『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』

バルト9の午前中の回を、とあるきっかけから観ることになりました。予告などでは何回か観ていて、全く予告からの想像を裏切らない映画でした。

ギリシャ神話の神々と人間とのハーフを「デミゴッド」と言うらしいのですが、主人公パーシー・ジャクソンはギリシャ神話の神々でも三大神の一人であるポセイドンの子供であるという設定です。三大神の一人ゼウスの最強の武器である「稲妻」が盗まれ、主人公にその盗みの疑いがかけられ、それを晴らすために主人公が数々の冒険を経るというお話です。

ギリシャ神話の世界の神々やら怪獣が登場するのに、舞台はアメリカ合衆国と言う、おかしな取り合わせの話であるのはもともと予告を見た段階から分っているので、その分を差し引くと、まあまあ楽しめる映画ではあります。ストーリー展開の中にも、アメリカ名所巡りかと思われるような、冥界への入口に至るまでのアメリカ横断の旅まであり、ナッシュビルやラス・ベガス、ハリウッドまでが登場します。

映画のイメージは、舞台がアメリカで世界観はギリシャ神話になった、ハリポタと言う感じで、まさにハリポタの第一作・第二作の監督が監督を務めるだけのことはあります。特撮もできがかなりよいものと思えました。そこまでハリポタに習ったのかどうか分りませんが、あまり知られた役者が登場しない映画でもあります。

おおっと思えたのは、映画当初のクレジットでは気付かなかったピアース・ブロスナンが最初は意味有り気な車椅子の教師として登場し、後にケンタウロスになって特撮バリバリの下半身でニコニコしながら出てくる場面です。逆に、クレジットでは、「ほう、こんな人も出ているのか」と思っていたユマ・サーマンが、「どこだどこだ」と待っていると、これまた楽しげにメデューサとなって、頭全部を結構精巧にできたCGの蛇をうねうねさせて、登場します。この二人は、どう見ても、このCG全開の変な役柄を楽しんで引き受けているようにしか見えません。ユマ・サーマンに至っては、ギリシャ神話の展開どおり、斬首の後、その頭部が後半ずっと武器として使いまわされるので、執拗に顔だけ登場します。

ストーリー展開上、気になったのは、主人公の母です。主人公の母は、息子がギリシャ神話三大神の一人の子供であり、(ここがよく分りませんが)「いろいろと狙われること」から守るために、ギリシャ神話の神々から見つけにくい状態で息子を育てることとしたと言います。その方法がなかなかで、単純に臭い男と一緒に生活するというものです。酒臭く、汗臭い、如何にも無能なデブ男(デブ男は無能だという意見を言っているのではありません)と同棲しながら、主人公を育ててきました。

大学時代だかに、あろうことかポセイドンと短い結婚生活を送り、彼が神の業を行なうために去った後は、無能な汗臭い男と同棲するという、全く殆どあり得ない落差の人生を送っています。一応、息子のためと言う話なのですが、せめて何か別の方法とかないものだろうかと思えてなりませんでした。

取り急ぎ、楽しめる映画ではありましたが、DVDで今一度楽しみたくなるかと言うと、結構疑問ではありますので、DVD購入には至らないものと思います。