272 高ルクス耐性

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経営コラム SOLID AS FAITH 第272号
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ご愛読ありがとうございます。第272話をお届けします。

 余震の収束と共に震災の影響が多くの地域で限られたものになってきたとこ
ろで、夏が近づいて来ました。国のエネルギー政策か東電の人災に起因する節
電騒動が、暑い夏の到来と共に再燃するのかと危惧されています。暑い夏が大
好きな弊社代表は、控えめな冷房を寧ろ歓迎モードです。弊社では、今回の震
災で一気に関心を集めたBCPに関して、その普及活動の企画の仕事を先日頂
戴しました。

 今回の号が皆様のお手許に届く当日に、今まで数回のPR欄で報告して参り
ました「超実践塾」が開始されます。ご関心を賜りました方々、ご参加を申し
込み戴いた方々に御礼申し上げます。
 
 今回の272話は、見えやすい経営について考えてみました。本文に対するご
意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納
期は5営業日!!
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その272:高ルクス耐性

 写真が全く趣味でもないのに、写真用フィルムメーカーのマーケティング担
当になって、写真の基礎を学ぶうちに、軟調と言う言葉を知ったのは、もう十
五年以上前。カラーのネガのフィルムのISO感度は2の階乗掛ける100だと
ばかり思っていたら、160と言う中途半端な感度のフィルムがある。調べると
明るいスタジオなどで、人物のアップを撮影するための製品と分かる。他社製
品も総て、軟調が特徴と書かれていて、同じ意味の筈の「滑らかな階調」が肌
を美しく描くともある。

「結局、人間の顔は、普通は汚いもんでさ、シミだの痣だの髭の剃り跡とか、
色の違いをはっきり出さないようにするのが、肌を美しく見せるってことなん
だよ」。
 滑らかな色彩の階調がなぜ肌を美しく見せるのかと考えていたら、技術部長
が容喙する。写真の目的は事実を記録することばかりではない。当たり前のこ
とに気付かされた。
 
 先日、知人が経営しているゲームセンターに行くと、店長が明るく迎えてく
れて、結構広く、入り組んだ構造の店内を案内しましょうと言う。リニューア
ル後の店舗は以前と印象が大きく違うと思っていたら、店内の照度を上げたの
がその理由と店長が説明する。明るくなって犯罪や迷惑行為が激減し、客層の
幅も広がったと言う。店内が広く感じるようになったのも大きな改善点と言う。
 
 なるほどと頷きながら設備を見て回る。インターネット・コーナーで立ち止
まり、高速回線の凄さの説明に耳を傾けつつ、手にしたマウスに視線を落とす
と、灰色のマウスの底面に近い部分にこびり付いた汚れが見える。指先で強く
擦るとやや粘々する。異常に気付いた店長が私に歩み寄ると、彼の靴先が微か
に床面に引っ掛かった。見れば、床材に亀裂が入っていて、その付近が褪色し
ているのが見て取れる。店長の説明を聞き終わって、事務所に案内されると、
待っていた知人はにこやかに言った。
「照度を上げて、レイアウトも調整したら、見通しがいいだろ。客数も少し増
えたんだ」。

 有名な『隠すな!』を著したばかりの、株式会社ミスミの創業経営者田口弘
氏の取材に同行し、著書の内容をナマで説明して戴いたことがある。人材紹介
をしていた頃、クライアントのXML専門の開発会社では、総てのコストの明
細を社員がいつでも見られるようになっていた。見える化。情報開示。こうし
た経営を賞賛する声は多い。

 世の中全部が持ち主の可能性がある上場企業でもない限り、私はクライアン
トの見通しを良くする志向には、対象がコストであれ、店舗であれ、あまり賛
成しない。見えるようにするには、見えて発生する総ての不都合に向き合う覚
悟が必要だと知っている。件のゲームセンター経営者の知人に、私はマウスと
床材の話をしてからこう言った。
「批判は色々あるみたいなんだけど、割れ窓理論とか勉強すると、危機感が湧
いて、やる気が出るんじゃないかな。ゼロ・トレランスは覚悟が要るからね」。
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弊社代表が中小企業経営について語る画像を三本、
花粉症で腫れた顔を YouTube にもアップしました。

●「中小企業の経営について
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●「オーナー社長の心理」
 http://www.youtube.com/watch?v=tV9fLletZ-g
●「デキる幹部について」
 http://www.youtube.com/watch?v=lxWj62YuWTY

本件についての弊社へのお問い合わせは、
こちらのメールアドレスまで、お願いします。
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次号予告:
 第273話 『桿体』 (6月10日発行) 
 商売繁盛の方法論のプロと名乗る人は多く、その教える所も様々です。しか
し、新たなテクノロジーを採用するでもなく、当然至極の商売のあり方を追及
することだけで大抵の事業は改善します。その可能性の気付きについてまとめ
てみました。

(完)