279 PU(永遠の失業者)

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経営コラム SOLID AS FAITH 第279号
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ご愛読ありがとうございます。第279話をお届けします。

 この号をタイマーセットしている週末、一週間経ってもなかなか日本周辺を
去らない大型台風が、各地で河川の氾濫などを引き起こし、死者さえ数える事
態になっています。夏が始まるまでは地震で広い地域が被害を受け、夏の終わ
りには台風で広域に被害が広がっています。ニュースを見ていると今年は天災
の当たり年のようにさえ見えます。色々な気遣いをしながら毎日を送りたいと
思っております。皆様は如何お過ごしでしょうか。

 今回の号は、「永遠の旅行者」を捩って、「永遠の失業者」と題して、自分
のような個人事業主や非正規社員の生き方を考えてみたものです。少なくとも
私の場合は就職活動をしている訳ではないので、「無業者」が厳密には正しい
表現かもしれませんが、安定的な仕事のある状態を求めている意味で「失業者」
と表現することにしました。
 
 非正規社員は弱い立場と誰もが言い、震災がなければ派遣法も見直しが決ま
る勢いでした。弱い立場の人間には何ができるのかを考える過程で話の骨子が
出来上がりました。一緒にお考え戴ければ幸いです。本文に対するご意見・ご
感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営
業日!!
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その279:PU(永遠の失業者)

 原発事故の対応作業に赴く人々の多くが、電力工事の作業経験者でさえない
ことが、電力会社の数々の努力があったであろうにも関わらず、雑誌などの媒
体で何度も報道されるようになった。人手が足りない時は放射線管理教育もせ
ずに強い放射線が発生しているエリアに労働者を入れて被曝させたなどとされ
ている。「原発ジプシー」や「原発奴隷」と言う言葉を知ったのは二十年近く
前に上京するよりも前。

 ホームレスの人々をも路上や公園でリクルートしているとの噂を聞いて、上
京後、新宿中央公園に行って見ると、確かに原発労働に与しないよう訴えるチ
ラシを見つけることができた。再び命を売り渡す結果になるという人々とその
リクルーターの姿が見られるかと、震災による原発事故の報道を見てからは、
時折、新宿中央公園に足を運んでいる。

 半年ぶりに訪れたクライアント企業の広い事務所には、見慣れない顔が多々
あった。部屋の片隅にあるパーティションで仕切られた応接に通され、部長と
打ち合わせをする。事前に聞いていた課題の概要に対して、用意した資料を見
せながら説明をする。部長はウンウンと頷いて、「いいでしょう。うちの会社
の状況にあっていると思いますよ。社長からも前回同様に市川さんに任せて良
いと言われているので、この線で始めて下さい」と言った。

 終了後の歓談。大分、面子が変わりましたねと私が言うと、ああ、殆ど派遣
でしたからねと部長は応じる。派遣社員の予定期間がまとめて終わったのかと
訝っていると、「当たりハズレが大きいですし、ハズレが多過ぎるぐらいです
からね」と、部長が言い足した。

 事務作業自体は難しいものではない。それほどの経験も知識も必要ない。そ
れでも去って欲しくなる派遣社員は、気が利かず、勤務時間に平気で私用を足
す。時間になるとさっさと帰るし、ミスも多い。派遣社員本人のみならず、派
遣会社の営業担当者の能力が低く、派遣会社ごと変えると、複数の派遣社員が
一気に職場を去ることもあると言う。尋ねると、去った派遣社員の特徴や取引
停止にされた派遣会社の対応が、色々と紹介される。

 あまり時間を割かせてしまってもと思い、私は歓談を締め括る。
「去らねばならない派遣社員の話は、ためになりますね。他山の石って言うの
はこういうことでしょうかね。世の中では結構誤解されていて、派遣社員や請
負労働者はハズレが多い人々と言うこと風に思われがちですよね。けれども、
現実には、立場が弱いほど、能力が高くないと、簡単に仕事がなくなりますか
ら、その立場を維持できなくなります。請負業者の私も、一寸先闇の“永遠の
失業者”ぐらいに思って気を引き締めなきゃと、この前も派遣村を見に行って
思ったばかりだったんです」。
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次号予告:
 第280話 『22年間の18時』 (9月25日発行) 
 深夜のタクシーで横浜から新宿に戻る道すがら、運転手さんから聞いた仕事
の極意をまとめてみました。ご期待下さい。

(完)