414 収穫逓減未満

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経営コラム SOLID AS FAITH 第414号
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ご愛読ありがとうございます。第414話をお届けします。

ゴールデン・ウィークが近づいて来ました。新卒採用をした企業では、入社
一ヶ月のタイミングの長期休暇が、「退職ラッシュ」の最初の山場かと思いま
す。弊社でも、定着対策の案件を時々頂戴しております。手間・時間・金銭と、
各種のコストを掛けて採用した社員を、定着させると共に育成していくことは、
組織経営上の重要な作業の一つと捉えなくては、成果は現れません。是非、自
社の採用と定着・育成のプロセスを磨いていただきたいと思います。

PR欄に弊社の手掛けるゴールデン・ウィークに向けた若手社員定着策につい
て、簡単にまとめてみました。是非、ご一読ください。

今回の『収穫逓減未満』は、中小零細企業の社長がよく口にする「少数精鋭
の組織」について考えてみました。中小零細企業は少数精鋭になるのが必然で
あって、そうなっていない中小零細企業組織は、既に淘汰されたか、現在凋落
のさなかにあるかの何れかと考えることができると言う「説」を描いてみたも
のです。少々変な理屈ですが、お楽しみ戴けたら幸です。本文に対するご意見
・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は
5営業日!!
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その414:収穫逓減未満

「うん。そりゃ、バリバリ儲けることに熱心な当り前の零細企業オーナーなら、
もう合言葉ぐらいの感じで“少数精鋭”っていうんじゃないかな。面接でそれ
を言われたんなら、まあ、ブラック企業の疑いは拭えるもんじゃないけど、一
応、稼いではいるんじゃないの」。
私が知り合いの就活生に話しているのを、ふんふんと頷きながら、当時の弟
子が聞いている。帰途の電車で弟子が、自分の大手から中小企業への転職体験
を振り返りながら、「中小企業の社員は、少数精鋭状態に能力が高まっていく
もんなんですね」と尋ねて来た。

私は高卒で35万人の社員を擁する大組織に入社した。その地方拠点。地元採
用の社員が多数派の職場では、朝9時から30分ほどミーティングと称して皆で
ダラダラとコーヒーを飲み、10時になると再びお茶の時間があって、12時少々
前になると、「そろそろ上がって、昼にしよう」と必ず誰かが言い出した。
3時になると「一休みだ」と、30分はコーヒーを飲んで休む。終業の5時の15分
前には、「何かあると困るから待機だな、そろそろ」と意味不明な言葉で皆が
仕事を止めた。残業はいちいち組合に了承を取らねばならない。

「いちぃ。お前、大学部受験するんだろ。そういう人間は鍛えなきゃダメだな」
と、或る日、転勤族の係長が、二年間ただ勉強させてもらえる幹部候補生養成
研修の受験を目指す私に告げた。突如、係長の直属の部下にされ、嘗て『雑用
に勤しむ社員』でも描いた「仕事の修行」が始まった。それ以降、「仕事」の
本質が分かればば分かるほど、大手企業の社員を見るたびに、一定の“少数精
鋭”側かそれ以外の多数派かを分別する癖がついた。

「ミクロ経済学、まあまあ知ってる?“収穫逓減の法則”とかってあるじゃん。
細かく正確に知らないけど、最初は原材料を10増やすと生産量も10増えるん
だけど、段々、10入れても、生産量は5とか2とかしか増えなくなって、原材
料増加分一単位あたりの生産量が減って行ってしまう話。ネットの世界の“収
穫逓増の法則”と違って、現実の組織も“収穫逓減の法則”に支配されている
ように思う訳。ってことは、一定量以上、人を増やして組織を大きくしても、
生産量が増えないってことになるよね。だから、ちゃんとやってる中小企業な
ら、少数精鋭にならざるを得ないし、大手さんならエリート層やらキャリア組
だけが死ぬほど働くだけみたいな感じになるんじゃないかな」。
電車に揺られながら、私は弟子に告げた。弟子の表情には明らかに疑問が浮
き出ていた。

それから一年ほど後。ネットで偶然「リンゲルマン効果」を知った。集団の
共同作業において、一人当たりの課題遂行量が人数の増加に伴って低下する現
象。この言葉一つで、「だから中小企業社員はしんどくて当然」とまとめるの
は乱暴過ぎるようにも感じる。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

ゴールデン・ウィークが到来します。
4月に新卒の社員を採用した企業では、
よく知られた「退職ラッシュ」のリスクが増大する
最初のタイミングです。

製造業など、カレンダー通りの連休がある企業では、
有給休暇がまだない中で、初の連休です。
帰省や小旅行などで、入社以来の緊張感が一気に消失します。
久々の実家に戻ったタイミングで、親などの親族から、
「仕事が大変で辛いなら、辞めてこの近所で働くこともできる」
などと言われたので、退職を決めたと言うケースも珍しくありません。

連休がない店舗やサービス業では、
連休が取れる大学の動機の話などを聞き、
彼らへの羨望と嫉妬が退職につながるケースもよくあります。

育成をしようにも、定着させなくては、話が進みません。
単に業務遂行上のスキルを教え込むだけではなく、
働くことの意義や自社の優れた部分などを
きちんと伝え、定着への働きかけを計画的に行なうべきです。

弊社ではこのような動機付け企画の立案を
多数承っております。
対策の考え方をまとめたページはこちらです↓。
http://www.msi-group.org/MSI-ES-Facilitation.htm

ご関心を賜れましたら、メールにてご一報ください。
bizcom@msi-group.org

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『バイトを大事にする飲食店は必ず繁盛する …』 大久保伸隆 著
■『後継ぎがいない会社を圧倒的な高値で売る方法』 岡本雄三 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
第415話 『領導対象者』 =螺旋の構造(1)=(5月10日発行)
人間の遺伝子によって決まる部分が、社会の構造を揺さぶるほどに大きいこ
とが分かってきました。久々のシリーズ『螺旋の構造』の3回は、そんな遺伝
子の話をネタに構成します。ご期待ください。

(完)