244 狭い網

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経営コラム SOLID AS FAITH 第244号
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ご愛読ありがとうございます。第244話をお届けします。

 花粉が少々収まってきて、外に出る気の重さが減ってきたので、懐かしい世
田谷区の商店街の桜を(毎年恒例なので)見に行こうかと思っております。以
前住んでいた地域の商店街の変化を見る定点観測が楽しみです。

 今回の号は、今では超零細事業者でも当り前のように言う、自社サイトの立
上げと活用について考えてみました。自社サイトに対する過剰な期待。そして、
自社の強みやターゲット顧客を全く意識していない自己満足的な内容。そんな
自社サイトの立上げと運用は、弊社のクライアント企業の間でもよく耳にしま
す。自社サイトは何を目的としてどのように使うのか。これらが明確ではない
ままであるなら、膨大な時間やコストをかけて自社サイトを立ち上げることを
しないと言う選択肢も十分あり得るでしょう。本文に対するご意見・ご感想を
お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その244:狭い網

 鍼灸治療院の二階の部屋で、難病治療の鍼灸サービスの新規事業立上げの打
ち合わせ。その筋では有名と言う先生を横に、実務に強そうな担当者が、今ウ
ェブも準備中ですと説明する。
「まずは既存治療院の来院者の口コミをきちんとした方が良いんじゃないでし
ょうかね。先生に対して信頼感を持っていないと、このサービスは一見如何わ
しい商売に見えなくもないので。で、チラシとかのツールは必要になるでしょ
うから、それを先ず十分に用意して、その素材や資料を全部アップして、充実
したウェブサイトを後から一気に作ったら良いんじゃないでしょうか」と私が
言うと、ウェブは既に数ページアップしたと言う。それらのページを実務担当
者自らが時間をかけて作ったのが見て取れる。
 
 帰り道、知人の釣具店店主と会うと、ここでもサイトを充実させていると言
い、ブログの充実は手間がかかるが楽しいと聞かされる。他クライアント同様、
この店の商売にも個人的趣味関心の範疇では興味が持てない。自分の商売でも
メルマガ発行やブログ更新がそれほど楽しいと感じたことがない。趣味と実益
を兼ねると、大抵実益が薄くなるのではないかと訝った。
 
「これは、現代が車社会といわれながら、自転車と徒歩、バスだけで何不自由
なく生活している人が大勢いるのと同じ現象である。車社会だからといって、
すべての人が自動車を使って生活する訳ではないし、すべてのお店がドライブ
スルーを設けなければ、つぶれてしまうわけでもない」。
 出版社の思惑通り、タイトルに惹かれて買った『マジで儲かる5秒前!』の
一文に、電車に揺られながら行き当たる。著者の主藤孝司氏は、著書のサブタ
イトルの通り、ウェブによる販促の常識を超えて「知らないあなたが大損して
いるタウンページ戦略法」の可能性を説く。指摘されるまでもなく、人件費ま
で含めると、零細事業にとって役に立つウェブは安くない。見上げると、斜め
上のビジネス誌の中吊り広告に、「消費の多様化」の文字がたなびく。自家用
車を持たない生活を数十年続けた私は、電車の中で大きく頷いた。

 翌日は既存取引の拡大を目指す営業活動の勉強会。陳腐な自社サイトが恥ず
かしいと参加者が嘆く。もっと営業に役に立つものにするべきだとの意見が他
の参加者の同意を得る。既存取引先は殆どが古くからの零細法人。パソコンの
数もITリテラシーも期待できない顧客群。それほどホームページが重要と言
うのならと皆を遮って、参加者全員に、自社商品について読みたい情報の聞き
取りと、ブラウザでの自社URLの「ブックマーク」登録の声掛けを、顧客企
業で一ヶ月間実施するよう提案してみた。

 限られた経営資源の投資先の議論はご破算で休憩となった。多様化する消費
に対して、多様化する対策も当然と、遅れ馳せながら気がつけてよかった。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

不況期の売上減…。
対策はやはり、既存顧客の顧客接点管理にあるようです。

弊社クライアント企業でも、
既存顧客との接点の改善、
さらに新規引き合いとの接点のあり方の見直しなどを含む、
営業や販売のプロセス管理・改善の視点が、
結果的に収益増のカギになっているケースが目立ちます。

同業界を見渡せば、
不況でも収益を伸ばしている企業が見つかったりします。
減収減益の本当の要因は不況にない場合は意外と多いように思います。
新規顧客開拓や、ましてや新規事業立上げはコスト高です。
今一度、自社の既存事業に磨きをかけては如何でしょうか。

弊社サイト関連ページのご紹介

「お客様との関係を構築する各種手法の実践企画」
 http://www.msi-group.org/MSI-CRMish.htm
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
 発行しています。
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次号予告:
 第245話 『相対的巧手』 =思考の羽化(1)= (4月10日発行) 
 天才棋士羽生善治の思考方法を最新科学で裏付けしつつ説明する本、『先を
読む頭脳』を読んで考えたことを四回のシリーズ『思考の羽化』としてまとめ
ました。第一回目は慣れた策の中にある使わない方が良い手についてまとめて
見たものです。ご期待下さい。

(完)