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経営コラム SOLID AS FAITH 第327号
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ご愛読ありがとうございます。第327話をお届けします。
国会図書館や東京商工会議所資料センターに通って、長いこと業界団体や業
界紙・誌の資料を掘り出しておりましたが、漸く作業が終わりに近づいてきま
した。来年早々の専門サイトの立上げに向けて、コンテンツの準備を進めてお
ります。最新鋭のスキャニング・マシンの高性能に目を見張ったり、昨今のO
CRソフトの精度の高さに驚いたりと、様々な発見があります。成果物が形に
なって参りましたら、読者の皆様にも報告したいと考えています。
最近、訪問先の会社の幹部の方々から、全く的外れに見える社員の動機付け
対策や社員満足向上策をお聞かせ戴くことが多くなっています。中小零細組織
の見渡せば主だった社員は皆視界に入るような事務所の中で、なぜ一万人組織
の人事労務対策をまねなければならないのか、理解に苦しみます。PR欄には
以前まとめた弊社サイトの『社員満足と動機付け』のページの概要とリンクを
紹介してみました。しなやかで強靭な組織づくりを目指す皆様に是非ご高覧戴
ければと思っております。
今号は、『続・ネガティブ・フィードバック』と題して、9年の時を隔てて、
相互扶助組織の凋落について、第107話『ネガティブ・フィードバック』の内
容を掘り下げてみます。マーケティング領域でもネットワーキングなどと称し
て、相互扶助組織的な結びつきによる利益性の向上を模索する動きはよく耳に
するようになりました。しかし、必ずしもそのような取組みが成功裡に終わら
ないようなケースもよく耳にします。相互扶助組織の失敗ないしは凋落につい
て、一緒に御一考賜れればと思います。本文に対するご意見・ご感想をお待ち
しております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その327:続・ネガティブ・フィードバック
「ああ、そういう感じの仕事をやってくれる人なら、メーリング・リストにい
ると思うから、流せばいいじゃん。一週間ぐらいは時間あるんでしょ。じゃあ、
間違いなく、反応が来るよ。その中の大丈夫そうな人に頼めば取り敢えず解決
じゃないかな」。
以前、私が短い期間、経営企画室に務めていたことのある、当時コンサルテ
ィング会社とは名ばかりのシステム構築会社のOBが、私に向かって言う。そ
の会社のOBには、任意で入るメーリング・リストがある。数千人の参加者が
いて、ROMを決め込みつつ参加している私にも、一日10通ほどメールが届く。
内容は多岐に渡る。コンサートのチケット交換希望もあれば、自社の社員募集
もある。プロジェクトベースのIC募集もあれば、法律相談もある。私がクラ
イアントの中堅企業の社内情報共有システムに関して偶然口にしたら、私の数
少ないその会社の退職者の知人は、メーリング・リストを試してみろと言う。
私は在籍期間が短くて参加者の間で知名度が低いからなぁと逡巡していると、
「ああ、大丈夫。千人超えた辺りから、知らない人だらけだから。けど、あの
会社のOBでまともに仕事をしていて、メーリング・リストに参加する意思は
あるんだから、おかしな人間はいないよ」と知人は付け足す。
私が一ヶ月に出す請求書の数はたかだか10枚程度。仮に日本語が全く分から
ない外国人から見たら、ただ、行って座って見て、ぼぞぼそ話をするだけの商
売。それなのに、紙切れを送りつけられて、皆さんがお金を振り込んで下さる。
その信頼か信用に対して、「おかしな人間ではない程度の人間」を投げ込む気
には到底なれない。メーリング・リストにはメール一本で参加できる。メール
一本を打つ意思があることに感動する客は普通いない。
「やっぱりそれなりに資産のある人たちは、そういうつながりのネットワーク
があるってことなんですね」と、翌日元弟子が私に向かって言う。クライアン
ト企業の研究のためにソリアズ第107話『ネガティブ・フィードバック』を課
題に出していた。
「そう。『下流志向』で言う “相互扶助組織”って奴だよね。お互いに迷惑を
掛け合える関係を、内田さんは強調しているでしょ。困った人から頼られると
断らない覚悟をお互いにしているってことだよね。ただ、疑問に思うのは、人
間って弱いから、頼って断られないと分かると、頼ってばかりになるんじゃな
いかってことでさ。『下流志向』では、その前の章で、学びの努力がはっきり
と必要だと分かるでしょ。じゃなきゃ、リスクをテイクするばかりになるもん
ね。結局、自助努力をしながら、最悪の時だけ相互扶助組織のお世話にならな
きゃ駄目ってことだと思うんだけどさ。お金持ちの人たちは勤勉だから、経済
学で言う“フリー・ライダー”は存在しないって想定なのかもしれないね」と
私は答えた。
鋭い元弟子はぷっと笑って、「元師匠、皮肉うまいですね」とコメントした。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】
中小零細企業の社員満足と動機付けについて
その考え方を詳細に説明した弊社サイトの
「考察(企画の要点): <社員満足と動機付け>」のページ
● 中小零細企業で社員満足が意識される場面
● 顧客満足の原理に見る社員満足のあり方
● 書籍『下流志向』にみる“モノサシ”
● ハーズバーグの二要因説
● 現実の中小零細組織に当て嵌めてみるハーズバーグの二要因説
中小零細企業のよくあるES向上策の失敗から、
その失敗要因をCS向上策の原理を応用して分析!
ESとCSの相似形の構造が明らかになります。
そこから、CSと同様にES向上策を検討してみます。
材料は、いつもの『下流志向』と『ハーズバーグの二要因説』。
実際の運用方法まで、具体的に考えてみる展開です。
活力ある組織づくりに、是非ご高覧下さい。
http://www.msi-group.org/MSI-ES-Facilitation.htm
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
第328話 『閑人の清貧』 =僕たちの将来(1)= (9月25日発行)
自営業の個人事業主なので、定年がある訳ではありませんが、仮に65歳まで
働くとしたら、独立してから漸く折り返し地点に辿り着きました。色々と後半
の働き方に対して戴く意見について二回のシリーズにまとめてみました。
(完)