047 或る価値の材料

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経営コラム SOLID AS FAITH 第47号
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ご愛読ありがとうございます。第47号をお届けします。

私の好きな夏が終わり、涼しく、また、場所によっては寒くなってまいりま
したが、みなさま如何お過ごしでしょうか。

テレビでは「新しい戦争」とやらが取り沙汰されています。以前に読んだ
「ジハード対マックワールド」と言う本に書かれていることが、とうとう明確
な形をとるようになったのだと思います。10月の初旬には渡米する予定ですの
で、ジハードの当事者の考えに、取り敢えず、耳を傾けてみたいと思います。

段々と創刊50号が近くなってきました。100話への道程の折り返し地点によ
うやく到達です。そろそろ二周年記念号も、今回は簡単なのを準備したいと思
っています。お気に入りの号の募集は、まだまだ行っております。本文後の案
内をご覧の上、どしどしご一報下さい。よろしくお願いします。(特に、私の
知人友人で読んでいる方は、必ずご協力下さい。後日、催促致します。)
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その47:或る価値の材料

「2回ぐらい上がりこむでしょ。その間は、お土産持って行ったり、話聞くだ
けで、何もしないわけですよ。で、3回目ぐらいに浮かない顔をして行って、
元気なさそうにしていると必ず「どうしたの」って聞かれるんですよ。そこで、
「今月の売上がきつくてどうしようかなと思っている」と言うだけで、二人に
一人は買ってくれますね」

悪びれることもなく、かといって自慢気でもなく、友人はたんたんと語った。
彼は、独居老人宅を標的に高級布団を訪販で売っている。老人の家族からクレ
ームが来ることがあるという。しかし、クレームは根拠を欠く。購入後、何度
訪れても、歓迎されるのがその証左である。そして、布団は何度も同じ顧客に
売れる。顧客が喜んでいる限り、それは詐欺ではなく、付加価値がとる一つの
形である。

「ネット社会が広がり、自宅にいながらにして…」。「顧客が直接メーカーに注
文して、営業マンはどんどん不要に…」。そんな話がまだ世の中に跋扈する。希
少なものの価値は上がるのが道理である。人と人との接触が減り、数限られた
ものになると、人的接点を通して、布団以外のさまざまな商品に膨大な人的付
加価値を与えることができるようになるだろう。

「トータルバリュー・マーケティング」とか言う言葉が流行り出したらしい。
新規顧客を掴んでは、できる限り高いものを売ることで利潤を伸ばすのではな
く、一人の顧客と長い付き合いをする中で、利潤を上げる考え方だと言う。そ
んな言葉が流行る割には、経営者は「店舗や拠点のスクラップ・アンド・ビル
ドを推し進める」とか口走る。耐用年数が10年はあるだろう家電製品を売る量
販店までもが、「ご愛顧ありがとうございました」と空々しい貼り紙して、いと
もあっさり店を閉める。

私の名前と連絡先が書かれたこの台帳は、一ヶ月後どうなるのだろうか。私
の名前と顔が一致しているこれらの店員はどこに行くのだろうか。平成12年9
月。2週間後に閉店するという慣れ親しんだ近所の大手書店のカウンターで、
在庫の取り寄せを申しこみながら、人的接点について考えた。
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発行:
「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)

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次号予告:おまけの行方(10月10日発行)
不況だからこそなのか、販促キャンペーンの賞品に色々と考えられた品が取
り揃えられているようです。人の生活時間における商品部分とおまけの部分を
考えてみました。