『デスノート Light up the NEW world』

既に封切から1ヶ月近く経つ木曜日の晩、9時45分から回をバルト9で観て来ました。まだまだ人気は続いているようで、1日に4回も上映しています。仕事が終わったら観に行こうと思っていたのは、新宿ピカデリーの夜9時20分からの回でしたが、出遅れてしまって、バルト9に行くことにしました。因みに、新宿ピカデリーでは、今月初旬に観た際に、上映もかなり限界と思われた『SCOOP!』がまだ1日1回上映中でした。なかなか長命です。

さて、本作の人気度合いや如何にと思ってシアターに入ると、さすがに平日の終電時間過ぎの上映終了時間のせいもあって、観客はたった8人しかいませんでした。カップル客の女性が1名いるだけで、他は全員男性です。年齢は若い方で30代前半ぐらい。男性客二人連れも居れば、私も含めて男性単独客も居ました。

私は『デスノート』と言う作品が結構好きです。コミック連載時もそれなりにちゃんと読んでいました。「努力」・「正義」・「友情」だかが三大テーマと聞いたことがある(そして、幾つかの作中にもネタとして登場する)『週刊ジャンプ』のコンセプトがある中で、第一部の連続大量殺人犯キラが生き残り、挑んだ天才探偵Lが死を迎えるエンディングは、相応に衝撃的で、且つ爽快でした。

第二部が始まったので、どうなるのだろうと思っていたら、「正義」を振りかざす『週刊ジャンプ』のリベンジ・マッチだったのか、キラは敗北して惨めに死んでいきました。コミックは持っていませんが、「なんだ、散々ドタバタして、結局、負けさせちゃうんじゃん」と落胆が激しかったので、仮にコミックを買うことにしたとしても、第一部だけで十分だなと思っています。

その第二部が終わらないうちに、二作セットの映画が登場しました。藤原ナンチャラは、キラを務めるには少々丸顔過ぎましたが、第二部の話は存在せず、原作と少々違う、Lとキラが事実上相打ちになるエンディングでした。まあまあ好感が持てます。

この原作から映画二本(後にスピンオフが一本作られますが)に至る世界観の魅力は、ネットなどで読むと多々あるようで、ファン層も多様で色々な意味で広汎さが特徴だと思っています。私は、頭脳戦と言う言葉がぴったりの、吹き出しからはみ出るほどの長台詞で何をどう考えてどのように判断したかを語る緊張の展開が、やはり一番の魅力に感じています。

そして、映画だけで言うと、戸田恵梨香の弥海砂です。映画デビュー作品と聞いたことがあるような気がしますが、戸田恵梨香の演技はキレキレです。後に私は『SPEC〜』で、彼女の安定した演技が好きになりますが、DVDで観た作品二本は、まさにコミックのミサミサそのものでした。そのミサミサが気に入っているが故に、その後、比較的最近テレビシリーズとしてリメイクされた『デスノート』は全く関心が湧かず、見ていません。

その戸田恵梨香のミサミサも登場し、二作の10年後が描かれると聞けば、やはり観に行かない訳に行きません。観に行って良かった作品でした。面白いです。135分ほどの、私にとっては長めの尺ですが、ほとんど気にならないほどに、スピーディーに物語が展開します。二作に別れている前作群よりも、スピード感は増しているようにさえ思えます。

キラの後継者とLの後継者との戦い。そして、今度は世界中にばら撒かれた6冊のデスノートの争奪戦です。スリルがあります。特に、比較的冒頭で長い時間をかけて丁寧に描かれる渋谷の交差点の大量殺戮劇は見応えがあります。死神の目を持つ少女がすれ違いざまにあの渋谷の雑踏の人々を、一人、また一人と即死させていくのです。つい最近、ハロウィーンのとんでもない喧騒を自転車で観に行ったばかりの渋谷の交差点の無差別大量殺戮とパニックで逃げ惑う人々の風景はやたらにリアルで、引き込まれました。

何か最近記号的な価値が付け加わったのか、それとも、他の東京の街が記号的価値を失いつつあるので、相対的に目立つようになったのか分かりませんが、ぱっと思い出すだけでも『ヘルタースケルター』や『グラスホッパー』など渋谷が印象的なシーンとして登場する映画が増えているように思えます。

デスノートには使い方の設定が細かくなされていて、その設定をきちんと理解していないと、作品のあちこちで不明な点が出てきてしまいます。パンフレットを読むと分かるのですが、ストーリーにきちんと整合性をつけるため、制作陣は原作者とも打ち合わせを重ね、デスノートの使用ルールを緻密に検証したと言います。実際にパンフレットにも、観客が(仮にかなりデスノートのルールに詳しかったとしても)疑問を持ちそうな事柄がずらりと並べられているページがあり、制作陣の人々のこの作品に対する愛情や執着が非常に強く感じられます。

私も原作を読んでいた頃は、今よりもう少々詳しかったと思いますが、今となってはかなりルール設定を忘れており、今回の映画を観に行くために前二作を見返そうかと思ってはみましたが、時間がなく叶いませんでした。デスノートに触れたら担当している死神が見える設定とか、所謂23日ルールとか、所有権を放棄すると記憶をなくす設定とか、他にも色々ルールがあります。一応なんとなく覚えていると言ったレベルでしたが、十分楽しめました。

原作の夜神月(キラ)もそうですが、本作の主要登場人物のうち何人かも妙にデスノートの活用にこだわります。たとえば、『海月姫』でも『そこのみにて光輝く』でも、『二重生活』でも登場していて、つい最近も『何者』で目立っていて、ここでもまた登場している菅田将暉とか言う男優が居ますが、彼のキャラは何と迫りくる多数のSWAT部隊に対して、デスノートで立ち向かおうとするのです。

向こうは隊列を組んでガンガン小銃を撃ってきます。それに対して、契約したての死神の目で、SWAT隊員のフルネームをご丁寧に漢字できちんとノートに書き込んでは殺していくのです。攻撃のペースが違いすぎます。その場にいるLの後継者からも、「ノートが銃に敵う訳ないだろ」と激しい銃撃の中で突っ込まれています。

初代キラの夜神月も、自分に迫ってきたFBI捜査官を殺害するために、デスノートの紙を破り取って、名前を記入する変な穴あき台紙を被せて使ったりしています。勿論、天才的な考えがあってのことではあるのですが、デスノートだけに頼らず、他の殺害方法なども組み合わせたり、他の諜報方法などを組み合わせたりするなど、色々なやり方を採用していれば、もっと捜査を攪乱し、もっと効果的に自分の目的を達成できたものと思えてなりません。

自分の言いなりになるようになったミサミサも、もっとエロく使いまわすことができたと思いますし、殺害対象者のリスト集めもテレビや幾つかの概ね固定した情報源に頼っているので、すぐ足がついてしまっています。その辺のもったいなさまで本作で踏襲されているのには笑えました。

今回の作品では、6冊のデスノートを奪い合うのは警察か犯罪者かと言うレベルではなく、国家まで(多分に兵器利用のためと考えられますが)参入してきます。核兵器から生化学兵器、無人兵器からレールガン。ありとあらゆる殺戮兵器や戦闘プロ集団が揃った国家が、それらに組み合わせてデスノートをどう使うつもりであったのか、関心が湧きます。

久々に『女子ーズ』のブルーの子がスクリーンに登場していて、かなり目立つ役を演じていました。考えてみると、『女子ーズ』以外の数少ない映画出演作の『MONSTERZ』でも刑事の役だったように思います。刑事のイメージが定着するほどのその手の印象が強いようには見えませんが、この集中度合いはそういうことなのかもしれません。

面白い作品だと思います。10年を経て円熟したミサミサが再びの危なげない名演技で、今回命を落としてしまったのが、ちょっと残念ですが、彼女抜きの次回作も明らかにまだまだ続けられる感じのエンディングでしたし、出れば観てしまうことと思います。DVDは勿論買いです。いつか暇を作って、前二作を見返さなくてはと思います。

追記:
どこかの映画系のサイトだったか記憶が定かではありませんが、執拗に上映が続く大人気映画『君の名は。』が漸く落ち着いてきているのをネタにして、「君の名はと尋ねられて、名前を教えると、デスノートで殺される」とか書かれているのを見ました。馬鹿みたいに笑えるネタでした。