296 教訓の源泉

=================================
経営コラム SOLID AS FAITH 第296号
=================================
 ご愛読ありがとうございます。第296話をお届けします。

 前回の当コラムの発行直後、クライアント企業の本部部門による、現場での
弊社の請負活動内容を把握していない状況判断で、毎月の収益の半分を失う結
果となりました。現場では本部部門の手詰まり感などは遥か以前から聞かれ、
急激に肥大化した組織全体と本部部門の官僚化などを見て取って、危機意識は
持っていたのですが、やはり、ターゲット・モデルに合致する企業へのサービ
スを基本とすべきと言う当り前の教訓を学ぶこととなりました。逆に言えば、
ターゲット・モデルにあった商売ができている証左とも考えられます。

 幸いにして、ここぞと従前の二倍規模の案件をご用命下さるクライアント企
業様もあり、更には、案件紹介を心にお留め置き下さると何人もの方々から仰
って戴けました。皆様のご支援に心より感謝申し上げます。先述の大口クライ
アント企業との7年近くのお付き合いの中で、自ら獲得したノウハウは非常に
価値の高いものと思っております。PR欄に一部を列記してみました。是非御
高覧下さい。
 
 一方で、新たにこのたびご依頼戴いた案件群には、従前とは異なるアプロー
チや分野知識を大量に要するものがあり、黒字維持の中、全く新たな分野への
挑戦の機会を戴けると言う、本当に寿ぐ価値さえあるような局面と認識してお
ります。大口口座の束縛から離れ、様々な分野の新規クライアント獲得の機会
も広がりました。今回の一件で、様々な方の現在を知ることもでき、何が勃興
し何が衰退しているかの肌感覚も蘇ってきたように思えてなりません。齢50を
目前にして、この年を知命と呼ぶと納得できました。
 
 今回の号は、「鰯の頭も信心から」的に片付けるには深遠過ぎる、経営者の
判断や言動の基準の拠り所について考えてみたものです。遥か以前の中小企業
経営者向けのビジネス誌の編集部員時代、よく考えていたことのあったテーマ
ですので、その当時の場面から話を始めてみました。本文に対するご意見・ご
感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営
業日!!
=================================
その296:教訓の源泉

「六韜を本で読んでみろ。お前の所の雑誌なんぞ定期購読で高い金を払わなく
ても、これだけで経営どころか人生の総てが分かるぞ。お前は六韜を知ってい
るのか。この営業はいい年をして経営に役立つ本とやらを売っているのに、六
韜さえ知らないみたいだぞ」。
 ビジネス誌出版社に就職して修行のために編集部に籍を置いて過ごした一年
後、社長室に移った私は、この会社きっての営業担当者の営業手法を同行して
観察していた。既に見本誌を数ヶ月読んでいるとされる中小零細企業経営者を、
エリア毎に約一週間かけて訪問し、定期購読を獲得する作業。見込みが高いと
彼が再訪問したレンタカー会社経営者は、実は彼に二度と来させないよう、言
葉の礫を用意していた様子だった。

 六韜ってそんなに凄いのかと尋ねる彼に、私は太公望が書いたと言う中国の
兵法書とぐらいにしか知らないと答えた。ウィキどころか検索エンジンさえな
い時代だった。
「俺は、就職してこの方、営業一本槍だけど、戦記物を読むのが大好きで、太
平洋戦争史なんか、読み耽るよなぁ。営業にも活かせる反面教師の事例が凄く
あるぞ。市川はそういうのは好きか」と尋ねる彼に、祖父が北海道旭川から出
立した有名な一木隊にいて戦死したと告げた。「ガタルカナルの大激戦か。
知っているぞ」と彼は無邪気に喜んだ。

 中小零細企業向けの私の商売のあり方を学ぶ「塾」と銘打った連続セミナー
が開催され、参加者の方の一人から、私の商売にモデルはあるのかと尋ねられ
た。業界どころか同業者も見当らないと繰り返してきたので、至極当然な疑問
だが、生憎、自分でもモデルに思い当らない。フィルム屋時代の仕事をお願い
していた零細印刷会社やSPハウスの社長の言動は、間違いなく中小企業診断
士受験時に何度も反芻した。しかし、組織を率いる訳でもない零細個人事業の
参考にはあまりならない。編集員当時、お会いした数多の経営者の言葉も感慨
深いが、直接役に立った記憶は薄い。

「強いて言うなら、刑事コロンボとブラック・ジャックと、代打屋トーゴーで
しょうかねぇ。高校ぐらいまでの間に、何度も何度も読み返して、その行動や
考え方に間違いなく憧れていましたからね。今でも結構ふと自覚することはあ
りますよ。小学生の娘にも読ませていますが、いつか娘が仕事に同行すること
があったら、噴出すかもしれませんね」。
 分かり易い答えを出せない私が、架空の人物でも良いのならと説明すると、
質問者は言葉を失ってしまった。

 書店では、人生で大事なことは、ドラえもんで学んだという本も、ワンピー
スに総て含まれているという本まで見つけたことがある。仕事術を説くマンガ
『エンゼルバンク』には、成功者の著した自己啓発書には、読み方があり、
「へえ」ではなく「そうそう」と言えなければならないとある。質問者にそん
な答えをしようかと考えを巡らせた。
「勉強会でもよく言いますが、『賢者は愚者にも学び、愚者は賢者にも学ばな
い』ってことに尽きるような気がしますよ」。
 思い直して発した定番の答えは、やはり滑らかに出る。
=================================
☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
=================================
【MSIグループからのPR】

チェーン店舗大口契約終了記念
チェーン店舗組織への弊社組織強化企画、ほんの一部紹介!

1 まずは、定番。「新卒社員やアルバイトスタッフを
  早期戦力化するスキル・マップの作成と運用。そして、
  離職率を抑制する交換日記制度はアプリ化まで実現」

2 そして入社後の社員には成長に従って、大学講義でも好評だった
  「就労観教育の徹底で、働くことの意義を教えて、
   動機付けの向上と、キャリア・ビジョンの植え付け」

3 「ポイントカード会員情報などを用いた吸引率分析で、
   商圏の図示化による、集客範囲の合理的な把握」

4 そして、ポイントカード会員情報と言えば、
  「RFM分析による、カテゴリー別メール配信」

5 お客様情報といえば、「零細店舗においては、カルテ作成による
  お客様の嗜好の記録・分析・共有による簡易版ホスピタリティ型接客」

6 店舗の中間管理職には「数字の読み方の基本を教えてから、
  売上や利益など経営数字の把握と理解、対策実施までの流れを研修」

7 店長クラスには、「義務教育的実践型経営論を各種用意して、
  マーケティングや人材育成に関して課題認識の基準を醸成」

8 店舗のバックヤードでは「付加価値無き多くの作業時間を
  製造業のカイゼン知識の基礎を動員して大幅削減。
  浮いた時間を店舗現場での接客に再投資」

9 店舗の売場では「陳列とPOP、客動線など、
  パート、アルバイトでも分かるVMDの超基礎をカリキュラム化」

などなど、経営に馴染み無いスタッフにも分かり易く、実践に即した内容で。
効果実証済み。他にもテーマ多数。
ご関心を賜りましたらメールにてご一報ください。
 bizcom@msi-group.org

=================================
発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
 発行しています。
 (http://www.mag2.com/ ) 
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け13年。

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
★全バックナンバーはまぐまぐのサイトで掲示されております。
 http://archive.mag2.com/0000019921/index.html
★弊社代表のコラムが色々満載。
 ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ。
 http://tales.msi-group.org/?cat=2
★講読の登録・解除はこちらのURLでお願いします。
 http://www.msi-group.org/SAF-index.html
=================================
※ ご注意!!
 サーバのエラーなどで読者登録が解除されてしまった方がいらっしゃる様子
です。当メルマガは毎月10日・25日に休まず発行しております。届かない場合
には、上述の弊社ブログにて発行状況をご確認の上、再び上述の弊社サイト専
用ページにて再登録をして下さい。
=================================
次号予告:
 第297話 『近接戦』 =お友達未満(1)= (6月10日発行) 
 300話記念特別号開始直前。前哨戦シリーズ『お友達未満』の開始です。商
売上の人脈のあり方について考えてみました。ご期待下さい。

(完)