411 500回の笑顔

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経営コラム SOLID AS FAITH 第411号
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 ご愛読ありがとうございます。第411話をお届けします。

 札幌の街でも幹線道路だけはアスファルト面が出て来て、漸く春の気配がし
てきました。前号のご挨拶でもお伝えした通り、2月から4月にかけては、展
示会の視察やブース運営指導のシーズンで、花粉の吹き荒ぶ中、ビッグサイト
や幕張メッセに頻繁に通う日々が続いています。

 幾つかのクライアントが年度末から年度始めの繁忙で、弊社からの定例の訪
問を見合わせる時期が終わりに近づき、4月から新入社員受入と育成の準備が
始まるケースも出てきます。単純な手続き的な受入準備にも、決まりきった従
前の育成プログラムにも、必然性があります。しかし、それらに加えて、人材
採用難の昨今、「定着」の工夫を重ねている企業はまだまだ非常に少ないよう
に見受けられます。そのような提案も、必要としているお客様企業に対して重
ねて行きたいと思っています。
 
 PR欄では、5月下旬に茨城県で実施することが決まった講演のお仕事につい
て紹介しています。弊社代表は講演のお仕事を積極的に獲得して回っていませ
んが、ご縁でご依頼下さった案件に関しては、日程などの条件が合う限りお引
き受けしております。久々の就労観教育の範疇に入るテーマ設定で、現在内容
の企画検討中です。

 今回の号は、社員にせよ、お客様にせよ、人間の無意識に一旦できてしまっ
たプログラムを書き換えることの困難さについてまとめたものです。あまり捻
りのない内容で、読めばストレートに面白がって戴ける展開かと考えます。こ
こ最近の号の中では、タイトルの出来栄えを弊社代表が気に入っている号です。
お楽しみ戴ければ幸です。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。
頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その411:500回の笑顔

 中央線沿線の駅近くのクライアント企業での勉強会を終え、夜9時過ぎに商
店街を歩くと、まだ閉店していないスーパーから煌々と明かりが漏れている。
先月来た時には気付かなかった。何となく足を止め、覗いてみると、広いフロ
アに買い物客は数人しかいなかった。遥か以前、中小企業診断士の師である小
谷喜八郎先生が仰っていたスーパーの閉店時間延長の事例を思い出して、「あ
あ、この店も“我慢中”なのかな」と呟いた。
 
 今までの閉店時間後の商店街の通行量が多いことに気付いた経営者が、閉店
時間を一時間延長することにした。延長しても全然買い物客が入ってこない。
近くに数軒あるコンビニでは惣菜を買っている人々がいる。幟を立て、音声を
入口で流し、看板を立て、チラシを撒き、ありとあらゆる告知をしてもラスト
一時間の客足は伸びない。経営者はコストがただ割れる一方の閉店時間延長策
を撤回しようかと悩み、小谷先生に相談したのだと言う。

「人間の習慣を変えるのは、とても大変なことですわ。一時間遅く店がやって
いることを近くの住民の方々は、もうみんな知っているんではないですか。け
ど、行動パターンも含めて、新しいことを学ぶのには、長い時間をかかります。
今投げ出したら、結局、嘘を撒き散らしただけのように、お客に思われます。
告知を続けて三ヶ月我慢してみなはれ」。
 これが小谷先生の答えだったらしい。そして先生の予言は当った。
 
 私がスキル・マップを使った育成のお手伝いをしている或るサービス店の店
主と話をした。スキル・マップに書き込んだマスターしなくてはならない作業
群の学びが悪いと彼は愚痴をこぼす。簡単に面談してみても、スタッフに悪気
があるようには思えない。

「ほら、『やってみせ、言って聞かせてさせてみて…』とか。何でしたっけ、
山本五十六の話とかあるじゃないですか。ああいう丁寧な教え方を採用しな
きゃダメなんじゃないですか」と私が嗜めると、彼は「もう手取り足取り何回
も教えていますよ」と反駁した。

「経営の効率を考えると、確かに何度も教えてられませんねぇ。けど、優秀な
人材を雇えないのが普通の中小零細企業なので、継続しかないかもしれません
ね。『ビリギャル』の映画の坪田先生の書いた本によると、よくミスをする問
題を生徒に指摘しても、平均500回繰り返さないと完璧にならないとか言いま
すから。ただ言って聞かせただけの場合ですが」。
 私が答えると、店主はウンザリした顔で会話を終わらせた。

「100回同じことを聞かれても笑顔で答えます」。
 帰途、偶然見つけた商店街のパソコン教室の看板の前で立ち止まり、大笑い
した。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

2015年1月に三重県の或る商工会様にて、若手社員育成論。
そして、2015年の11月には東京の或る法人会様にて、差別化論。

口を開くとラジカルなことを言うと、危険人物扱いの弊社代表が、
柄にもなく、またもや講演のご依頼を頂戴しました。
2017年5月下旬。
茨城県の或る工業高校でのPTA総会での就労観の講演です。

これから先方の希望を伺って、最終的な講演内容を決めますが、
私立大学での6年間の講義で構成した、
各種切り口のネタが選り取りミドリの就労観のテーマ。
500人以上の聞き手にどのようなお話をすべきか、
練って行きたいと考えています。

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『図書館の歩む道─ランガナタン博士の五法則に学ぶ』 竹内悊 著(※)
■『エロティック日本史…』 下川耿史 著

※著者名の漢字に常用ではない「哲」の異字体が含まれています。
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第412話 『トゥルー・コーリング』 (3月25日発行) 
 或る新規事業の立ち上げに常時関心を持つオーナー経営者との会話から、
「社長の人徳」のようなものについて考えてみました。

(完)