383 小商いの姿

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経営コラム SOLID AS FAITH 第383号
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 新年明けましておめでとうございます。本年も変わらぬご愛読のほど、伏し
てお願い申し上げます。本年第一号は第383話をお届けします。

 よく中小零細企業の優れたマーケティング事例の中で、業界他社に例を見な
い独特の方法論やアプローチが紹介されています。多くの場合、競合他社を見
るのではなく、現実の自社のお客様をきちんと観察し把握していくことによっ
て、これらの優れた事例は成立していることが分かります。

 同じ人間相手のアプローチなのですから、従業員に対するアプローチも優れ
た方法論は、自社の既存社員や採用予定の人材層をきちんと理解して、その求
めるものを精緻に把握することから生まれてくるはずです。労基の法的規制は
マーケティング上の各種法規制に比べて目が細かく、単純な応用は困難ですが、
構造それ自体は全く一緒です。
 
 中小零細企業経営者から伺う採用や育成・定着についての課題の多くは、ま
るでマーケティング系の問題同様に、旧態依然の横並び発想と「人を人として
見ていない」認識論から発生しています。「どのようにしてでも、売って儲け
る」のが中小零細企業のマーケティングであるなら、「どのようにしてでも、
人の能力を組織で活かす」のが中小零細企業の組織運用であることでしょう。
各地での労働人口減は、このような視点の転換を否応なく待ったなしに、求人
力の乏しい中小零細企業に対して迫ってきます。
 
 解決の糸口は、中小零細企業版のダイバーシティだと思っています。本年お
世話になった皆様にお配りしている寒中見舞いのテーマもこれですが、新年第
一号の第383話『小商いの姿』も同テーマとなりました。お楽しみ戴ければ幸
です。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想な
どへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その383:小商いの姿

 早朝の異業種交流会に誘われて、頭の中に霞がかかった感じで、指定された
大きなカフェに向かった。この会のメンバーは固定的で、決まった式次第に則
って毎度同じ進行で会は開催されている。個々に自分の商売の宣伝を他のメン
バーに伝え、見込み客らしき人物を相互に紹介し合うことで、仕事の機会が増
えると言う触れ込みだ。
 
 終了後に私を誘った人物が、他の女性メンバー数人と打ち合わせをすると言
うので付き合うことにした。彼女達の仕事は個別の宣伝文句のおかげで知って
いる。大まかな業態が分かれば、その経営課題も分かる。各々の課題と対策の
方向性を告げると、宛ら占い師か何かのように、会話の中心人物になってしま
った。
 
 彼女達は全員、大手企業やその子会社で、総合職的な仕事の経験がある。結
婚や出産で退職してから、子育てが一段落して働こうと思っても、以前のよう
な仕事に就くには、時間の制約が大きい。さりとてアルバイト求人誌の仕事で
はスキルが活かせない。結果的に彼女達が選んだのは個人事業だった。

「大手の看板でする仕事と個人事業主の仕事の受注では話が全然違いますし。
で、自分でもきちんと売れない商売を、会の固定メンバーに何度説明した所で、
うまくいく可能性は低いでしょうしね。早起きして、何かやっている充実感は
あるんでしょうけど、それじゃあ、目的のための手段が、新たな目的になっち
ゃってますよね」。
 思うように仕事が増えないとの相談に、私が断言すると、彼女達は大きく頷
いた。

 その日の午後訪問した不動産会社で、社長が嘆いていた。
「関東でもちょっと地方に行くと、営業所を開きたくても、営業の募集に全然
応募がないんだ。フルタイムで良い給料にしても、まともな人材がいないんだ
よな。ウチは研修とかもきっちりやるし、成績がボーナスに反映するし、あと
は何をどうすれば良いんだろうな」。

「もしかすると、人口減とやらで、ちょっと都心を離れると、フルタイムで働
ける人間がもう手付かずでは残っていないのかもしれませんよ。フルタイムに
もパートにも成れなくて、個人事業主になってバリバリ働いた経験を活かそう
としたら、今度は全然受注できなくて、困っている人達を今朝沢山見ましたよ。
その人達のサークルの方が、営業所より作るのが簡単じゃないですかね。受注
モデルと寄す処の様な場を、そういう人に提供するのが、これからの中小企業
の最大の役割とか思えてきましたよ」。
 冴えない頭を振絞って湧いた答えが、まあ良かったので、私はにやりと笑っ
た。
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次号予告:
 第384話 『糾える縄』 (1月25日発行) 
 大好きな勢古浩爾の人生観にある「人間の人生」と「自分の人生」をベース
に、今何となく流行っているらしいポジティブ・シンキングについて考えてみ
ました。

(完)