310 高等教育

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経営コラム SOLID AS FAITH 第310号
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 ご愛読ありがとうございます。第310話をお届けします。

 周年記念特別号も含めて、今年の当コラム合計25本発行分の最終号です。独
立してから事業を続けていられるであろう期間のほぼ真ん中の今年には、色々
な変化がありました。大口クライアント企業の7年続いた案件の喪失以来、ま
だまだ激変の収拾がついたとは言えません。

 一方で、始めて半年のリンクトインを通じては(今尚何かの勘違いである可
能性が十分あるものと思っていますが)、日本の中小零細企業の生き残りにつ
いて話をしに来年来てくれとニューヨークから依頼が舞い込む事態まで発生し
ています。皆様に今号が届くクリスマス当日も、リンクトインで知り合った大
手企業外国人マネージャーと工場見学の予定が入っています。来年一年を使っ
て、有難いお声掛けの背景要因をよく考えて、10年余を経た自分のビジネス・
モデルの検証などを慎重且つ大胆に行なっていきたいと思っています。

 当コラムには永年のファンで居て下さる読者の方々が多いものと認識してお
りますが、いつもの如くクリスマスには全く無関係で恐縮乍ら、大卒者の価値
について考えてみた今号もお楽しみ戴ければ幸いです。今後とも末永くお付き
合い下さいますよう、平にお願い申し上げます。本文に対するご意見・ご感想
をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業
日!!
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その310:高等教育

 グループと呼ばれるリンクトインのコミュニティ。「ビジネス・イン・ジャ
パン」と言う数千人の参加者を擁するグループも含めて、私が参加しているの
は、他のリンクトイン・ユーザーに較べて極端に少ない十数個。グループ内の
ディスカッションと呼ばれるやり取りを週末にじっくり読んでは、ここぞと思
える時だけ英語でコメントを書き込む。コメントを練って、文章表現もかなり
検証する。

「ビジネス・イン・ジャパン」はタイトルに似つかわしくなく、英語で発言す
る日本人がほんの数人単位でしか見当らない。週に十個程度始まる新たなディ
スカッション。そのうちの一つでは、日本の大学で学ぶ留学生が、日本の大学
の講義が生易し過ぎると発言し、意見が重なっていた。

 私の20年前の留学先は超一流ではないものの、当時570点以上のTOEFLを留
学生に課していた程度のレベル。学生達は大学の授業はハードでついていくこ
とが困難だと言い、現実に入学した一年生のうち7割近くが、落ち零れて一年
を待たず大学を去る。一年生のクラスでは因数分解や三角関数を習う。卒業が
見えて来る三年の数学や物理でさえ、日本の当時の高校数学の数?には至るか
至らないかのレベル。「高校・大学両方を合わせたら、日米が同じレベルかも」
と、二年半で専攻を二つ終えつつあった当時の私は言っていた。

「市川君はさぁ。日本の大学出ていないから、基本は成果で評価するウチでも、
最初は苦労すると思うよ。分かっているよね。日本の大学なんて、学部レベル
で習うことなんか殆ど意味がないんだ。その後の人脈作りぐらいしか役に立た
ないから。信用されるような仕事をして、人脈を作れば、早々に日本の大学を
出ていないハンデは解消だね」。
 留学時代の長期休みに帰国してはバイトさせて貰っていたマーケティング・
リサーチの会社の東大出の専務は、私にウチに入る気はあるかと言った後に説
明した。
 
 私のクライアントである中小零細企業のオーナー経営者の典型的なモデル像
は非大卒。モデル通りの経営者が大学新卒者の採用を始めると、「大学を出る
価値は何か」と私に問う。バイト先の専務の言葉はいつも思い出される。その
「価値」について、人脈や社会人との交流経験など言えることは色々とあるの
で、提出用のレポートにまとめてある。

 翌日リンクトインを開くと、インボックスに留学時代の数少ない友人からメ
ッセージが届いている。「グループの日本の大学の話は本当か。日本の大学で
非常勤講師をした留学経験者で、あのグループで英語の発言をするのはおまえ
ぐらいしかいないだろう」とある。

 練ったコメントの成果で、「知的なコメントとユニークなプロフィール」と
評してくれた海外のユーザーも増えている。大学噺はコメントを考えても、仕
事の評価に結びつきにくい。仕方なく「手離れの悪い議論に追随するには英語
力が不足」と友人には返信した。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

今年の後半に時折考えていた「死すべき技術としての経営」。
それをテーマに漸く準備が完了したシリーズ『応急処置』。
来年発行予定の第314話から4本シリーズでお届けします。
第一弾はいきなりミンツバーグの名作中の至言が炸裂です。

人材採用や育成の企画に携わると、
その作業群の究極の目標に、どうしても思い至ります。
経営の本質的な究極の目標は経営の消失とでも言うべき仮説。

じっくり考えてみます。
年の始めの「季節のご挨拶」DMでは一足先に
シリーズ4本プラス1本のソリアズからの抜粋を
コラージュ風にまとめました。
是非ご笑覧下さい。

弊社と直接接点のある方には、1月10日過ぎに郵送にて到着します。
弊社の「季節のご挨拶」DMをご希望の方は以下のアドレスに、
「季節のご挨拶希望」を件名にして御一報下さい。
 bizcom@msi-group.org

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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
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毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け14年。

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次号予告:
 第311話 『バトル・ロワイヤル』 (1月10日発行) 
 所謂「グローバル化」らしきことも一要因として、厳しくなりつつある経営
環境を肌身に感じます。渦中の中小零細企業の為すべきことについて考えてみ
ました。偶然ですが、新年第一号に相応しい内容かと思います。ご期待下さい。

(完)