380 趣味と実益

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経営コラム SOLID AS FAITH 第380号
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 ご愛読ありがとうございます。第380話をお届けします。

 先日の22日日曜日が誕生日で、52歳になりました。平均寿命が75プラスα
だと思っていたので、「人生の3分の2が終わった」と思っていましたが、い
つの間にやら、平均寿命の方が伸びていて、あと一年以上は3分の2に到達し
ないことが分かりました。しかし、よく当たると噂の占い師によると、75歳で
終わりらしいので、BCP的な発想なら、あと20年余り持たせればよいことにな
ります。

 平均寿命は0歳時点の平均余命なので、52歳まで生きている人間はより長生
きする確率が上がっているのだそうですし、細かく見ると平均寿命の計算時に
は極端に高齢な人々を除外しているとのことなので、実際には平均寿命よりも
本来の寿命はやや長いなどとも聞きます。
 
 子供の頃から、重篤な病気や怪我骨折を重ね、社会人になってからも、事故
や事件に遭遇したことは多数あり、「生きているのが不思議」とさえ言われる
ことがある私です。「それだけ高頻度で死の危険が迫るので、いつ死んでもお
かしくない」と「悪運があってなかなか死なない」との二つの考えに、周囲の
人々の私の残存寿命の評価は分かれます。私は前者が好きで、ラスト20年余り
を一日々々の重みを自覚しながら過ごしたいと思っています。

 今回の号は、中小零細企業の海外進出を手伝うコンサルタント的な商売を始
めた人物との“趣味”や“自分へのご褒美”などについて話したことをまとめ
てみました。ワーク・ライフ・バランスなどと、仕事と生活を分ける発想が私
には全く得心できませんが、趣味や娯楽を仕事と対照させて見る考え方も私に
はほとんど共感できません。その違和感を刳り貫いて、何とか文章にまとめる
ことができたので、コラムの形に整えてみました。お楽しみ戴けたら幸です。
本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへの
お返事の目標納期は5営業日!!
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その380:趣味と実益

「そうなんです。漸く離婚しつつありますよ。息子とカミさんの家の目と鼻の
先の、まだどちらのものになるか分からないマンションに住んでるんです。誰
か女性と交際ですか。いや、僕はずっと風俗ですよ。海外に行くことも多いの
で、行く先々で風俗ですね。ああ、市川さんは風俗苦手なんですよね。私は若
い頃からずっと好きですよ」。
 商社を退職し、海外進出コンサルを始めた男性が、長らく離婚の交渉をして
いると言うので、交際相手の有無を尋ねてみた。余程好きなのか、饒舌に自分
の風俗好きを語りだす。

 留学前に交際していた、スナックで働く若い子の友人は皆、射精産業の子ば
かりで、夜中に大挙して私のアパートに押し寄せてきた。彼女達の目に映った
客の男達は愚劣極まりない。それが男の本質であるのか私には分からない。た
だ彼女達の心に潜む強烈な侮蔑が私に刻まれた。それ以来、到底、5桁の支払
に見合う愉しみを風俗業に見い出せないでいる。

「この仕事を御社から貰って、こんなに大きくできて、本当に感謝しています。
派遣業の大手はデモ販の女の子を派遣して穴を開けたら、単に『すみません。
請求しませんからご安心を』の電話一本が関の山じゃないですか。それじゃあ、
御社の取引先の小売店さんは絶対に納得しない。きちっと教育した女の子を、
穴を開けずに入れる業請のサービス。御社の依頼で初めてやってみたら、他社
からもどんどんオーダーが来て寝る暇もありません」。

 マーケティング担当者だった頃、量販店店頭でデモンストレーション販売を
する女性を手配する業者の社長が飲み会で言った。毎週末に首都圏だけで20
箇所以上。派遣会社の自称“ベスト・エフォート”のサービスでは、高確率で
穴が開く。私の前任者がこの社長のSPハウスに女性の手配を業務請負で依頼
したのが、この会社の売上急拡大の始まりだった。
 
 件の風俗好きのコンサルに、「苦手と言うのもちょっと違いますけどねぇ」
とブツブツ応えていると、ふと、デモ販手配をしてくれていた社長の苦労話が
思い出される。
「まあ、儲かるのは嬉しいですが、女性不信になりましたよ。可愛い顔して、
来ると言っても来ない、やると言ってもやらない、この仕事が好きとか言って
いてもすぐ辞める。サボるし嘘つくし、ホントに呆れ返りますよ。呆れ返った
ら稼げるようになりました」。
 
「市川さんは、自分への御褒美的なことは、何をするんですか」と畳み掛ける
ようにコンサルの男はテーブル越しに尋ねてくる。「考えてみたら、全然ない
ですね。どんな御褒美でも、その御褒美を作る業界の側の仕事がいつ来るか分
かったもんじゃありませんから」。
 私は嘆息して言った。
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※文中の私のアパートに押しかけてきた女性達のエピソードはこちらで…
 第146話『脆弱のレッテル』 http://tales.msi-group.org/?p=199
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第381話 『見知らぬ語り手』 (12月10日発行) 
 プレゼンやスピーチをする際になかなかやめることができない “言葉のヒ
ゲ” について、少しまじめに考えてみました。

(完)