006 売るべきもの

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経営コラム SOLID AS FAITH 第6号
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第6号をお届けします。

遅れ馳せながら、新年明けましておめでとうございます。本年も、月2回、全24話
休み無く発行する所存ですので、ご愛顧のほどよろしくお願いします。

それでは、ハッピーマンデー発行の第6話をお楽しみください。ご意見・ご感想は、
どうぞ遠慮無くお寄せください。
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その6:売るべきもの

札幌に来て、頻繁に見かけるのが「談笑する店員」だ。来店客でもある地元の友
人と立ち話をしている店員だ。全国展開をしている飲食関係のフランチャイズによく
見かける。福岡に来ても、そこここで見かける。地方展開の居酒屋などでも、深夜
になると群れをなして立ち話をしている。

他の客が呼び止めると、すぐ飛んでくる。挨拶もちゃんとする。マニュアル通り、
客に尋ねることは尋ね、包装もきちんとし、釣り銭も間違えず、一連の接客プロセス
を終えると、また友人の元へ戻る。

マーケティングの権威であるレビット教授はその著書でこう書いている。「昨年
4分の1インチのドリルが100万個売れたが、これは、人々が4分の1インチのドリ
ルを欲したからではなく、4分の1インチの穴を欲したからである」

手渡す商品は、金を支払う対象物を入れる「容器」にすぎない。「容器」だけな
ら、今時、500mも歩かずに同じものを他の場所で見つけることができる。「容器」
には、レビット教授の言う商品使用の結果を始め、色々なものが込められている。
商品の手渡しかた、手渡す環境、手渡された記憶、そんな在庫にはできない物
ばかりだろう。某ハンバーガー店の「スマイル」は無料ではなく、有料だが別売り
できないだけだと思う。

「談笑する店員」のいる店のマニュアルには何と書いてあるのか知らない。そこの
店が本来売るべきものをどのように定義しているかも知らない。その店のマニュア
ルが、ウォークマンをしたり、小型テレビを見ながら、顧客を面前にたたずむことを
許すとも考えにくい。それは、お客に売るべき商品を損なうからだ。同様に、「談
笑する店員」も商品を損なっている。

「当社の店員は客の方を向いていない。だから、その分他店より1割安い!」
こんなコピーを店頭に掲げて安値を追求する店があったら、私は是非そこを訪れて
みたい。後学にはなるだろうが、客にはなることは多分無い。

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発行 MSIグループ(担当:市川)
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