418 社長のAND判断

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経営コラム SOLID AS FAITH 第418号
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 ご愛読ありがとうございます。第418話をお届けします。

 東京では梅雨に入り、雨がちの日々が始まりました。2、30年前に比べて、
梅雨のじっとり感が非常に少なくなっているように感じます。単純に加齢と共
に何か寄稿の感じ方が変わったせいなのか、本当に何らかの変化があるのか、
よく分かりません。この話題を振ると、同調する方が多いようですので、一応、
事実なのだろうと考えています。

 そぼ降る雨の日々でも、リクルート・スーツを着た学生達をあちこちで見か
けます。中小零細企業が殆どの弊社クライアント企業様でも、採用活動が活発
化しています。好影響はかなり偏在している感じがするものの、2020年のオリ
ンピックまでは好景気なのだと言われています。それを過ぎると、経済が急激
に失速すると言う予想を抱く人は、弊社代表も含めてたくさん居ます。
 
 嘗て、バブル崩壊後には、中小零細企業が優秀な新卒社員を雇えると、「不
景気さまさま」と喜んでいた時代が長く続きました。あと数年すると、そのよ
うな時代が再び始まる気配を感じます。正社員・アルバイト・スタッフの採用
が今に比べて一段楽になる数年後まで、採用関係のご相談は減ることがないの
かもしれません。
 
 PR欄には、前号に続き、弊社代表が再出版予定の就活関連の電子書籍情報を
掲載してあります。あわせてお読みいただけましたら幸いです。

 今回お届けするのは、高齢になった経営者が自社の手詰まり感解消のために、
弊社の勉強会企画運営サービスに引き合いを下さった場面を描いた話です。弊
社の提供する勉強会企画運営サービスは、効果そのものは「漢方薬」のように
ジワジワと確実に積み重なって行きますが、その実現のためには、経営者自身
も変化をしなくてはなりません。

 経営者の高齢化したり、会社の設立からの年数が長くなったりすると、経営
の判断が緩く鈍くなって来ることが、比較的多くの企業で見受けられます。そ
して、雇用を危うくしない程度の穏やかさで、確実な組織変化を実現する継続
的な努力を積み重ねるには、決断も困難で時間も足りないというケースに、最
近遭遇することがあります。このようなケースの処方箋について、一緒に一考
ください。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感
想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その418:社長のAND判断

「そうですね。本当にやりたいですか。こちらは、案件が増えれば儲かります
から、戴けりゃやるだけなんですが、それなりに長丁場になって、社員から不
平や不満が出る可能性もありますし。それに、一旦始めてすぐ諦めるようなこ
とになれば、言葉にしなくても『社長の言ったことはまた実現しなかった』と
社員が確実に思いますよね」。
 私は初老の社長の顔を見つめてゆっくりと言葉を投げかけた。この社長は、
私の既存クライアントの取引先。5年以上も続いている勉強会の噂を聞いて、
是非自社でもやりたいと言ってきた。
 
 社長は自分なりに手詰まり感が色濃くなった自社経営の改革を夢想してきて
いた。率先垂範が良いと聞いて、自分だけ何か新しい取組を始めたことも一度
や二度ではない。そんな社長を社員は「社長も暇だなぁ。仕事もやらずに、余
計なことばかり始める」と受け止め続けているらしい。社員に新しい取組を呼
びかけたこともあるが、「笛吹けど踊らず」の社員をただ再認識するだけだっ
たと言う。
 
 申し出はありがたいが、勉強会は魔法の杖ではない。ルーチン・ワークを十
年一日の如く重ねて来た社員たちが、俄かに別人のように振舞い始め、新規の
プロジェクトを自発的に始めることはない。仮に始めても、そのテーマ設定や
成り行きに社長が疑義を呈すれば、すぐに取組みを投げ出すだろう。社長が感
嘆した、私の既存クライアントの社員達も、5年の歳月の積み重ねで、漸く自
分達に期待されていることとその方法論を自覚した。
 
「生活習慣病を改善するための漢方薬や運動習慣のようなもんで、すぐには成
果は出ませんし、続けなくてはよくならないどころか、かえって悪くなるリス
クもありますよ。社長も、それなりのお歳ですから、このまま変に弄ることな
く、終わりの日まで続ける方が、楽かもしれませんよ。過去に経営において不
退転を実現できたことを挙げてみて下さい」。
 私が促すと、社長は悲し気な顔をして、口篭った。

 孫正義からプレゼン一発で社内案件の了承を得られたと言う触れ込みの前田
鎌利氏の書籍に、GOを貰えるプレゼンの要諦は、「本当に利益を生み出すか」、
「本当に現場で上手く回せるか」、「会社の方向性(・価値観)に合っている
か」の三つの疑問に対する回答をプレゼンの中に含めておくことだと書かれて
いた。

 私の知る多くの社長の判断の検証には、この三つの他に、「本当に今始める
べきことか」と「自分はそのことに関心を持ち続けられるか」も加えなくては
ならないように思える。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

着々と進む弊社ウェブページの更改準備作業。

以前、弊社代表が出版した電子書籍『戦略的内定の取り方』の
関連ページも自社サイト内への盛り込み、
本文中からリンクでこととしました。

この電子書籍は2014年に発売されて…
Amazonにて(短期間ではあるものの)
電子書籍全体で総合15位、ジャンル別では三部門で1位になりました。

もともと、この電子書籍は、
弊社代表が当時支援していた『逆襲の就活』と言うサイトの
運用企画の一部として、書かれたものですが、
『逆襲の就活』のサイトの閉鎖に伴い書籍内容の一部が
失われてしまっていました。

大学や就職支援業界の人々が声高に伝える就活セオリーの多くは…
「都市圏」×「有名校偏差値大学」×「大手企業」
の組み合わせでしか成立せず、
どれか一つでも条件が欠けると運用が覚束なくなります。

そのような非現実的で適用範囲が極端に狭い就活論とは
一線を画した内容の電子書籍『戦略的内定の取り方』を
今回は、その内容を増量・パワーアップして再出版する予定です。

残念ながら、マンパワーの問題から、一気のお披露目とはなりませんが、
他の更改ページ同様に徐々にその姿を現すことになると思います。

ご期待ください。

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『自己が心にやってくる』 アントニオ・R. ダマシオ 著
■『英語の害毒』 永井忠孝 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第419話 『地下アイドルのいざない』 (7月10日発行) 
 自称「地下アイドル」の女性シンガー・ソングライターが歌う仕事観と、浮
かれる多数の中高年男性ファンの一晩についてまとめてみました。

(完)