421 やる気のスイッチ

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経営コラム SOLID AS FAITH 第421号
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 ご愛読ありがとうございます。第421話をお届けします。

 PR欄にも書きましたが、採用の案件のご相談やお引き合いが増えています。
人口減少が際立ってきている地域では、極論するとペッパー君の活用や何らか
の劇的な省力化さえ視野に入れた対策が必要になっています。都市部では働く
ことの定義づけから見直すような作業が必要になる場面が多く見られます。

「今時の若い者は…」論はよく聞きますが、「ついていけない」だの「合わな
い」だので辞めるのは、今時中高年者でも同じです。価値観が多様化した上に、
働く形の選択肢も、仕事そのものも、社会に溢れ返っていて、ネットからは何
をどう評価すべきか分からないほどに、色々な話が目や耳に入ってきます。
「そんな仕事、おかしいんじゃないか。労基に行ったほうが良いんじゃないか」
もあれば、「置かれた場所で咲きなさい」まで、選り取りミドリです。

 採用に関しては、中小零細企業がその会社が提供する働き方や働く意味を、
候補者に提示し、多くの場合、啓蒙することが必須になりつつあるように見え
ます。商品やサービスのみならず、働き方や働く意味も企業が“売る”世界観
です。多くの立場や主張が交錯する中、そのようなご相談に乗ることが増えて
います。

 今回お届けするお話は、やる気についての発見をまとめてみたものです。世
の中では、「やる気が無いからやらない、できない」と言った言説が多数派で
す。ところが、どうも、「やる気」と「やる、できる」の二つの事柄の因果関
係は逆であったと言う考え方を偶然知りました。両者が或る程度相関し、ほぼ
同時に発生するなら、原因と結果が逆に認識されていても不思議ではありませ
ん。

「できるからやる気が湧く」や「笑うからおかしい」は、ぱっと考えると違和
感の湧く考え方です。しかし、それらを採用して各種の企画を考え直すと、大
きな成果が生まれることも多く、やはり、こちらが真実なのであろうと弊社代
表の市川も感じるようになって来ました。是非、ご一考ください。本文に対す
るご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目
標納期は5営業日!!

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その421:やる気のスイッチ

 最近気に入っている話がある。
 それは、「人間は『おかしいから笑う』のではなく、『笑うからおかしい』
のであること」。殆ど同じように見える二文の意味の差異はとても大きい。ド
イツの心理学者ミュンテ博士の実験が、池谷裕二氏の『脳には妙なクセがある』
に紹介されている。
 
 箸のような棒を縦に咥えたグループと横に咥えたグループに同じマンガを読
ませて、マンガの面白さを評価させる。すると箸を横に咥えたグループの点数
が高くなる。脳の大脳辺縁系においてドーパミン系の神経活動が活発化するの
だと言う。この結果を説明しようとすると、どうしても、「楽しいから笑顔で
はなく、笑顔を作ると楽しくなる」と考えなくてはならない。つまり、先に無
機的な笑いの表情があり、その表情に合わせて、脳が嬉しさを作り上げている
と言うことらしい。

 縦に咥えたグループの例で分かる通り、不快な気分や塞ぎこんだ気持ちも動
作や行動によって起動されている。猫背のグループは、胸を張ったグループよ
りも自分の意見に確信を持っていないという調査結果まである。
 
 テレビでも学習塾のCMで「やる気のスイッチ」を押す話が登場する。世の
中では、誰かにやる気を出して貰いたくて仕方がない人が多いらしい。どこの
クライアント企業に行っても耳にする有り触れた話題。
 
 書店にも平積みされる多種多様な自己啓発系の書籍。これほど「自分のやる
気を出す本」があるのは、「やれないのは、その人間がやる気を出さないから」
と誰もが思っているからだろう。うまく行かない理由を個人に転嫁する「自己
責任論」の構造が透かし見える。
 
 やる気も感情の一つであるのだから、動作や言動によって発生する。そんな
風に思っていたら、あっさりとその答えが見つかった。映画『ビリのギャル』
の原作本の著者、坪田信貴氏の指導テクニック集に書かれた洞察には、驚かさ
れた。
「『やる気が出る』と『できる』の順番を間違えない。一般に、『やる気にな
る⇒やる⇒できるようになる』だと思われているが、全くの誤り。『やってみ
る⇒できる⇒やるきになる』が正解。まずは『できる』状態まで持っていくこ
とが大事」。

 やる気のスイッチはやたらにシンプルに作られていた。自分を振り返っても、
確かに、そう思える。このあまりに本質的な“発見”を誰にまず伝えようかと
悩んでしまう。
 
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

採用に困っている中小零細企業組織からの
ご相談やお引き合いが非常に増えています。

確かに地方都市などでは人口減は誰の目にも明らかで、
採用を考えること自体が無理筋に思えることもあります。
ただ、都市部の多くの中小零細企業群に人が集まらず、
一旦集まってもすぐ去っていくのは、
人口減と別の要因が想定すべきです。

新卒採用にしても、アルバイト・スタッフの募集にしても、
既存の接触先は、定型化した採用活動の代行屋さんであったり、
採用関係の媒体屋さんであったりなどして、
必ずしも自社の適切な解を示唆してくれる訳ではありません。
彼らが既に持つ固定的なソリューションが薦められるだけです。

頼む側の方の心理も、結構不思議です。

今までの方法で上手く行かないことが明白になっているのに、
なぜか、発想の転換を図ろうとはしません。
さらに、営業方針では、
「他社と同じではダメだ。自社の強みで差別化だ」などと叫んでいるのに、
採用に関しては、まるまる他社のやり方をコピーしようとしたりします。

弊社にご相談いただいても、
いきなりその企業の最適解が見つかる訳ではありません。

しかし、その企業組織の強みを見極め、
その企業組織の採用活動上の制約を見極め、
そして、雇うべき人間像を見極めるところから話を始めるので、
少なくとも、何らの結果にも結びつかないと言うことはありません。
そして、着手した活動の延長線上に
少なくとも、現状よりは良い結果が待っています。

根本から見直す採用活動。
ご関心を賜れましたら、メールにてご一報ください。
 bizcom@msi-group.org

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『沈みゆく大国アメリカ 〈逃げ切れ! 日本の医療〉』 堤未果 著
■『ピア: ネットワークの縁から未来をデザインする方法』 
  スティーブン・ジョンソン 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第422話 『残された仕事』 (8月25日発行) 
 最近SNS上で時々見かける言葉に「ただ寄り添うこと」があります。困って
いる人、悩んでいる人に対してできることを、適切に対応しようと考えていく
と、この行動に落ち着くようです。これについて考えてみたことをまとめまし
た。

(完)