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経営コラム SOLID AS FAITH 第384号
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ご愛読ありがとうございます。第384話をお届けします。
暖冬が続いているようです。寒いのが苦手な私なので、もう一ヶ月程度で、
テレビで「梅の開花が…」などとアナウンサーが言い出す季節になるかと思う
と、非常に気が楽です。
長年のクライアントさんで、私が大学新卒採用の旨みをお教えした企業の経
営者の方々からは、昨年の採用活動の評価を、この時期になると毎年恒例でお
聞かせいただけます。質の確保、数の確保が、年を重ねるごとに大変になって
きていると言うのが多数派の感想であるはずです。どんな課題でも、課題設定
を終えた時点で、解決までの道程の半分は過ぎていますし、解決法の姿は必ず
現場に潜んでいます。中小零細企業の採用と育成・定着のあり方の検証に、今
年はいつも以上に労力を割いてみようかと考えています。
最近、漸く多少は下火になってきたように感じられる「ポジティブ・シンキ
ング」について、今回の号では考えてみました。私は楽観的では決してありま
せん。しかし、悲観論ばかり言い募っている訳でもありません。物事に対する
評価を絶対化しなければよいのだと思っています。
良くも悪くも物事を一定以上の距離を置いて捉えて、一つの結論に陥らない
ようにしつつ、自分がやるべきことを確実にこなし続けるだけのことと思って
います。本文に出てくる勢古浩爾の書籍を読んで、私はこのような考え方に、
自覚的になりました。ご一緒にご一考賜れれば幸です。本文に対するご意見・
ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5
営業日!!
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その384:糾える縄
「市川さんは、ポジティブ・シンキングって嫌いなんですよね」。
クライアント企業の勉強会の休憩時間に、参加者の一人が私に話しかけてき
た。私はポジティブ・シンキングが概ね嫌いだ。明らかに実行力とそれに見合
う努力やリソースを持ち合わせている人が言うポジティブ・シンキングは、単
なる“読み”として腑に落ちる。けれども、多くの人々は、まじないか気休め
の言葉として、この言葉を口にする。
遥か以前の留学先の大学で、”Be positive.” や “Smile. Everything
will be alright.” など、慰めを互いに言い合う学生たちを多数見た。学年
が始まる秋学期。学生寮は入学した一年生で溢れ返る。高校生活で集中的な学
習習慣を身に着けていない多くの新入生達は、SATで相応の成績を収めていて
も、大学の授業についていくことが難しい。無残な成績に、奨学金がすぐさま
止められ、学校を去って行く。二学期。学生寮の一年生の構成比はがくんと落
ちる。廊下や食堂で気休めの言葉を聞く頻度もめっきり減る。抜きん出た成績
で知られる学生や、修羅場を潜った学生ぐらいしか、ポジティブなことを言わ
なくなる。
「けれど、ポジティブに考えないって、いつも悲観論ってことですよね。仕事
をしていて悲観論だと、鬱か何かになっちゃいませんか」と件の勉強会参加者
が尋ねてくる。私は悲観的ではなく、構造主義的なのだと思う。世の中の多く
の要素は、網の目のように絡み合いながら既にそこにある。私ができることは、
遺伝的にも環境的にも殆ど規定されている。ただ、できることをやるかやらな
いかが自分に一応残されている程度のことと思っている。
そんなことを大雑把に答えようとしたら、不意に勢古浩爾の『ぶざまな人生』
が思い出された。彼の人生観は、「人間の人生」と「自分の人生」が絡み合っ
てできている。
「「人間の人生」はすべてを入れる器である。なんでもありうる人生である。
(中略)それは、わたしたちが理不尽を理不尽のままに納得し諦めるための人
生である。これがなるようになり、なるようにしかならない人生の正体である。
(中略)「自分の人生」は意志である。自分でしかありえぬ人生である。その
意志によって、自分の人生は、死ぬまで、つぎからつぎへと繰り越される。人
間の人生と自分の人生は縒り合わされている。これが、一生懸命生きる、と言
うことの意味である」。
『ぶざまな人生』の冒頭の文章は見事過ぎて、記憶を手繰ってもうまく伝えら
れそうに無い。仕方なく、私は彼女に書籍タイトルを教えて、「人生観が変わ
りますよ」と伝えた。
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【MSIグループからのPR】
沖縄上陸作戦準備中!
生まれてこの方、沖縄には行ったことがなかったのですが、
観光旅行でもなく、特に仕事の案件もないのに、
沖縄に行くことに決め、準備を進めています。
或る書籍で、沖縄には優秀な大学生が就職できずに、
職にあぶれている…
と言った話が書かれていたので、
それを自分の目で確かめに行くのが目的です。
毎年卒業する大学生の労働力を
吸収するには十分な求人が地元に存在せず、
陸続きの場所にも、通勤可能な時間距離範囲にも、
中規模以上の都市がほんの限られた数しかない。
中小零細企業でも、
「外国人採用を検討しなくては…」
と言う声があちこちで聞かれる昨今、
国内での採用の方が
圧倒的にリスクもコストも低く抑制できるはずです。
現地の労働市場を短期間に集中して観察し、
中小零細企業が身の丈で行なえる
国内遠距離大学新卒採用の形を模索したいと思っています。
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】
■『平成宗教20年史』 島田裕巳 著
■『タモリ学 …』 戸部田誠 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
第385話 『日常投資活動』 (2月10日発行)
市場が飽和し、どこを見ても一時期流行ったレッド・オーシャン状態の日本
では、組織にとってお客様満足の維持は以前にも増して重要な課題になってい
ます。組織にとって重要なのがお客様満足なら、社員にとって重要なのは社長
満足ではないかと思えます。そんな議論を展開してみました。
(完)