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経営コラム SOLID AS FAITH 第409号
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ご愛読ありがとうございます。第409話をお届けします。
2月になりました。体調が優れない日が多かった先月は、今年分の恒例の大
判寒中見舞の手配りを少しずつ進めつつ、時間的に無理になった分を郵送しつ
つ、下旬になって漸くお届け作業を終えました。昨年末より幾つかの案件が終
了し、売上は少々下がりましたが、大小あわせた新規案件が2、3始まり、既存
クライアントさんでもスポットの新しい仕事が4月以降予定されているため、
準備作業などに追われています。
大判寒中見舞へのレスポンスもポツポツ戴いています。PR欄にも書きました
が、「5年後に備える」のテーマそのまんまの、ゼロから既存事業を見直すよ
うな議論や雑談の機会が増えています。
今回の第409話『怪人の生い立ち』は、前号の予告に…
「ビジネスをしていると経歴や言動が怪しいとか胡散臭く感じられるとかする
人物に遇うことがあります。それらの人物は必ずしも犯罪性が高いのではなく、
受け止め手の認識の許容範囲に入っていない場合があるものと思います」。
と書きましたが、ダイバーシティとキャリアの多様化の両方が進めば、従来
見なかったタイプの人々の見極めがあちこちで必然になるものと思います。個
人的な情報に触れざるを得なくなる可能性が高いので、モチーフを自分にして
描きましたが、私自身も、「へぇ~。こういうキャリアの人とかがいるんだ
なぁ」と思う人に会うことが時々あります。
そんな時に、その場面々々の適切な評価軸で、その人物を推し量れることの
重要さを、最近多い勉強会やプロジェクトの開始時点で感じることがあります。
そんな風なポイントを意識しつつ、怪しいキャリアの私の話を楽しんで戴けた
ら幸です。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感
想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その409:怪人の生い立ち
高卒で電話会社で働く準公務員になった。20歳で2年間の幹部候補養成訓練
のために北海道の田舎町から上京し、その翌年には準公務員は民間会社社員に
変身することになった。地中に埋まった電線にまで固定資産税が掛かるように
なると大騒ぎの本社部署でも研修を受け、22歳で卒業後、札幌に配属された。
高校は普通科だったのに、なぜかどこに行っても技術職。訓練の中で講義を受
けた経営学や経済学、そして、本社で見た“ビジネス系”の仕事。それに就く
ためには、休職してビジネス専門学校にでも行かねばと考えた。
上司に相談したら、「会社が2年で一人4000万円も投資して教育したのに、
休職して専門学校に行くとは何事だ。正気の沙汰ではない」と滅茶苦茶に怒ら
れた。退職を想定して、バイトで役に立つようにと、嫌いではなかった英語の
関係資格を取るべく、英語学校に通い始めることにした。そこではフルブライ
ト留学制度で留学し、英文学を米国の大学で教えていたと言う福原先生が、や
たら難解な英検一級受験コースを教えていた。
「これからのビジネスを手掛ける人間は、最低でも経営の専門分野の知識、英
語、そしてコンピュータの知識がなくてはならない。それで多分あなたが引退
するぐらいまではやっていく準備になるでしょう。それを日本の大学で一つず
つ専攻したら12年掛かる。これを飛び級で全部学んで3年未満で学士になる
方法がありますが、考えてみたらどうですか」。
日本最大規模の会社の技術職社員を辞め、専門学校進学をと言うと、先生は
一笑に付して恐ろしく洞察的な逆提案をした。それは今まで考えたこともない
留学の選択肢だった。
「市川さん。この間紹介した私の友達がいるでしょ。あいつが、市川さんの経
歴がウソ臭くて怪しいって言うんですよ」とお世話になっている専務が、或る
日勉強会後の打ち合わせで言い出した。専務の友人は、全国に店舗を持つチェ
ーン店の人事部に在籍して、毎年百人に及ぶ規模の社員採用を担当しているら
しい。彼は長年の友人の会社の、採用にも育成にも営業改善にも数年前からず
っと口を出し続けている診断士が、何ほどのものか見極めたかったのだろう。
専務の紹介で会食をしたら、「巨大電話会社を辞めて私費で留学して2年半で
卒業し、その直後に外資のコンサル系の会社にまで入ったのに、中小零細企業
の案件を拾い集める商売を20年近くもしている」と言う私の経歴が、怪しいと
映ったらしい。
「経歴詐称なら、もっとその手の凄いキャリアにしますよ。留学を決めたのも、
たくさんの転職も、独立も、その後のありとあらゆる業種の案件の実績も、専
務もご存知の通りですよ。“成りたいもの”なんか端っからなくて、“求めら
れるもの”やその道のプロが“薦めてくれるもの”に、その都度辛うじて成れ
ただけの、主体性のない人生なんですから」。
“怪しい経歴”はかなりツボに入り、私は笑いを堪え返答するのが大変だった。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】
大判寒中見舞いでは、「5年後に備える!」がテーマでした。
行く先々の会社で…
「あ~。展示会出ても社員がボーっと立っているだけならムダですよ」、
「あ~。この界隈でアルバイト雇うのかなりしんどいと思いますけど」、
「あ~。既存の商売とシナジーない新規事業は、止めるってどうですか」、
「あ~。そもそもやり方が分からない社員さんにやれって言ってもねぇ」
「あ~。更新しないブログはいっそ閉鎖してしまったらどうでしょう」
「あ~。こんな潰れ掛けの会社、買収するんですか。金余ってんですか」…
などなど、
かなりラジカルなことを口にしなくてはならない日が結構頻発します。
それもこれも、数年以内に畳み掛けるように到来する…
■米国の各種施策の劇的方針変更、
■オリンピック終了と同時に始まる不景気、
■加速する地方における人口減、
■加速する大都市圏における労働人口不足、
■IT化・機械化・自動運転化による急激なビジネス・モデル変更
を乗り越えるために、本気にやるなら、
社長さんの気分やプライドを尊重している余裕が
なくなってきたからです。
気を遣う必要が減って、凄く楽になりました。
大判寒中見舞いに書いた、相談・雑談などの
経営談義のアポを戴いてます。
「さぁ~て。何したらいいんでしょうかね」と、
今までの事業をゼロから見直すような話の展開を
ニヤニヤしながら始めることが少しずつ増えています。
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】
■『「リベラル」がうさんくさいのには理由がある』 橘玲 著
■『脳はこんなに悩ましい』 池谷裕二・中村うさぎ 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
第410話 『避役の理由』 (2月25日発行)
頑張りを重ねる若手社長数人に会いました。不思議なことに、社長より高い
給料を貰っている社員は、過労が明らかな社長を置いて定時に帰ります。その
様子を描写してみました。
(完)