290 蓼食う虫

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経営コラム SOLID AS FAITH 第290号
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 ご愛読ありがとうございます。第290話をお届けします。

 早いもので、今年が始まってからもうすぐ二ヶ月が過ぎようとしています。
税務署に出す申告書類を作る過程で、昨年の売上構成や経費構造が分かり、遅
れ馳せながら、そのデータを参考に「一年の計」ならぬ、「残り6分の5年の
計」を考えたりします。

 敏感な方は既に花粉の飛散を感じていると言います。私は今のところそれほ
ど感じていませんが、時間の問題であろうと思われます。花粉の飛散が本格的
になる頃、弊社の事業ノウハウをお教えする連続セミナー『超実践塾』第三期
が開始されます。弊社ではコンテンツ企画と講義を担当します。PR欄で案内
しておりますので、是非ご高覧下さい。
 
 今回の号で、300話記念号発行まで10話を残すのみとなりました。計算して
みると7月下旬の発行です。5話シリーズの本文部分の原稿も完成し、全体の
企画を練っております。改めてテーマや企画内容について報告致します。5話
シリーズが終わると追っかけ13周年記念特別号です。今年の夏から秋は原稿書
きが忙しくなりそうです。
 
 第290話は、第287話『囚人の常識』に続き、橘玲氏の近著『残酷な世界で生
き延びるたったひとつの方法』の内容に照らしつつ、最近よくある言説「スキ
を仕事にする」について考えてみます。札幌近郊の私大で6年間に渡り行なっ
た「就労観教育」の講義でも、一貫して「スキを仕事にする」とあまり良い結
果にならないと説明してきました。マイクロマーケット追求の可能性について
一緒にご一考戴けましたら幸いです。本文に対するご意見・ご感想をお待ちし
ております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その290:蓼食う虫

「その道のプロがガイドしてくれる」と言うようなコンセプトのサイト運営会
社から時折その「プロ」の一員に加わらないかと案内のメールが届けられる。
資料を送る許諾を求めているのだと書いてある。自分では自分が何のプロであ
るのか全く分からない。その運営会社が私を何のプロだと思っているのかには
多少の関心が湧く。

 メールによると、お得なキャンペーン時の加入であっても、こちらが金を支
払って、誰とも分からない人々の疑問に答える構図であることが分かる。私は
特にこの仕事が好きではない。好きでもないのにやっているのだから、お金を
貰うのでなければ、やる気にはならない。ただ働きどころか支払ってまで、好
きでもないことをすることはない。そんなこんなは、ブログにもサイトにも
散々書き残してある。私のサイトを見てメールしたと言うこの運営会社は、私
を何のプロだと思い、払う以上に儲かるための如何なる方法を用意しているの
か。それが明示されたら、返信をしようとメールは毎度丹念に読んでいる。

 橘玲氏の新作、『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』を何度も読
み返している。彼の著書、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』に廻り遭
わなかったら、今の商売のあり方に辿り着かなかったろうと確信できる。『得
する生活』も、『不道徳教育』も何度も読み返しては反芻した。レバタリアニ
ズムにまで関心が湧いて入門書を数冊読んだ。
 
 何度読み返しても、疑問が消えないこの新作で著者は、所謂「才能」は概ね
努力によって補えないと延々説明し、才能なき者の生き方を示すことに後半を
費やしている。所謂マックジョブでは生きて行けない。好きなことを仕事にし
なくてはいけないと言う。そして、好きなことで生活するためには、帯にある
明言「伽藍を捨ててバザールに向かえ!」、「恐竜の尻尾のなかに頭を探せ!」
に従えと教える。既成の序列に従う組織を捨て、自由な市場に出る。そこで、
好きなことを掘り下げて、ロングテールの中に無数に存在する有力マイクロマ
ーケットで生きていくべきとの教えと私は理解した。
 
 クライアントの社長が連れて行ってくれる、優れた和食店の腕の立つ料理人
が、「魚は嫌いだし、和食は全般に好きになれない」などと言っている。公私
合わせて、私の周囲を見渡すと、好きと意識できないことを生業にしている自
営業者は多数見つかる。むしろ、そのような人々の方が圧倒的多数派かもしれ
ない。
 
 例えば、私が今の仕事が大好きで、この仕事のことを例のサイトで書き続け
れば、私の生活は一定レベル以上の収益に支えられるようになるのか。そんな
ことを考えながら、コンビニに食べ物を買いに寄ると、書棚には「スキを仕事
にする」と題したムック本があった。花屋、絵描き、など色々な職業が中に並
ぶ。これらの人も、もしかすると、矮小なマーケット・セグメントについて薀
蓄を語れるようになろうと日々精進するのだろう。
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次号予告:
 第291話 『懊悩の翌日』 (3月10日発行) 
 個人事業主の日常の中で、ふと先日読んだ書籍にあったアウトソースのよく
ある失敗要因に思い至りました。「ああ、これか」と膝を叩く思いでした。ご
期待下さい。

(完)