352 ライブラリ関数

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経営コラム SOLID AS FAITH 第352号
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 ご愛読ありがとうございます。第352話をお届けします。

 当コラムの配信は、毎月10日と25日の朝8時からまぐまぐのシステムに
よって行なわれてきました。今年8月25日の発行号から、通常、一時間もせず
に届けられていた配信完了のメールがなかなか届かなくなり、数日を要するこ
とさえ出てきました。まぐまぐから連絡があり、gmailのメール・アカウント
では、Google側がサーバの受信量制限をかけているらしく、他の宛先では問題
なく届いているものの、全体の送信完了には非常に時間がかかっているとのこ
とです。

 既にgmailアカウントの読者の方より、状況を尋ねる連絡が届いたりしてい
ますが、発信側では如何ともしがたい状況のようです。基本的には、遅れても
最終的には到着する様子ですので、到着をお待ちいただくか、当コラムの受信
アドレスをgmail以外のアドレスに変更していただくかしか、現状では対処法
がありません。詳しくは、巻末の『ご注意!!』欄をご覧下さい。
 
 10月末日に発行の予定の15周年記念特別号『Congenital Auto-cruisers』
は、漸く本文部分がすべて完成しました。このあとは、推敲と発行原稿の形へ
の整形作業を行なうのみとなりました。章立ても修正に修正を重ね、増量して
全9章と言う一回の発行では前例のない長さとなりました。人間に対する見方
や考え方が大きく揺らがせられる内容に仕上げられたように思っています。是
非、ご期待下さい。

 今回は『ライブラリ関数』と題して、受け手に合わせた出力表現のレパート
リーについて考えてみました。当り前と言えばごく当り前の話なのですが、ま
あまあよくまとまったのではないかと思っています。本文に対するご意見・ご
感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営
業日!!
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その352:ライブラリ関数

 若手社員が集まって、最近受け手に好評と言うメールマガジンの編集会議を
している。この会社は長く下請製造業だったので、明確な営業組織がない。脱
下請の長い道程で最も問題となるのは見込み客開拓。既存の納品先でも発注担
当者ら以外は、自社がその部品を使っていることさえ知らない。完成品でもな
い製品を、営業担当者が売り歩くのでは効率が悪すぎるので、営業行為は姿を
現した引き合いに最低限だけ適用する。プル型のマーケティング手法を各種
重ねて、見込み客を炙り出すことにして、既に10年近く。数々の形式の変遷を
経て、メルマガはプル型マーケティングの核になるまでに成長した。

「今はうちの商品を担いで売って下さっている商社の営業担当者とか幹部を読
者として想定していて、好評も聞きますが、まだ幅を広げて行きたいので、内
容に技術部門の方々が読んでも面白いと思えるテーマを幾つか混ぜ込むように
しても良いのではないかと思います」と一人の社員が意見を言う。周囲の社員
も特に反論するでもなかった。

「それは、ファンがたくさんついているチャーシューメンを、野菜好きにも食
べて欲しいからと、チャーシューを一枚減らしてもやしを山盛りつけるような
もんじゃないのかな。野菜ラーメンを別立てにすべきじゃないの、普通。それ
と、そういうアイディアを持つことはいいんだけど、言わんとしていることが
伝わる表現を考えてよ」と私はすぐさま言った。意見の評価が他のメンバーか
ら出ないのは、意見の結果を具体的にイメージできないことにも大きな原因が
あると私は思っている。

 翌日、ISMSの審査をする人物が中小零細企業にも情報セキュリティ・マネ
ジメントを売りたいと言うので、中小企業の社員向けのミニレクチャーを試し
に見ることにした。漏洩を防ぐべき情報とは何か。大手の情シス担当者なら簡
単に理解できそうな説明は、多くの中小企業では理解されないだろう。情報漏
洩の原因の七割は悪意なき人為ミスと説明されて、「おおっ」と折角感嘆した
のに、対策の説明が難解では話にならない。

「もっと、インクを水にたらすとジワっと広がるように、一度拡散した情報は
ネット上でも、どこでも取り返しがつかない…とか言うような、分かり易い話
にする必要ありです」。
 私が言うと、「そう言えば」と、彼は以前使ったテキストで見たドベネック
の桶の話をする。遠い中空のどこかを見つめるようにして、話を続けた。
「このドベネックの桶ですが、本当はリービッヒの最小律と言う原理があって、
それを分かりやすく説明するために考えられたものなんです。情報セキュリテ
ィでも側板の短いところから水が漏れ出すイメージで説明できますね」。

「アルゴリズムがどれだけ分かりやすくても、受け手にすぐさま分かるような
出力がきちんとできなければ、良い内容も全然使えないものになってしまうっ
てことなんでしょうね。多分、コンピュータ以前の、そのドベネックとやらの
時代から」。
 還暦近いプロのシステム屋たる彼に私は言い放った。
 
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

本年10月末日発行!
15周年記念号『Congenital Auto-cruisers(先天的自動操縦装置)』の
全体構成が漸く決定しました。

色々と考えをめぐらせているうちに、
全9章にも及ぶかつてない長編になりました。
本文部分の原稿は全部完成いたしました。

人に意志や判断能力はあるのか。
人にとって学習とは何であるのか。
人は努力によって変わり得るのか。

そんなことを“無意識の塊である人間”の観点から検証し、
中小零細企業経営のあり方にも言及してみます。

章立て一覧をご紹介します。
ご期待下さい。

■第1章:忘れがたい書籍(1)
■第2章:忘れがたい書籍(2)
■第3章:構造主義の悦楽
■第4章:受動意識仮説の衝撃
■第5章:仮説の検証
■第6章:催眠技術との出会い
■第7章:催眠領域の拡張
■第8章:組織経営の再構築
■第9章:応用制御作業

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『文藝別冊 総特集 タモリ 』 河出書房新社 編
■『資本主義の終焉と歴史の危機 』 水野和夫 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
 発行しています。
 (http://www.mag2.com/ ) 
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け15年。

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
★全バックナンバーはまぐまぐのサイトで掲示されております。
 http://archive.mag2.com/0000019921/index.html
★弊社代表のコラムが色々満載。
 ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ。
 http://tales.msi-group.org/?cat=2
★講読の登録・解除はこちらのURLでお願いします。
 http://www.msi-group.org/SAF-index.html
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※ ご注意!!
 サーバのエラーなどで読者登録が解除されてしまった方がいらっしゃる様子
です。当メルマガは毎月10日・25日に休まず発行しております。発行状況のご
確認は上述の弊社ブログにて行なってください。
 また、まぐまぐからの連絡によると、2014年8月18日より、gmail宛の送信に
大幅な遅延が発生しています。これはGoogle側のサーバの受信量規制によるも
のとされています。
「届かない」、「再送希望」などの連絡は、まぐまぐの窓口である
「magpost@mag2.com」に、メルマガID(#0000019921)、タイトル
(『経営コラム SOLID AS FAITH』)、購読アドレス、再送希望の旨を記載の
上、メールにてご連絡下さい。
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次号予告:
 第353話 『終着駅の風景』 (10月10日発行) 
 遥か昔に買い集めた飯田経夫の講談社現代新書数冊。そこでは、豊かさが実
現した後の経済の姿が議論されていました。そんな社会の中の夢について考え
てみました。

(完)