『アイアンマン2』

封切後5週目ほど。バルト9の12時丁度に終わる回で見てきました。面白かったです。
鉄男の続編(私は第二作を見ていませんが)が不発だったので、鉄男を英訳したタイトルの続編は如何なものかと出かけました。直前に見た、『リアル鬼ごっこ2』同様、世の中の一般論とは異なって、第二作が第一作を上回った出来に感じられました。

第一作目に比べて、主人公を含めた登場人物達のキャラが深掘りされているように感じます。特に主人公の社長は、アイアンマンとなって合衆国を守り、(核)戦争を抑止している立場になって、どうにもならないほどのはしゃぎ様ですが、第一作で方向づけられている延長線上に、見事に人物像を描いているように感じます。

このはしゃぐヒーロー像は、アメコミ系のヒーローではかなり特異です。自分の誕生日に集まった人々の前で、破壊光線(だと思います)を使ってスイカ割りをするヒーローはなかなか見つかりません。アイアンマン柄の派手なビキニを身に付けたダンサー達に囲まれたステージ上に飛来して、演説をぶつヒーローもなかなかいません。お気楽さとはしゃぎ度合いで、敢えて似ているとすれば、ファンタスティック4のヒューマン・トーチぐらいではないかと思います。

新悪役キャラのミッキー・ロークも、結構好感が持てます。この役作りのためにシベリアの収容所を見に行ったとか言う話をどこかで読みました。役のなり切り度は今一つ分かりませんが、少なくとも、彼の個性が活かされた濃いキャラをきっちりやってくれています。『ナインハーフ』と『エンゼル・ハート』の彼の方が、私にとっては印象が強いですが、取り急ぎ、『レスラー』での復帰以降の彼の代表作になり得るんじゃないかと思います。

『アイランド』でも、『ロスト・イン・トランスレーション』でも、『ブラック・ダリア』でも、『マッチポイント』でも、やる役やる役、すべて精彩を欠くように感じられるスカーレット・ヨハンソンも、その期待を全く裏切らない演技ではあるものの、(当然スタントが入っているのは、エンド・クレジットで確認済みであるものの)アクションシーンで見せ場が多々あります。

その中でも、前作同様、私の注目は、グウィネス・パルトロウです。今回は主人公とのキスシーンまであって、(会社社長になるものの)「職場の可愛らしい女性」モード全開です。言葉の端々、表情の端々に表現される含羞が前作以上に魅力的です。

珍しくかわいらしいグウィネス・パルトロウと珍しく強力なスカーレット・ヨハンソンの魅力以外に、パーティーでスイカ割りをするヒーロー像、人型ロボットのスピード感ある空中戦、派手な戦闘シーン、ハチャメチャなセレブの生活、これらがいろいろとごちゃ混ぜになって、最後には北欧神話のヒーローだった(とおぼろげに記憶する)ソーの存在まで混ぜ込んだ、独特の世界観をきちんと紡いだ好感が持てる作品です。DVDは、まあ、買いでしょう。