388 秘められた渇望

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経営コラム SOLID AS FAITH 第388号
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 ご愛読ありがとうございます。第388話をお届けします。

 細かな案件の開始にアタフタしながら、花粉が飛び交う新宿の街を歩き回っ
ています。最近の案件は、随分「人手不足」に偏っています。しかしながら、
(1)「募集しても応募がない」、(2)「応募が来ても採用できない」、(3)「採
用しても定着させられない」のうち、症状がひどいのは(3)であって、(1)や(2)
が問題であるケースは、どちらかと言えば少数派です。

 機械設備には操作マニュアルがあり、電気製品には取説があり、自動車に至
っては、使用に免許が必要です。けれども、創業以来ン十年経っているような
会社でさえ、ずっと経営の最も主要な“資源”として人間を使って来ていなが
ら、その使い方を真面目に考えたことがないままであったりします。

「会社にとっての人間」と「人間にとっての会社」。これを根本から考え直さ
なくては、カネよりも大切らしいものがたくさんある時代、カネを始めとする
労働条件では、社員やスタッフを活用することはできません。あちこちの案件
で、そんなことの再認識、再々認識を重ねつつ、日々を送っています。

 今号はまさにそんな内容を真っ向から考えた第388話『秘められた渇望』で
す。自社を見渡してみて、社員やスタッフが何を得るために自社の仕事をして
いるのか、ひと時考えてみるきっかけになれば幸です。本文に対するご意見・
ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5
営業日!!
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その388:秘められた渇望

「市川さん。勉強会ではもっときちんと意見を言わせて議論をさせてください。
自分達でディスカッションと言うのなら、司会進行役を決めてやらせないと、
時間の無駄です」。

 新卒で入って大手企業の子会社で三年扱かれて家業を継いだと言う社長は、
自社の既存社員が、議論一つ満足にできず、議事録一つ満足に書けないと、苛
立ちを募らせて私に言った。毎週の体制の勉強会は始まって三ヶ月。それまで
は言われた作業をするだけだった社員達。パソコンを立ち上げることさえ初め
てと言う社員もいる。こっそりと書店でワードとエクセルのマニュアル本を買
い込む直向な社員もいることを私は知っている。
 
 議論の場で、的外れでも意見を言い始めた社員を、「おお。なるほど。そう
ですね。そういう考え方もありますね」などと私はすぐほめる。議事録の体裁
がきちんとできただけで、「キッチリ形ができて、すごいですね」と私はほめ
る。そんな私を見て社長は、「こんな馬鹿げたレベルでは話にならないので、
私が細かく指摘すると悪者扱いですよ。社員はすぐ不貞腐れるんですよ。これ
も、市川さんが社員を甘やかすからです。こんな幼稚な社員を見るために金を
払っているのではないんですよ」と激昂する。
 
 池谷裕二氏の『脳には妙なクセがある』には、最近の脳神経学の研究成果が
多数紹介されている。モニターを見ながら作業をやっている最中に、モニター
上に視認できない速度で「がんばれ」などと表示すると、視覚上全く認識して
いないのにもかかわらず、作業成果が向上するらしい。映画の途中にポップコ
ーンの画像を視認できない速度で出しても、サブリミナル効果は確認されなか
った。しかし、褒める言葉は、空腹時のポップコーンよりも無意識のずっと奥
深くで強烈に欲しがられているのだろう。

 多くの勉強会の対象者は、長年言われるがままに働いてきた人々。勉強会を
始めると、最初の長い期間は「承認」を原動力に、社員は不慣れな思考と行動
の循環に向かう。原動力には徐々に「成長の自覚」が加わり、さらに「達成感」
が混じりこんでくる。そんなプロセスを私は創業以来見続けてきた。

 意識で分かっていてもできないことは山程ある。その多くは“無意識の渇望”
が伴っていないからだと感じる。件の社長は、「議論の仕方も、議事録の書き
方も、きちんと教えてやってくれれば、社員はすぐにできるようになるはずだ。
なぜ社員の無能を見過ごしていられるのか訳が分からない」と繰り返していた。
私には、勉強会に参加する直向な社員の無能よりも渇望の方がよく見える。
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次号予告:
 第389話 『セールスDLL』 (4月10日発行) 
 何かを販売する作業には、多少なりとも、「自分の都合や欲望を相手に押し
付ける」覚悟や用意が必要になります。その持ち合わせについて考えてみまし
た。

(完)