382 甘い誘い

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経営コラム SOLID AS FAITH 第382号
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ご愛読ありがとうございます。第382話をお届けします。

早いもので今年最後の発行号です。そして、今年最後の今号が届くのは毎年
恒例のクリスマスです。だからと言って、クリスマスに因んだテーマの号を用
意しようと言うこともないのですが、偶然ながら、クリスマスの主役の子供達
の話にネタが揃いました。『甘い誘い』と題して、我慢して会社環境に順応で
きる新入社員の姿を、最近色々な本で説明されている有名なマシュマロ実験の
結果と照らし合わせながら考えてみた内容です。お楽しみ戴けましたら幸いで
す。

来年は、17周年記念特別号と400話発行記念特別号の二つの特別号を発行の
予定です。メルマガの方の発行部数は逓減していますが、日々の業務の中でお
会いするクライアントさんの方々から、「前回の号は●●でしたね」と言った
お声掛けをよく戴きますので、見て戴くべき人には見て戴いているものと気楽
に考えています。

書店に並ぶ如何にもな流行の経営論を、訳知り顔で語る若手経営者や個人事
業主に会うことが増えています。「コミュニケーションがビジネス・モデルの
核となっていて…」と仰る社長が、メールにまともに返信もできない。「他社
がやらないことにどんどん挑戦するのが経営の本質だ」と、社員やお客にニー
ズの変化に逆行することを始めてしまう社長など、不思議なほどに見つかりま
す。それだけ、砂を噛むように退屈で地道な、本質的経営の姿に耐えられず、
奇抜な近道を求めてしまう“俄か経営者”が増えているのかもしれません。

創刊以来、文体などで微妙に変化した部分はありますが、当コラムは一貫し
て、中小零細企業の身の丈レベルの確実な経営をテーマに掲げています。妙な
感情論や、偏った正義感、流行の新世代経営論などに振り回されることなく、
当たり前の中小零細企業の日常視点の経営論を軸に、ネタを扱って行きたいと
考えています。来年以降も、これまで同様、毎月10日・25日の午前8時発行を
できる限り続けて行きたいと思っております。今後ともよろしくお付き合いの
ほどお願い申し上げます。

本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへ
のお返事の目標納期は5営業日!!
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※前号の前書きで「来年は文字柿の量が…」との記述がありましたが、「来年
は文字書きの量が…」の誤りです。大変失礼致しました。そのような果物の存
在は確認されていないものと思います。
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その382:甘い誘い

「学生たちとのワークショップで、ウチの会社で扱える、スーパーやコンビ二
でも見かける有名商品の店頭販促の仕事を説明したら、学生達に大ウケでした
よ。やっぱり、分かりやすい商品は、学生達のウケが違いますね。今年もはま
あまあ期待できそうですよ」。
とある食品卸会社の社長が、今年の大学新卒社員の採用について語る。この
会社の組織規模は営業だけで30名以上。顧客企業の業態ごとに営業の課が分か
れている。入る部署によっては、新卒達は必ずしもテレビCMで知られるよう
な商品を扱うことにならない。

「まあ、それがやりたくてウチを選んだんだから、有名商品の扱いをさせてや
れば、やる気出して、辞めないで働くんじゃないですかねぇ」と私の質問を見
越して、社長は言った。

有名商品と言っても、売り込む作業は普通の営業と何ら変わらない。基本的
知識を積み重ね、顧客企業をよく知り提案をする。それは毎日の地味な作業の
反復と新卒には映る筈だ。好きな仕事をさせた新卒が、仮にできが悪かったら、
会社の仕事は、好きでもない仕事だらけになってしまう。「ほんとに、好きな
仕事をやれる場に置かれると、やる気が湧くんでしょうかねぇ」と私が疑義を
伝えても社長の考えは変わらなかった。

脳の働きについての本を読むと、「マシュマロ実験」の話が出てきた。米国
スタンフォード大の心理学者ミッシェル博士が1968~1974年に行なった有名な
実験。653人の4~5歳の子供にマシュマロを一つ見せて、「このマシュマロは
今すぐ食べてもいいよ。けれども、もし15分間食べないで待てたら、もう一個
マシュマロをあげよう」と伝えて、子供の行動を別室から観察した。結果、二
個のマシュマロを貰えたのは全体の4割だった。

驚くことに、1984年に追跡調査が行われ、マシュマロを我慢できた子は、SAT
の点数が満点に対して一割近く高いことが分かった。幼少時のIQよりも我慢
強さの方がSATの点数に大きい影響があると言う。

考えてみると、我慢強い子を高く評価することが、周囲であまり聞かれなく
なったように思う。愛情表現としてか、交渉条件としてか、親が子供の欲しが
るものをすぐ与える風潮になったことが原因かもしれない。そのように育った
のが、面接に来る学生ならば、好きな仕事がすぐできると思っていることは、
できが悪いことの証左かもしれない。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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次号予告:
第383話 『小商いの姿』 (1月10日発行)
来年最初の号は、皆様にお配りしている寒中見舞いのテーマ「中小零細企業
版ダイバーシティ」に関わるものになりました。世の中で散見されるマイクロ
・ビジネスの勃興の一端を描いた内容です。ご期待ください。

(完)