398 石器時代の床屋

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経営コラム SOLID AS FAITH 第398号
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 ご愛読ありがとうございます。第398話をお届けします。

 暑い日が続いて、弊社代表はウキウキ毎日を送っています。暑さの続く中、
如何お過ごしでしょうか。いよいよ、400話今号を含めて、400話発行記念特別
号の発行が迫って参りました。前号のご挨拶でも書きましたが、毎月二回の発
行を確実に繰り返すことで、ここまで到達しました。ご愛読賜っている方々に
御礼申し上げます。

 前号の『凡庸の手前』には、各種の異業種交流会経験者や現在のメンバーの
方々数人からご意見・ご感想を頂戴しました。「一所懸命に会の運営をしてい
るのに、バカにしているのか」と言ったお怒りのご意見も頂戴しました。馬鹿
にはしてはいませんが、本質的な組織強化や経営改善に、異業種交流会が役に
立っているケースは少数派であろうとは思っています。

 今号は久々の店舗ネタです。商店主の愚痴は、多くの場合、現実から目を逸
らし続けてきた結果の、聞くに堪えないものが多いように私は思っています。
よくある「○○に客を取られた」などはその典型です。(○○の部分には、近
隣の大規模商業施設でも、近郊に出店した競合大手チェーン店でも、適宜、代
入して下さい。)
 
 弊社代表の市川は、遥か以前、理容業界の業界報の記事に、「不景気で業界
全体に厳しい状態にあるが、いつまでも続くことはない。髪が伸びない人間は
いない。お客は放っておいても理容店のありがたみにいつか気付く」と書いて
あるのを見て、開いた口が塞がらなくなったことがあります。今回の理容店店
主の話も、猛暑が続く毎日の、ちょっとした笑いネタにして戴けたら幸です。
本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへの
お返事の目標納期は5営業日!!
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その398:石器時代の床屋

「やっぱり、この業界は利益が薄くなってどうにもなりませんよ。バタバタと
同業者がつぶれて行きます。安いだの速いだの言っている店は、そこらじゅう
にあるんですから」。
 偶然飲み屋で知り合った理容店数店を経営しているらしい50代の男性が言
う。創業以来、様々な業種業態の企業の案件を戴いて来たが、理容店は手掛け
たことがないので、黙って聞いていた。安いだの速いだのの店がやたらにある
なら、差別化をすれば簡単に際立つ。それ以外に、高いだの丁寧だの普通だの
が各種混じっている方が、余程難易度が高い。

「安くて速い店が客を持っていく」とも言っていた。客は頭に袋をかぶせられ
て拉致された訳ではない。彼の店を客が自ら見限っただけだろう。見限るよう
な客でも何とか囲い込める魅力を作る対策を講じるか、見限るような客を相手
にしないコンセプトを確立するかのいずれかを早速やればよいだけに思える。

「もう結論は見えていると思うんですが、違いますかね」と彼が今更に意見を
求めてくる。取り敢えず、「直感的には、そう言う結論を出す人もいるでしょ
うね」と応じると、何を勘違いしたのか、彼は「やはり、そうか」と頷いてい
た。

 橘玲の『バカが多いのには理由がある』の冒頭には行動経済学者のダニエル
・カーネマンの『ファスト&スロー』の説が紹介され、「速い思考」と「遅い
思考」が説明されている。
「速い思考は、石器時代の厳しい環境に最適化されたシステムです。茂みで物
音がしたとき、それがなにかをじっくり考えていては、飛び出してきたライオ
ンに食べられてしまいます。直感を信じて逃げ出した者だけが子孫を残すこと
ができたのです」。

 直感的に行なう「速い思考」は分かりやすくて快適だ。脳にも負荷が低く、
効率的なので、人間が必要とする思考はほとんどこちらで処理される。対する
「遅い思考」は論理的に考えることで、脳に負荷がかかり、意識的にこちらを
選択する訓練が必要だ。橘玲は、「負荷の高い『遅い思考』を、ひとは無意識
のうちに避けようとする」と指摘する。無意識が、まさに“無意識” に、 疑
問も躊躇もなく行なうのは、「『遅い思考』が必要な問題を無視する」か「あ
らゆる問題を『速い思考=直感』で解こうとする」かのどちらかだろう。

「ああ。明日も仕事か」と小さく呟くと、背中を丸めて彼は店を出て行った。
快適な「速い思考」は彼に快適な生活を齎していないようだ。人類最古の職業
は売春だとか言う説がある。石器時代にも床屋があれば、彼の経営状態認識は
正確無比だったのかもしれない。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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今秋の発行迫る! 2大記念特別号!
400話発行記念特別号の3号と、17周年記念特別号の大長編特集。
9月25日から4号連続で、記念特別号祭りの1ヶ月余。

400話発行記念特別号シリーズ3話を発行した直後に、
まるで惑星直列か何かの如く(笑)、
17周年記念特別号が発行されます。
大長編のテーマは…
『人工知能で変わる 中小零細企業の経営』(仮)。

2045年問題をご存知ですか。
その頃に人工知能が人間の能力を超え、
人間生活も激変することとなり、
そこから先の人間社会の未来予測が不能となる状態…
と言った説を都市伝説的にまとめたものが、2045年問題です。

ウィキなどでは、科学的見地から「技術的特異点」と呼んでいまが、
列挙された各種の説は、多種多様で現時点で既に予測不能の体です。

2045年を待つまでもなく、人工知能は社会にどんどん適用されています。
スマホのSiriを見ても、自動車の自動運転の研究を見ても、
人間に代わる労働の担い手の登場を予感させられます。

多くの先進国に比べ、極端に移民や外国人労働者が少ない日本。
そこでは、労働力不足への対応に、
人工知能搭載のロボットなどがどんどん活用されていく可能性が大です。

進む人口減少。そして、進む人工知能の社会適用。
中小零細企業の経営はどのように変わっていくべきなのか。
敢えて、非常に困難になっている未来予測に
中小零細企業の経営の面に特化して、挑戦してみます。

10月31日(月)発行予定!
ご期待ください

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『身体を売ったらサヨウナラ …』 鈴木涼美 著
■『人を育てよ …』 丹羽宇一郎 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第399話 『生存の理由』 (9月10日発行) 
「社員に任せたら、会社の業務など成立しない」と言う意見はよく聞きます。
現場を任されると、突如、経営観もない社員がデキる人に変貌するとは、私に
も到底思えません。ただ、実験結果では必ずしもそうではないようです。

(完)