277 “先生”の先生

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経営コラム SOLID AS FAITH 第277号
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ご愛読ありがとうございます。第277話をお届けします。

 暑い日が続くようになって、(ご存知の方も多いと思いますが、暑いのが好
きな私は)楽しく過ごしております。クライアント企業の店舗の商圏調査のた
めに、柏市と大田区の一部地域に赴いては、来街者や店舗を監察して回ってい
ます。眩しい日差しの中の街を逍遥するのは、今の仕事の中で最も好きな部分
作業かもしれません。

 クライアント企業では、人材育成や人材採用関係の企画案件を頂戴すること
が増えていますが、もともとがマーケティング屋なので、人々の購買行動を観
察したりする作業とその延長の対策案出の仕事も、たまに手掛けておかないと
勘が鈍ります。
 
 今回は、『先生の先生』と題して、資格の評価について考えてみました。資
格取得者は、何によって食べて行けるようになるのかについてご一緒にお考え
戴ければ幸いです。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴
したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その277:“先生”の先生

「う?んとさぁ。MSIグループのサイトの『社長の言うことを聞かない幹部
作り』ってページを見たかなぁ。そこにミンツバーグの組織の統制方法が三つ
書かれているんだけど、その三つを読んでみてよ。統制方法ってのは、詰まる
ところ、評価方法ってことじゃん。じゃあ、その産業ナンチャラってのは、ク
ライアントからどう評価されるのかって、考えてみたら、俺の論点が分かって
貰えると思うけどねぇ」。
 面倒臭げに私は、有難くも私を師匠と仰ぐ若手人事・組織コンサルタントに
告げた。彼は産業カウンセラーの資格を取得したいと言う。転職に有利と聞い
て転職毎に職種も業種もぐちゃぐちゃに変わってきた私の経歴をまとめて見せ
るには便利かと思って取得した私の中小企業診断士の資格を、彼は仕事の受注
に有効である筈だと主張する。

 ミンツバーグの組織統制の類型は手段別で、「作業プロセスによるもの」、
「アウトプットによるもの」、「スキルによるもの」の三つ。他にも二つある
が組織統制と言う括りではこの三つが、大学時代の教科書で対比されつつ説明
されている。作業プロセスまでがんじがらめにして管理するのが最も委譲権限
が少なく細かな管理。プロセスは問わないが結果で管理するのがその次。プロ
セスも結果も問わないが、しかるべき基準以上のスキルを持って事に当たるこ
とだけが保証される「スキルによるもの」は、三者で最も緩い統制形態。

「問題は、その“スキル”だよね。ミンツバーグが言っている事例は、医者と
か看護師とかそう言う知識と実技術を伴うスキルだから。産業カウンセラーは
クライアントから見て、統制基準に足るような明確なスキルの保証なのかな。
それが保証に心許ないってことなら、結果的に一段低いアウトプットで評価さ
れることになりかねないよね。医者でも今時、アウトプットどころか作業プロ
セスを巡って訴訟が起きたりするんだからさ」。
 私のサイトを読んだという彼に、私は続きの説明をする。

 人材紹介業を営む傍ら、公的機関のサービスを含め無料のキャリア・カウン
セリングが乱立する中、日本中でも数例しかない筈の、個人負担の転職支援サ
ービスの事業を成功させた人物に、遥か以前、転職プロセスの支援方法を指導
してもらった。彼の事務所には今も年に一二度足を運び雑談をする。件の若手
コンサルタントの話をすると、彼は笑いながらお茶を入れて、応接のテーブル
に着いた。

「良いんじゃないかな、資格取得で商売ができると考えている人々。有難いこ
とだよね。説教なんかしないで、これからもそう言う人々の面倒をきちんと見
てあげたらいいよ。僕もね、この前資格を取ったままで困っているキャリア・
カウンセラーの団体で実技指導をして来たよ。そういう人々がまだまだたくさ
んいるから、現実を知っている人間は食っていけるんだよ。市川さんもシュー
ル・レアリズムとか言うぐらいの超現実派でしょ。資格なんかあっても全然使
っていないでしょ。じゃあ、こっち側の人間なんだからさ」。
 言い放った彼の表情は心底楽しげに見えた。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

10月・11月、両月初旬に、岡崎市にて、
店舗経営者の勉強会の一部として、
一回二時間ほどのお話をすることとなりました。

売れる店作りは、
当コラム 11周年記念特別号『不忠の咎』でも、
念入りに扱ってみました。
その関係か店舗の集客や販促の案件を
幾つか戴けるようになりました。

店舗の経営改善に特化した何らかのノウハウが
ある訳ではありませんが、
マーケティング力強化の観点から、
経営改善の企画を致します。
ご関心を賜れましたら、以下のページをご覧下さい。

弊社サイト関連ページ:
http://www.msi-group.org/MSI-StoreConcept.htm

当メルマガ 11周年記念特別号『不忠の咎』
http://tales.msi-group.org/?p=411

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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第278話 『漲る意欲』 (8月25日発行) 
 社員の意欲と能力のどちらを高く評価すべきかについて、クライアントの社
長と意見を交わした経緯をまとめてみました。ご期待下さい。

(完)