394 限定的社会網

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ミュニケーションズ株式会社によるサーバクラッシュにより失われ、さらに
7か月分がバックアップされていない状態での復旧対応により、一旦、完全に
消失したものです。弊社にて過去のデータを浚い、概ね回復しましたが、
一部に当初ページ・コンテンツのアップ時とは異なっている可能性があります。
ご了承ください。
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経営コラム SOLID AS FAITH 第394号
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 ご愛読ありがとうございます。第394話をお届けします。

 50を過ぎた弊社代表は、世の中的にはオタク第一世代と呼ばれる人々の僅か
に下の世代です。オタクはその後どんどん増殖し、ライトオタク、ニセオタク
など、色々分化しながら、世界標準のキャラ分類用語の一つになりました。
(実際には、日本人の華道や書道などの“道”の文化そのものが、記号的でオ
タク文化背景と同質なものであろうと考えられますから、増殖するのは当然で
すし、今に始まったことではないと考える方が妥当です。)

 最新世代のオタクはそうでもないと言う説もありますが、やはり、オタクと
言えば、「コミュ障」系の人々が多く含まれているのは間違いないものと思い
ます。独立して社長になるのも、先代社長から事業承継で後継社長が生まれる
のも、概ね35歳から45歳ぐらいが多いものと思います。つまり、オタク社長、
コミュ障社長が大量発生しつつあると見て間違いありません。

 最近の引き合いの中には、このケースが散見されるようになり、なかなか根
深い経営課題を抱えているのを見るにつけ、「人と向き合い、人を活かすこと」
が中小零細企業経営のカギになっていることを改めて痛感させられます。その
ような話をPR欄にまとめてみました。今後のソリアズのネタにもどんどん採用
して行きたいと思っています。

 今回の号は「限定的社会網」と題して、中小零細企業の事業における、広い
ソーシャル網の意義について考えてみました。ウェブの向こうの誰とも分から
ない人間の自分に対する意見は聞くに値するのか。それに一喜一憂する必要は
あるのか。そんなことを考えてみた内容です。ご一緒にお考えいただけたら幸
です。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想な
どへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その394:限定的社会網

「ああ。見ず知らずの人の感想や意見には、別に関心が湧かないので、コメン
ト機能はシャットオフしていますよ。特に不便を感じたことはないですね。知
り合いは、会ったときに面と向かって感想を言ってくれるんで、フィードバッ
クが何にもない訳じゃないです」。
『ソリアズ』や『脱兎見!』などを格納している私のブログについて、コメン
トは受けるべきだと、異業種交流会で会ったウェブコンサルらしき人物が、頼
みもしないのにアドバイスする。ウェブ2.0信奉者の残党なのか、集合知や情
報精度などを根拠に挙げていた。

 ふと、内田樹がどこかに書いていた、情報リテラシーの話を思い出した。無
人島のロビンソン・クルーソーを想定した思考実験。「孤独な無人島生活者は
どれほど精緻な実験を重ねて研究を進めても、科学的真理に到達することはな
い」と言う。到達できない理由は、そこに彼の研究結果を吟味する他者がいな
いからだと言う。確か「吟味する集合的な知」の存在が、物事の認識を多面的
にし、与えられた情報の自分が見ている面以外の観点を与えてくれる。そのよ
うにして自分の知見の置かれた場所が認識できることが、情報リテラシーで
あって、単にどこぞのサイトに書かれた内容が本当かどうか判断できる能力を
意味しているのではないと言うことだったと記憶する。

 異業種交流会の息苦しい会場を出て、帰途に着くと鞄の重さが手に再び馴染
むのに時間がかかる。普段持ち歩いているUSBには、10話分ぐらいの『ソリア
ズ』原稿が半年近く眠らせてある。時々開いては、ふんふんと読み返す。その
原稿のネタ帳も常に鞄に入っていて、加筆修正が重ねられている。携行するダ
イナブックのデスクトップには頻繁にテキストファイルが貼り付けられては削
除されている。『脱兎見!』にアップされるのを待つ、映画館で観た映画の感
想。観てから数日間、ネタも書き足せば、参照する監督や俳優の名前や他作品
の正式名称をチェックしたりもする。他人のレビューを読むこともある。

 山手線に乗ったら座れたのでダイナブックを開く。ブラウザの開きっぱなし
のタブをクリックして、ブログの古い投稿をじっくり読み直す。思考の過程を
なぞると色々と発見がある。知人・友人・クライアント企業の社員などが言っ
ていたことが断片的に思い出される。最大公約数的な背景に一つ気付かされて、
おっと声が出る。読み返すときには、書いてから自分に蓄積された新たな事柄
が検証の材料となっていることが自覚できた。

「人口減で市場が小さくなるとっくの前から、零細事業者は狭く深い関係性の
中でしか商売していないから、その外の意見も感想も常識も要らないんだよな
ぁ。もともとコミュ障だし。まあ、ランチェスターの局地戦的な感じで」。
 ぶつぶつと呟きながら降車した。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

ムダ取りで有名な山田日登志氏の書籍に
「活人」と言う考え方が書かれています。

ニュアンスは多少違うかもしれませんが、
零細組織運営のカギは、「人を活かすこと」に尽きるようです。

世の中の流行の、
「ブランディング」でも、「イノベーション」でも、
「夢」でも「ビジョン」でもなければ、
「ガバナンス」でも「コンプライアンス」でもなく、
ましてや、
「ワークライフ・バランス」でも
「(大手型)ダイバーシティ」でも、
全くなかったと、最近、創業17年目にあたって、
段々確信できてきました。

結局、金を払う人も金を貰う人も、みんなまとめて、
組織に関わっている人々をよく知り、
その動機付けをきちんと行なうこと…
に尽きるように思えてなりません。

世の中にオタクが溢れてきて、はや数十年。

並行して「コミュ障」の経営者も増えてきて、
社員と向き合うことや、
お客と向き合うことから逃避しながら、
自分は誰かに認めてもらおうと、
奇麗ごとや虚勢に終始している様子を
時々目にするようになりました。

事務所の隣の社長室にこもってPC仕事に明け暮れて、
事務所の社員にもメールで指示を送る社長。
社員の考えを聞いてみてくださいというと、
ご丁寧にアンケートを作って配布する社長。
問題山積の職場から社員が不満を伝えているのに
異業種交流会や社長塾に逃避する社長。

すべての答えは現場にある以上、
現場の社員やお客さんから目を背けていて
どれほどブランディングしようと、
どれほど夢を語ろうと、
課題解決はおろか組織維持もできる訳がありません。

そんな経営者に、「活人」の極意を
MSIグループはお届けします。
自覚症状がある社長様は、
是非メールにてご一報ください。

 bizcom@msi-group.org

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』 山口揚平 著
■『女子大生風俗嬢』 中村淳彦 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第395話 『差分の共感』 (7月10日発行) 
 日本文化の特徴の一つとして、“差分を愛でること”が挙げられると、或る
書籍にありました。組織の差分について考えてみました。

(完)