事担当の彼女はテーブル越しに私に言った。
私なりの考えを述べた後、議論を重ねた上で彼女を数年越しの弟子にする選
択肢を示すことにした。
「夢と魔法は、既にほころびを見せ始めています。『何も考えない』『取り
敢えず今日さえ良い日であれば』をいつまでも続けていく余裕は、どうやら
日本にはあまり残されていないのです。(中略)夢だけではなんの富も生み
出しはしない、仕掛ける側はこのことをよく分かっているのです。そして、
決して浮かばれることのない民を相手に商売を続けていくのです」。
最近読んだ『2040年全ビジネスモデル消滅』の結びに近い一節。ビジネス
がある時、そこにはそのモデルはあるはずなので、この本のタイトルには納
得しない。日本の社会格差は諸外国に比べて圧倒的に小さいとも思っている、
しかし、多くの人の夢の世界が終焉に近づいていることは、かなり体感でき
始めている。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】
後継者難であと数年以内に廃業する会社が、
100万単位で存在するという説があります。
景気後退の訪れが予測される2020年は、
好不況に関係なく、大廃業ラッシュも訪れるかもしれません。
一つの対応の形は、ベストセラーの
『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい
人生100年時代の個人M&A入門』
に書かれているような赤の他人(個人)に拠る
買収兼事業継承という形かもしれません。
しかし、そこに書かれている
「金融機関が中小企業に融資する際に、
オーナー経営者個人を連帯保証人に取らない」
という施策はほぼ実現されていず、
300万円で買える会社は本当に零細規模の会社だけ…
という現実があります。
一方で後継者が見当たらなくて廃業に至る企業群の陰には、
後継者がいても、中小零細企業型の経営を実践できず、
廃業に至るケースも多々存在します。
市川は、サラリーマン時代最後の数年間、
ビジネス誌を出版する出版社で、
12日間連続型の後継経営者育成セミナーを
企画運営していました。
独立後も後継者が社長になる前の段階から、
継続的に深く入り込んで組織づくりに協力する形の
案件実績が多数あります。
後継経営者が知るべき中小零細企業型の経営。
このたび市川が自分の経験をもとに、
後継経営者育成をテーマとした電子書籍を
出版することになりました。
近日中に発売予定です。
タイトル・発売日は決定次第、改めて報告いたします。
弊社の後継経営者育成に関わるサービスは
弊社サイトのこちらのページをご参照ください。
http://msi-group.org/msi-4successor/
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】
■『東京と神戸に核ミサイルが落ちたとき…』 兵頭二十八 著
■『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』 新井紀子 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/ )
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け20年。
マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
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http://archive.mag2.com/0000019921/index.html
★弊社代表のコラムが色々満載。
ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ。
http://tales.msi-group.org/?cat=2
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次号予告:
第453話 『自縄自縛』 (12月10日発行)
ボードリヤールの記号消費・啓蒙・創客。そんなことを考えたこともなく
「稼げない」、「売れない」と嘆く人々について考えてみました。
(完)