『トイ・ストーリー3』番外編@狸小路@札幌

いつもよりも一日多く家にいられるようにした、お盆休み相当の週末に娘を連れて、狸小路の古い映画館に見に行ってきました。この映画館は、まだ皆が驚くほどに幼い頃の娘に初めて映画(エディ・マーフィ主演の『ホーンテッドマンション』)を見せた場所です。5?6年の間に、映画館はそれなりに改装されていましたが、シネプレックスやミニシアター全盛の中で、古い佇まいが残っていました。

知らないで行きましたが、狸小路は「狸祭」と言う七夕を兼ねたようなイベントの真っ最中で、巨大な狸のバルーンがモールの(まるで、エヴァのシャムシエルの如く)天井を覆いつくすように浮かんでいたりして、それなりの人通りでした。

シリーズ初の3D映画です。実は『アバター』も見ていない私には、初めての最近の方式の3D映画です。入口で3D用のでかい眼鏡を借り受け、娘と二人で通常の眼鏡の上に覆い被せるようにして装着しました。結構重たさが気になり、落ちないように、座席に浅く寝そべるように座って顔の角度を調整しました。3Dは確かに飛び出すように見えて凄く、上映開始前のディズニーのトレードマーク的映像やプロダクションのマークなどでは、花火の火花や爆発の破片がこちらに向かってぶつかってくるようで、「おおっ」と言う感じでした。

実際に映画が始まると、確かに、バズやウッディが画面手前でアップになって、子供部屋の背景に奥行きを感じるぐらいの3D効果を感じます。しかし、3Dの効果を本編中で最も感じたのは、(子供と一緒なので吹き替え版を見ましたが、それでも)時々登場する字幕の文字です。文字がやたら手前にはっきりと見えるのが、非常に気になり、一人300円も払う効果の主たるものがこれでは、あまり納得の行かない演出ではあります。

ポスターには「映画史に残る感動のエンディング…」のような台詞が書かれています。映画史に残るかどうかは、かなり怪しいレベルですが、第一作・第二作で主人公たちの持ち主であり、おもちゃで遊ぶ楽しさを常に表現し続けてきた少年アンディが、大学生になって、主人公たちに別れを告げるシーンが、シリーズ中最大の感動シーンと言えば、多分そうであろうとは思います。私や妻が持っていた縫いぐるみや人形等を、今は小学生の娘が所狭しと並べたり、遊んだりしているのを見て、時の流れを感じたりすることがあるのは間違いなく、それなりに共感できる大学生アンディの、喪失感や別離を踏み越える旅立ち風景ではありました。

第一作・第二作ともに、おもちゃの冒険アドベンチャーと言う色彩が強く、その意味で叙情的な要素の多い第三作ですが、そちらの方への比重をもう少々移しても良かったように思います。「地獄のような」と形容される乳幼児の保育部屋からの脱出劇や、そこでおもちゃたちを牛耳るふわふわの熊のぬいぐるみたちとの対立劇は、1時間半少々映画には少々長すぎ、アンディや彼の妹、そして、主人公たちを貰い受ける近所の(おもちゃを大事にする)少女の描写が今ひとつです。

さらに、3Dになった結果、余計に、おもちゃの主人公たちの活き活きとした姿や悩みと喜びが、より鮮やかに描かれるようになって、数々登場する人間の方が、まるで人形のように無表情に見えます。

『借りぐらしのアリエッティ』と本作みて、これから『劇場版怪談レストラン』を見る予定で、合計三本の夏休み映画を、北海道の短い夏休みの間に制覇しようとしている娘の評価は、二本目の本作より、『借りぐらしの…』に軍配が上がるようです。映画好きの娘は結果的にDVDを入手しようとする可能性が高いように思います。個人的にはDVD購入と言うほどの魅力はありませんが、第一作・第二作ともに既に家にあるので、いつか家にDVDが持ち込まれる日は遠くないものと思います。