『マイティ・ソー ダーク・ワールド』

 月曜日の夜、バルト9で観てきました。封切から一週間少々。2Dの方は一日三回、3Dの方は、それより多い上映回数でした。いつもの通り、2Dを観ました。前作にも増して、ソーが持つハンマー状の「ムジョルニア」がかなり高速で飛び交うので、3Dの方も見せ場たっぷりだったのだと思います。それでも、一週間後ぐらいに、バルト9の上映スケジュールを見ると、またもや、3Dの方が上映回数が激減して居ました。夜9時過ぎからの回ということで、あまり混んでいませんでした。大きなシアターに50少々と言う感じかと思います。私より高齢な客は少なく、概ね若いカップル客などが多かったと思います。

 マイティ・ソーの第二作なのですが、第一作の段階で既に、私は…

「ただ、見るべきポイントはその程度で、(コミックを読んだことのない私に)想定されるコミックの『ソー』の世界観はかなり広く、色々と作り込まれている筈ですが、それを一気に一本にまとめてしまっている無理が、あちこちで「早送り感」を与えてしまい、まるで連続テレビドラマの総集編か何かを見ているようです。映画全体としてみる時、大した魅力がないと言わざるを得ません」。

と書いています。そして、第二作もやはり、この延長線上にあるのです。

 アンソニー・ホプキンスや、ナタリー・ポートマン、レネ・ルッソらの名優らの存在はやはり安心感がありますし、『パシフィック・リム』で長官をやっていた黒人男優も前作と同じ役で、更に存在感を増しています。前作とは異なり、アスガルドなどの宇宙世界が舞台になっている場面が多いので、荘厳なローマ時代とも何ともつかないような中世の王家の物語のような映像に見ごたえがあるのも間違いありません。アスガルドなどの舞台が多いのに全体としては、よりヒューマンドラマの比重が増え、ロキなどは第一作とも『アベンジャーズ』の時とも異なって、愛すべきウィット溢れるキャラになっているように見えます。さらに、前作では戦士然としていた女戦士シフはかなり女性的なイメージになり、ソーに対する恋愛感情をあからさまに滲ませていたりします。

 しかし、私から見てこの映画の決定的な弱点は、内容の盛り沢山感です。私からすると、アスガルドと地球の関係性や、その中でのソーやオーディンの位置づけなどもよくきちんと描けていないうちに、なんと宇宙よりも古くから存在していると言うダーク・エルフなどと言う存在が敵役として登場して、どうも全てが未消化のままに話が進むように思えてならないのです。

 惑星直列が近付くと、なぜダンプが片手で持ちあがり、中空に浮くようになるのかとか、惑星直列が近い時に、「エーテル」とか言うおかしなエネルギー流体を手に入れると何がどうなるのかなど、見ていて分からないことが非常に多いのです。それでも何か大変なことになってしまうから、ソーとジェーンは頑張らざるを得ないのだよと言われても、どうもピンときません。

 大体にして、宇宙より古くから存在する者が今の宇宙に居るのであれば、その者も含めて現宇宙と言うことでしょうから、もともとそいつが宇宙より古くから居ることにならないように思えます。

 凝りに凝った異世界の映像。そして見ごたえある各種のCG映像。さらに派手なアクション。これだけで楽しめる人なら、素晴らしいできの映画と言うことになるかと思います。しかし、どうも私には金のかかった上滑り映画に見えるので、DVDは要りません。ただ、始めてしまったコレクションは、関心や熱意がやや失せた後でも、購入を続けてしまうように、マーベルのこの類に新作が出れば、一応見てしまうものと思います。