241 理想の4分の一

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経営コラム SOLID AS FAITH 第241号
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ご愛読ありがとうございます。第241話をお届けします。

 二月になりまして、新年のご挨拶をきっかけとした案件や、昨年末に提案し
た案件などがポツポツと動き始め、何となく慌しい日々を送っております。周
囲ではロタやノロなどのウィルスに悩まされている人々が増えています。過去
数年に渡って冬にはこれらで酷い目に合っている私は、嗽・手洗い励行と飲む
ヨーグルトのがぶ飲みで、何とか感染・発症を防いでおります。

 今回お届けする241話は、ブラック企業と呼ばれる企業群について考えてみ
たものです。昨年、9月25日発行した第232号のPR欄で報告した、ブラック企
業に関する書籍の執筆に協力した経緯から生まれた号です。脱法行為を重ねる
企業も多々あり、それが現実の被害として顧客や従業員に認識されている状態
を長く続けている企業も多々存在するようです。

 一般に言われるブラック企業の特徴は、その書籍や映画でも紹介されていま
すが、あまりに抽象的且つ表層的で、それらのブラック企業のみならず、弊社
クライアントである一般的な中小零細企業にも、表面上当てはまるケースが散
見されます。その意味で弊社は「ブラック企業支援企業」になってしまいます
が、あまり気にしていません。ブラック企業と言う言葉自体が、流行語として
“消費”され尽くすのを待てば良いものと思っております。
 
 本号PR欄にブラック企業関連の映画・書籍の紹介を致しました。リンク先
を含め、合わせてお読み戴けると、より一層、今回の第241話がお楽しみ戴け
るかと存じます。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴し
たご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その241:理想の4分の一

 午前中に伺ったクライアント企業の応接室で、いかにも営業畑一本で勝負し
て来たという風体の役員が、最近の消費者保護の流れを嘆く。
「消費者って、欲しいものを本当にきちんと考えて選べるんでしょうかね。衝
動買いはするし、懐が怪しくてもカードを使って買う時は買うもんでしょ。余
程、如何わしいパチモンとかでもない限り、買えば多少の実にはなる訳ですよ。
だから、ノリででも買って貰わなきゃ、売りが立ちませんよねぇ。大体、消費
者が賢くて、自分に本当に必要なものをきちんと分かっているんなら、娯楽と
か風俗とかに嵌る人はどうして出てくるんでしょうね」。

 パーミッション・マーケティングはじれったい。そんな私には、バイヤーズ
・リモースの説明を読むと、購買者を後悔させないように「うまくやれ」れば、
究極は何でも売り放題かと思えることもある。大きく頷きたくなる一方で、ク
レーム殺到のリスクも考え、役員の話は半分に現実を捉えた企画を考えること
にした。

 午後訪問した中小企業では、人事の課長が、勿論、アイディアレベルですが
と前置きして、彼の考える残業削減策を私に向かって説明し始めた。
「結局、自分の将来や自分の価値を考えたら、仕事を迅速にこなす能力を職場
で身につけて、周囲からの信頼を勝ち取るのが早道じゃないですか。だから、
終業時間後はどんどん信頼獲得活動をして戴いて、デキルし頼られる社員に成
って貰って、本人もハッピーになって貰う。当然、自主的な活動ですから、残
業は発生しない。こう言った自分に投資する人間じゃないと、上には上がって
いけないのが現実じゃないですか。うちは能力がある人間には、さっさと昇格
もして貰いますし、ベースの給料もその時にはかなり上げます。できないまま
の人間の残業が続くのが問題なんです」。

 残業代どころか、信用ならない第三者に給料さえ払いたくなくて、社員を雇
いもしない私は課長の話に強く同意できる。向上心溢れる社員だけなら、組織
構成は楽だろう。向上心の程度を何らかの方法で測って、入社時点で篩に掛け
ましょうかと、課長に尋ねた。

 数日後、ブラック企業と呼ばれる一群の企業について、本にまとめるので意
見を聞きたいとの連絡を受けて、面談に臨んだ。ブラック企業の特徴を聞いて
も、私にはそうではない企業の方が稀有に感じられた。

 私なりのブラック企業の定義を求められた。世の中には自分自身とその将来
をよく理解して行動できる人と、そうではない人が居ると言う二元論のモデル
を考える。顧客には分かっていない人、社員には分かっている人が配置されれ
ば、利益は自ずと生まれるように思える。その組み合わせの実現を遮二無二追
求するのがブラック企業かもしれないと、ふと考えた。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

今号に登場する、ブラック企業についてまとめた本とは…

昨年9月発売の…
『人生を無駄にしない会社の選び方』。
 新田龍著 日本実業出版社

この書籍の「おわりに」と題されたあとがきで、
弊社代表の名前が言及されています。

この書籍を執筆中の株式会社ヴィベアータの新田社長と
この書籍のメインテーマであるブラック企業について
今号本文にある通り、意見交換を致しました。
新田社長から「全体の構成に関して多大なヒントを頂戴できた」と
謝辞を頂戴しました。

辺涯でのブラック企業ムーブメントとの関わりですが、
この書籍の著者のお勧めで、ブラック企業についての映画も観ました。

『ブラック会社に勤めているんだが、もう俺は限界かもしれない』
 http://tales.msi-group.org/?p=369

私には、映画に登場するシステム開発会社は、
ブラックさがそれほど感じられない有り触れた企業に見えました。
この映画の映画評にも書きましたが、
仕事観を考え直すと言う意味では、
こちらの映画の方が私のお勧めではあります。

『ファッションが教えてくれること』
 http://tales.msi-group.org/?p=364

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 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第242話 『古い探針』 (2月25日発行) 
「聞く営業が効く」などと題したセミナーや書籍を見かけます。同業者などと
のやり取りの中では、「刑事コロンボアプローチ」と命名された、見込み客に
対する私の質問のあり方を振り返ってみました。